日本の個人投資家に合った金融商品の供給とは?
経済・経営
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2024-65
近藤 隆則 教授
日本の個人投資家に合った金融商品の供給とは?
経営学部経営学科
■ 研究業績等
【著書】
・著書『政府の銀行貸出への関与は日本の中小企業を強くしたか.円滑化法、信用保証制度、資本注入政策の効果についての実証研究.』晃洋書房 (単著):2018/03
・著書 『「政治主導」の教訓.政権交代は何をもたらしたか.』勁草書房(共著):2012/03
・著書(翻訳)『新版・スワップ金融の実務』東洋経済新報社(共著):1990/10
【論文】
・学術論文「日本の個人投資家のリスク資産投資:金融リテラシーの種類や情報源の違いはどのような影響を与えるのか?」経営財務研究経営財務学会 第39巻(第1、2合併号) (共著):2019/12
・学術論文「金融規制当局の「リスク追求的行動」は常に望ましくないか.資産バブル対応についての社会心理学的分析の試み.」京都橘大学大学院文化政策学研究科論集京都橘大学 (11):5-29 (単著):2017/03
・学術論文「消費者から見た銀行窓販.アンケート調査による窓販ユーザーの特性分析.」 金融経済研究 (第37号)(共著):2015/03
【学会発表】
・「源氏物語」はどのように世界文学になったのか(法と経営学会「大人のための教養」分科会 第5回):2022/02/11
・「源氏物語」は最良の人間学の書(法と経営学会「大人のための教養」分科会 第 4回):2022/02/05
・宗教思想史から紐解く「アメリカ合衆国の行方」(法と経営学会「大人のための教養」分科会 第3回):2021/09/05
個人投資家にとって、ETFをはじめとする投資信託は最も基本的な証券投資の対象です。しかし投資信託の供給側にはいくつかの問題点があります。その一つが、投資信託の組成会社のほとんどが銀行、証券、保険の系列会社であることです。投資信託を販売している銀行や証券に組成会社が従属しているため、販社が儲かる商品ばかり組成され、個人投資家のライフサイクルに見合った商品が組成・供給されていない現状は、近年ようやく問題視され、政策課題にもなってきました。しかし政策は、個人投資家と販社がどのようなやりとりをしているのかといった「市場の実態」をよく観察、検証しながら行うべきであり、日本人はリスク回避的であるとか、金融リテラシーが足りないといった「決めつけ(根拠薄弱な仮説)」から出発しない方がよいと考えます。これらの観点を踏まえ、日本の個人投資家の金融商品選択の決定要因や投資信託市場における販売の実態に関わる実証研究の蓄積を
行っています。
日本金融学会「金融経済研究」第 37号(2015年)に共著論文「消費者から見た銀行窓販:サーベイ調査による窓販ユーザーの特性分析」を掲載しました。この論文では、アンケート調査によって得たデータから、銀行窓販で各種金融商品を購入した個人の特性を分析しました。銀行窓販ユーザーの特性としては、彼らはリスクのある各種金融商品をも疑似的な預金と見做す傾向があること、しかしそれは銀行の影響力によるというよりは個人の主体的な選択の結果であったことが挙げられます。 また、アクセプト済の論文では、アンケート調査によって得たデータから、金融リテラシー(特に応用的金融リテラシー)や投資家が依拠する情報源が、個人投資家のリスク資産の保有や投資リターンにどのような影響を与えるかを分析しました。その結果、応用的金融リテラシーの高さと専門家の助言が個人投資家に投資信託の保有を促し、その投資リターンをプラスにする確率を高めるという知見が得られました。
個人投資家に対するアンケート調査を2回経験しており、ノウハウを持っています。
資産形成、リスク回避度、金融リテラシー、投資信託の組成、販売、助言
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