いかにして、組織的な教育改善や教育改革をすすめていくか

人文・歴史・教育 ---------------------------- 2023-72 西野 毅朗 准教授 いかにして、組織的な教育改善や教育改革をすすめていくか 経営学部経営学科 ■研究業績等 【著書】 ・著書『看護学生のためのよくわかる大学での学び方』金芳堂(共著):2018/12 ・著書『アクティブラーニングの活用』医学書院(共著):2018/09 ・著書『研究指導(シリーズ大学の教授法)』玉川大学出版部(共著):2018/03 【論文】 ・学術論文「授業を通じた学生の主体性の促進要因に関する一考察」アカデミックコーチング研究アカデミックコーチング学会(創刊号)(単著):2019/12 ・学術論文「ポリシーに基づく縦断的統合型科目ルーブリックを用いた看護学実習評価の改善過程」京都橘大学研究紀要(共著):2018 ・学術論文「高等教育開発におけるミドル・アップダウン・アプローチの実証的研究(1)」京都橘大学研究紀要(単著):2017 【学会発表】 ・ゼミナール教育における学びの実態調査(大学教育学会第42回大会):2020/06/06 ・専門ゼミ教育の実践に関する全国調査―個別教員の取り組みに焦点をあてて―(第26回大学教育研究フォーラム):2020/03/19 ・人文・社会科学領域におけるゼミナール教育の実態に関する全国調査(中間報告)(大学教育学会2019年度課題研究集会):2019/11/30 少子高齢化が進む中、すぐれた教育と学習の実現も求められ続けています。これまでの教育改善は、政策的な推進というマクロ視点、もしくは個別教員の自己研鑽というミクロ視点のいずれかで語られることが多く、学校単位や組織単位でいかに教育をよくしていくかというミドル視点が語られてきませんでした。私はマクロ、ミドル、ミクロという重層的な視点をもって教育開発を推進することが重 要と考えます。  本研究では、学校や教科、大学や学部や学科といった単位でいかに教育開発をすすめていくことができるのかを明らかにしようとするものです。私は、教育開発・学習支援室(旧・教育開発支援センター)に属するEducational Developer として、所属大学の各学部や学科、初年次教育や実習教育などの改善をお手伝いしてきました。また、他大学や、他の中等教育機関の教育開発のサポートもしています。そのプロセスをアクションリサーチとして描くことで、1 つひとつを事例研究とし、私と同様、組織的な教育改善を進めていきたいと願う教職員の糧になるよう、できるかぎりアウトプットするようにしています。 ・ 私立の中高一貫校で月に1 回程度、調査と授業改善支援を並行しておこなっています。調査の結果、講義型の授業を多く受けた生徒とアクティブラーニング型の授業を多く受けた生徒では、既存の試験成績に差がないことが明らかになりました。 ・ 初年次教育プログラムの改善を支援しました。具体的には部分共通目標の設定、共通学習材の開発、学修成果報告会の実施です。これにより、授業アンケートの結果も改善されました。これらのプロセスから「シェア」「コンセンサス」「オーソライズ」「サポート」という4 つのコミュニケーションが、組織的な教育開発には必要であることが見出されました。 ・ 実習評価ルーブリックの開発を支援しました。科目を超えた学びと、学 修成果の可視化に向けて努力が続けられています。 現場の問題解決と研究を融合しておこなうアクションリサーチを方法論として取り入れることで、現場に活かせる実践と研究の実現を目指しています。 中等教育、高等教育、教育開発、Center for Teaching & Learning(CTL)