特別支援教育を受ける子どもたちへのより良い支援の在り方とは

法・社会・社会福祉 ---------------------------- 2024-89 原田 瞬 専任講師 特別支援教育を受ける子どもたちへのより良い支援の在り方とは 健康科学部 作業療法学科 ■ 研究業績等 【論文】 ・学術論文「Analysis of Latent Factors Underlying Conceptions of People with Dementia and the Effects of Social Resources」 Biomedical Journal of Scientific & Technical Research39(2):31136-31143 (共著):2021/10 ・ 学術論文 「COVID-19流行下における団地高齢者と大学生のリモート型世代間交流の実践」日本世代間交流学会誌11(1):41-47 (共著):2021/09 ・学術論文「作業療法士による特別支援学校(知的障害区分)でのコンサルテーションにおける相談内容の傾向と小中学部の比較」日本発達系作業療法学会誌 8(1):23-31(共著): 2021/03 【学会発表】 ・Discriminatory Validity and Consideration of Cuto. Points of Autism Spectrum Disorder Mealtime Behavior Questionnaire (18th WFOT Congress):2022/08 ・特別支援学校(知的障害区分)小学部児童に対する環境調整による座位への支援 -教員と連携した探索的研究-(日本発達系作業療法学会第 9回学術大会):2021/03 ・学校コンサルテーションにおける効果判定の試み -GASと支援内容を記したシートを用いた支援により教員と結果を共有できた一事例-(第 54回日本作業療法学会):2020/09  日本では少子化に伴い、学校に通う児童生徒の総数は減少していますが、特別支援教育を受ける児童生徒数は増加し続けています。特に自閉スペクトラム症や注意欠如多動症の児童生徒が増加しており、それらの支援を専門とする作業療法士(以下 OT)に対し、その専門性を教育現場で発揮することが期待されています。現在、教育現場に関わる OTはまだ少数で、教育現場への支援は OTが学校に訪問し、コンサルテーションによって対象児童生徒へ間接的な支援を行うことが主流となっています(図 1)。特別支援教育に関わる OTのコンサルテーションについて、どのようなコンサルテーションの内容が教育現場で実践に結び付きやすいかを明らかにした学術的な報告はほとんどありません。本研究では、OTによる特別支援学校でのコンサルテーションに焦点をあて、実践に結び付きやすいコンサルテーションの内容を調査します。そして、OTによるコンサルテーションが対象児童生徒と教員の支援に効果的であったかを検証します。本研究を通し、特別支援教育における領域を超えた多職種連携の在り方について提言したいと考えています。 図1.特別支援教育に関わる OTによる主流なコンサルテーションの様式  実際に OTによるコンサルテーションを受けた支援学校教員が記載した報告書を分析した結果、教員が OTに行った相談は問題行動などの行動面に関する相談が最も多く、全体の 40%でした(図2)。行動面の相談に対し、OTがコンサルテーションの中で行った助言の 42%が実践につながっており、実践につながった割合は高くないが、実践につながった助言のほとんどに効果があったことがわかりました(図 3)。助言の内容を質的に分析すると、内容が具体的であるかどうかはもちろん、クラス運営に配慮された内容かどうかが重要で、新規的な取り組みは実践につながりにくく、スモールチェンジが有効ということがわかりました。この結果を基に、コンサルテーションのプロトコルを立て、OTによるコンサルテーションが対象児童生徒、教員に与える影響を明らかにするための介入研究を実施しているところです。 図2.相談内容の確認 図3.助言全体の実践率と効果率 これから実践が増えるであろう、特別支援学校教員とOTの効果的な連携について明らかにする 特別支援教育、コンサルテーション、作業療法、多職種連携