Broad Autism Phenotypeの看護学生の対人関係能力の修得に向けた教育プログラム開発

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看護 ---------------------------- 2024-43 川村晃右准教授 Broad Autism Phenotypeの看護学生の対人関係能力の修得に向けた教育プログラム開発 看護学部 看護学科 ■ 研究業績等 【論文】 ・「Broad Autism Phenotypeの程度の高い女子看護系大学生の社会的スキル,コミュニケーション・スキルの向上のための教育プログラムの構築」 日本健康教育学会誌 32(2):72-83 ・「女子看護系大学生の Broad Autism Phenotypeの状況とコミュニケーション・スキル,看護実践能力との関連」日本看護研究学会雑誌 45(2) :261.269 ・「発達障害のある看護学生に対する教育上の困難と支援に関する文献検討:メタ統合を参考にした分析による検討」京都橘大学研究紀要(46) :123-135 【発表】 ・Broad Autism Phenotypeの状況の高い女子看護系大学生の社会的スキルを高める教育プログラムの構築(第32回日本健康教育学会学術大会) ・Status of broad autism phenotype and its relationship to communication skills and nursing practice skills among female nursing university students (7th International Nursing Research Conference of World Academy of Nursing Science) ・Literature review: Di.culties experienced by and support for nursing students with developmental disorders (23rd East Asian Forum of Nursing Scholars) 【科研費】 ・BAPのある看護学生に対応した対人関係能力を高める ICTを用いたプログラムの開発 若手研究 ・BAP傾向の学生にも対応した看護実践能力育成のための教育モデルの開発 若手研究  広範な自閉症発現型(Broad Autism Phenotype: BAP)の者は、社会的コミュニケーションに困難があるとされますが、臨床的には問題視する必要のない個人の特性であり、発達障害と診断されることもありません。そのため、教育上の配慮を受けづらく、教員からは学修困難な状態として評価されている現状があります。 本研究では、BAPの程度が高い看護学生の対人関係能力への影響を明らかにするとともに、BAPの学生にも対応した対人関係能力の修得に向けた教育プログラムを開発することを目的としました。 調査の結果、BAPの程度が高いとコミュニケーション・スキルに影響し、さらに打ち解けなさの特徴があると、看護実践能力の修得が困難な可能性があることが明らかになりました。そこで、対人関係能力である社会的スキルとコミュニケーション・スキルの向上を目指し、BAPの程度が高い学生の特徴を考慮した教育プログラムを構築しました。教育プログラムによって、BAPの程度が低い者でも社会的スキルとコミュニケーション・スキルが向上し、高い者ではより顕著に向上させる可能性が示唆されました。  看護学生における BAPの程度によって正常型(Type N)、境界型(Type B)、BAP傾向の高い型に区分されました。さらに BAP傾向の高い型については、打ち解けなさの低い群(Type PR)と高い群(Type A)に区分されました。そして、BAPの程度が高いとコミュニケーション・スキルに影響することが分かり、さらに Type Aにおいては、看護実践能力の修得が困難な可能性があることも示唆されました。 そこで、看護実践能力のひとつとされる対人関係能力の修得に向けて、教育プログラムを構築しました。対人関係能力は社会的スキルと捉えられています。社会的スキルは、Social skills training (SST)により修得が可能なため、プログラムは、SSTのプロセスと、BAPの程度が高い学生の特徴を考慮して構築しました。教育プログラムは、「ジェスチャーゲーム」や「物語の完成」などで構成されます。その短期効果を検討したところ、社会的スキルとコミュニケーション・スキルの向上が示唆されました。 このことから、本研究成果は BAPのある看護学生における修学支援の基盤モデルになるとともに、看護系以外の大学生においても応用できる可能性があります。 BAPの特徴を考慮することで、社会的コミュニケーションが困難で、学習に問題を抱える看護学生を支援する糸口になることが期待されます。 本研究は、看護学生と同じような対人援助職を目指す学生にも応用できる可能性があります。 Broad Autism Phenotype、看護学生、対人関係能力