日本らしく優れた学士課程教育の模索
人文・歴史・教育
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2024-84
西野 毅朗 准教授
日本らしく優れた学士課程教育の模索
経営学部 経営学科
■ 研究業績等
【著書】
・著書『看護学生のためのよくわかる大学での学び方』金芳堂(共著):2018/12
・著書『アクティブラーニングの活用』医学書院 (共著):2018/09
・著書『研究指導(シリーズ大学の教授法)』玉川大学出版部(共著):2018/03
【論文】
・学術論文「授業を通じた学生の主体性の促進要因に関する一考察」アカデミックコーチング研究アカデミックコーチング学会(創刊号)(単著):2019/12
・学術論文「ポリシーに基づく縦断的統合型科目ルーブリックを用いた看護学実習評価の改善過程」京都橘大学研究紀要 (共著):2018
・学術論文「高等教育開発におけるミドル・アップダウン・アプローチの実証的研究(1)」京都橘大学研究紀要(単著):2017
【学会発表】
・ゼミナール教育における学びの実態調査(大学教育学会第42回大会):2020/06/06
・専門ゼミ教育の実践に関する全国調査.個別教員の取り組みに焦点をあてて.(第 26回大学教育研究フォーラム):2020/03/19
・人文・社会科学領域におけるゼミナール教育の実態に関する全国調査(中間報告)(大学教育学会 2019年度課題研究集会):2019/11/30
日本の高等教育は、他の様々な先進諸国の事例を参考にしながら発展してきました。その 1つがドイツで誕生したゼミナール教育です。ゼミナール教育は、アメリカにおいては大学院教育として花開きますが、日本においては学士課程教育の方法として定着し、社会の変化とともに立ち現れる教育上の問題を乗り越えるための方法としても応用されてきました。現在の諸外国をみても、日本のような学習共同体としてのゼミナール教育をこれほど尊重している国はないのではないでしょうか。
ゼミナールは 1つの学習共同体として成立し、教員と学生が互いに対話をしていく中で学びを深めていきます。そこには専門的な知識の理解や活用力を高めるだけではなく、広くは人間性にまでおよぶ態度面の育成も行われます。そして最終成果は卒業論文や卒業制作という形で表現され、評価されます。
昨今、アクティブラーニングという言葉がもてはやされますが、ゼミナール教育はもとよりアクティブラーニングです。私は現在のゼミナール教育が日本全国でどのように行われているかを調査するとともに、どのようなゼミナール教育を行えば、より学生が成長できるかを明らかにしようとしています。
・ 社会科学系ゼミナールでの2年半の観察に基づき、エスノグラフィーとしてまとめました。そこから、優れた学びの背景には、「探求課題の質」と「関係性の質」によって立ち現れる「学習共同体」が関わっているという結論を導き出しました。探求課題の質とは、1人では解決できないような、あるいは短期間では解決できないような、学外を巻き込むような難度の高い課題解決を行うことが重要であるということです。そして、関係性の質とは、関係が多様であること、積極的なものであること、継続的なものであることが挙げられます。これらが知識・技能・態度という多様な側面の学修成果に結びついていました。
・現在上記のような質的研究だけでなく、全国調査を基にした量的調査も行っています。
諸外国の教育方法を研究するのではなく、日本に古くからあった教育方法を研究するという温故知新のスタイル。大学におけるアクティブラーニングの在り方の模索。
高等教育、アクティブラーニング、帰属組織モデル、ゼミナール教育
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