高齢化する障害者の家族間の関係を探る
法・社会・社会福祉
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2024-90
平本 憲二 専任講師
高齢化する障害者の家族間の関係を探る
健康科学部 作業療法学科
■ 研究業績等
【著書】
・著書『作業療法キャリア教育テキスト.大学生になる,作業療法士になる.』(共著):2021/03
【論文】
・学術論文「臨床実習形態の移行期に作業療法臨床参加型実習に関与した人々の実態 .Kuhnのパラダイム転換論の視点からの考察.」リハビリテーション教育研究(共著):2022/03
・学術論文「中年期知的障害者の母親世代の課題:母親らの語りの分析から」対人援助学研究 9:55-66 (単著):2020/11
・その他論文「Gunzburgのパーソナライゼーションからみる知的障害者のノーマライゼーション」社会問題研究和泉出版印刷株式会社69(148):81-91 (単著):2020/02
【学会発表】
・ COVID-19下の社会的隔離における高齢者の認知機能への影響に関する文献研究.作業療法における今後の展望.(第 55回日本作業療法学会):2022/09/17
・作業療法参加型臨床実習における当事者らの課題:作業療法学会報告の分析(第 34回全国リハビリテーション教育研究大会):2021/10
・Intergenerational exchange among a family member of a middle-aged person with intellectual disability: from theanalysis of their life stories(2nd COTEC-ENOTHE CONGRESS2020):2021/09
本研究はErikson(1959)による世代継承性※を理論的背景として、長期にわたり精神科に入院している中高齢期知的障害者の母親ときょうだいを対象として、中高齢期知的障害者の家族の世代間交流の特徴を明らかにしようとするものです。長い年月を経て形成される、障害者の家族間における様々な課題を明らかにすることで、現在社会において大きな問題となっている、介護殺人やネグレクトなど社会問題の改善に寄与できるのではないかとの考えのもとに、研究を進めています。
※世代継承性:両親、自分、子、孫の世代間で、個人の人生における課題の受け渡しを行うこと。世代継承性の獲得は、Eriksonによる心理社会的発達段階の中年期に相当するが、高齢期にもあると言われている。
障害者が年齢を重ねることで、障害者自身のみならず、生活を共にする家族もしくは障害者と離れて過ごす家族も、精神的、身体的負担は年を経るごとに蓄積されていくと考えられます。しかし、障害者と家族の関係性に起因する問題は対外的には認知されづらく、介護殺人やネグレクトなどで表面化することも多くあります。 そこで、障害者本人とのあゆみが、親、きょうだいの人生にどのような影響を与えたか、また障害者と親、きょうだいが共に生きていく中で、家族がどのような事に関心を示し、関係を持っているかなどの状況を調査しています。具体的には、インタビュー内容の逐語化と、 KJ法を用いたインタビュー結果の分類・分析を経て、中高齢期知的障害者をもつ家族の世代間交流を可視化していきます。 このような調査から、中高齢期知的障害者をもつ家族の世代継承性の獲得の態様を明らかにし、そこから見える問題にスポットを当てながら、解決策を模索していきます。
障害者を抱えた家族の困難や葛藤、ニーズを明らかにして、障害者の家族に関する社会問題の解決の一助としていきます。
障害者、家族、ライフストーリー、世代継承性、質的研究
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