・2017年度
女性歴史文化研究所シンポジウム「京都橘大学開学50周年記念企画公開講座/女性歴史文化研究所開設25周年記念シンポジウム
「食の歴史とジェンダー―日本とアジア―」
日 時 | 2017年6月24日(土)13:30~17:00 |
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会 場 | キャンパスプラザ京都 |
講 師 |
原田 信男(国士舘大学21世紀アジア学部教授) 「共食という文化」 |
コメンテーター |
阿良田 麻里子(立命館大学客員教授) 「『共食という文化』へのコメント」 |
南 直人(本学文学部歴史学科教授/女性歴史文化研究所所長) 「『食とジェンダー』の視点から」 |
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コーディネーター | 南 直人(本学文学部歴史学科教授/女性歴史文化研究所所長) |
6月24日(土)、本学女性歴史文化研究所主催のシンポジウム「食の歴史とジェンダー-日本とアジア-」がキャンパスプラザ京都で開催されました。
今回のシンポジウムでは、東アジアのなかでも独自の発展を遂げてきた日本の食文化の歴史に焦点をあて、この分野の第一人者である原田信男氏が、家族や社会集団が食事を共にすることで結びつきを強める「共食」という文化について報告しました。また、インドネシアの食文化の研究者である阿良田麻里子氏が、インドネシアでは「同じ時間・同じ場所・同じ食物」という条件をすべて満たさなくても共食の機能を果たす食事があることや、食材の調達や調理の過程も重要であることなど、より広い視野で共食をとらえる必要性を指摘しました。さらに、南直人教授が、食とジェンダーの関わりという観点から食文化における女性の役割への問題提起を行いました。
講演後のパネルディスカッションでは、台所の管理や調理を担った女性の活動が史料に記録されない点や、ケガレの問題から正月料理を女性がつくらないことなど、ジェンダー的な視点を含めて食の問題が議論されました。また、「孤食と家族の崩壊との関係性についてはどうなのか」「家庭料理は女性が多く担っているのに対し、職業としての料理人は男性が多いのはなぜか」など、講演内容を深める質問が次々と参加者から出され、さらに議論が重ねられました。
シンポジウムは盛況のうちに幕を閉じ、参加者のアンケートでは「共食という新たな視点に出合えた」、「共食の大切さを広めていきたい」、「誰かと一緒に食事をする意味を考えるきっかけになった」などの声が寄せられました。