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松柏社 1996年刊
京都橘女子大学教授 杉山 泰 共訳
「ロレンス産業」という言葉が聞かれるようになってすでに久しいが、その言葉にたがわず、多少の変遷はあるものの、今でもおびただしい数のロレンスに関する本が出版されている。
その洪水の中で、フェミニズムとポスト・モダンの視角から彼を論じている良質の、あるいは刺激的な論文を集めたのが本書である。 ポスト・モダンと呼ばれる一群の思潮が生まれるや、文学の「読み」にも大きな変更を迫るようになり、その結果、旧来の「読み」を根底に覆するような解釈が多数でてきた。
本書は、この活力あふれる、しかし混沌としたロレンス批評の現状を実に手際よく処理し、その現状の指標となる代表的な論文を集めている点で、きわめて便利であると同時に学ぶところが多々ある。
ロレンスの入門書というにはやや高度だし、これまでの代表的な評論書をすべて飛ばしてこれにとびつくのはお勧めできないが、ロレンスという二十世紀を代表とする作家が、この世紀が閉じようとしている現在どう読まれているか、そして文学批評というもの自体にいかなる変化が起こっているかを知る上で、またとない好著である。訳文もこなれている。一読をお勧めしたい。
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