• 受験生の方へ
  • 在学生の方へ
  • 一般の方へ
  • 父母の方へ
  • 卒業生の方へ
  • 企業の方へ
研究/産学公地域連携

審査委員コメント

 ◆大歳昌彦(株式会社 生活文化研究所代表取締役・作家)

「故郷に幸せという名の木を植える人」

 人知れず、人目につかない隅っこで。人が喜んでくれる笑顔が好き、ただそれだけの理由でやってきた。それが、突然、スポットライトを浴びることになった。見ている人はちゃんと見ていてくれている。頑張ってやってきてよかった。受賞は背中をポンと押してくれたように感じた。そんなコツコツ、地道に努力している人に光を。そういった思いでこの審査員を引き受けた。

 生まれ育ったこの町を、元気な町、誇れる町にしたい。林智美さんの選んだのは「地域を元気にする仕事おこし」のテーマ。提言「村おこしカンパニー」に、林さんの溢れる郷土愛を感じた。林さんは未だ一年生なのに、足元の宝モノを発掘、それを村おこしに活かす着眼と発想がいい。なにより、地に足をつけた実践をしている行動力が頼もしい。

 林さんは農林高校生。私は「良樹細根」の言葉を思い起こしながら読んだ。地域の人達が、あったかく見守ってくれている風土がある。自ら考えて行動する校風という土壌がある。実践という畑で共に汗を流してくれる仲間達がいる。挑戦の心を耕してくれる先生がいる。日々の暮らしの中で流す汗と涙の物語。それは紛れもなく一遍の「人間の詩」である。

 今回の林さんの優秀賞受賞は先輩の作ってくれた校風と伝統の産物。仲間達の支えと先生の指導の賜物です。林さんは学校の代表で優秀賞をもらったことになる。林さん、勇気を出して応募してくれて有難う。よかったですね。おめでとう。

↑このページのトップへ


 ◆小島冨佐江(特定非営利活動法人 京町家再生研究会)

「こころをつたえること」

 文章を書くことはとても難しいことです。読書感想文や様々なレポートなど小学生の頃から頭を悩ませるものでした。自分の考えていることをどのように伝えるか、言葉をどのように並べればわかりやすく、読みやすい文章になるのか、考えれば考えるほど難しくなっていきます。それでも、頭の中で考えていることを文章に組み立てていくことはとても楽しい作業です。その楽しさを見つけることができれば、文字を追いかけることの意味が変わってくるのだろうと思います。

 広辞苑で提言を引いて見ると「考・意見を出すこと」とありました。今回のコンクールで私が基準にしたことは、やはりこの意見ということでした。自分の考えていることをしっかりと相手に伝えるための文章をどのように組み立てるか、そのためにどのような準備があり、どんな過程を通っていくのかが、大切なことです。文章の上手下手ではなく、熱意や気持ちが伝わる提言とは、これは一生のテーマですが、やはり行動が伴わないと出来ないことです。そのことに裏打ちされた提言はまっすぐに心に響いてくるものです。入賞された方々の文章は、行間からきらきらと輝くものが感じられました。提言の実現に向けてしっかりと取組んでいただきたいと思います。

 高校時代に、ますます好奇心を旺盛にして、いろんなことを見たり聞いたり、活動したり、挑戦してください。皆さんの今後の活躍に期待をしています。

↑このページのトップへ


 ◆端 信行(京都橘大学文化政策学部長)

 今回のコンテストでは、選択できる課題が3つ与えられていたので、応募者のみなさんの視点がかなり分散し焦点が合わせにくかったとの印象を受けました。そうしたなかにあって、受賞者のふたりの作品は視点がぶれることなく透き通った社会への視点を遺憾なく表現できていたと思いました。わたくしが若い世代に望むのは、社会への率直なまなざしという視点なのですが、おふたりの作品には強くそのことが感じられました。

 とくに佳作になった斉藤さんの作品には感心しました。大都市の一部でとくに(日本の場合は)取り立てて特徴のない街ではないと考えがちな自分の住区を、とくに奇をてらうわけでもなくごく素直に見詰め直しています。この視点が貴重なのだと評価しました。優秀賞になった林さんの作品は、とても1年生とは思えないほどの成熟度の高い作品だと思いました。審査会の席でも林さんが学んでいるのはどのような学校なのかが話題になって、ホームページの紹介を拝見して納得した次第でした。このような教育熱心な学校ならこそ林さんが育つのだな、と思ったのでした。学校でしっかり学んだ成果がこうして評価されてたいへんよかったと思います。この点は学校賞の岡崎商業の生徒さんについても言えることで、個人賞こそ逃したけれども、高校生世代における学校教育の重要性を十分に示されたと思います。

 みなさん本当におめでとうございました。

↑このページのトップへ


 ◆中谷武雄(京都橘大学文化政策研究センター所長)

 先生から提案された課題であったとしても、通学途上で気をつけていろいろ観察したり、町に出てみたり、周辺地域を歩き回ることにより、日常的には見過ごしてしまっていることに気づき、また改めてふるさとへの思いを強くし、よさを再認識し、全国にそのことを伝えたいという若い皆さんの熱い思いに、または寂しくなりつつある地域の活性化にむけた積極的な提案・提言には、深い印象を感じました。力作を寄せていただいた皆さんにお礼を申し上げます。

 今回は少し批判的に述べる失礼をお許しください。コンテストですから、応募する上での主体的な姿勢をもっと強く持ってほしいと思います。受身的に、仕方なく書いているというような文言が目立った、という印象を受けました。1200−2000字の範囲内でと文字数を制限していますが、残念ながら1500字以下のものが圧倒的に多く、1800字を超えているのはほんの少しでした。(昨年も書きましたが)何かを提案し、提言するには、自分の思いを伝えたいと考えるならば、与えられた容量を精一杯利用するという努力が必要ではないでしょうか。

 今年はイラスト部門を取り込むということで、いろいろな資料や映像などを添付するようにも提案させていただきました。しかし残念ながらこの要請にこたえた力作というものは、あまりありませんでした。豊富な内容を含み、客観的な根拠を示すために活用された数値や統計、工夫されたと思える自分の作図、面白いものや目立つものなどは少なかったと思います。本文の中で、添付資料に言及し、その内容を説明し、説得力を増すことを目指すことが必要でしょう。

 若い皆さんが地域に目を向け、文化に関心を持ち、まちづくりを考えて、毎日の生活から将来を見つめ続けてくれることを期待しています。