大正時代、ビジネスの現場では、売れ筋商品の把握・売上金の管理・外国人との意思疎通……すべてが手作業でした。
100年後の現代では、データベースによる分析・セルフ決済による管理・翻訳アプリを通したコミュニケーション……
当時では想像もしなかったことが日常になっています。
100年前の非日常が現代の日常に変わり、
情報学はその進化の原動力となってきました。
かつては予想もしなかったような技術やサービスが今や私たちの生活に深く浸透しています。
デジタルやAIは、これからもさまざまな社会課題を解決し、
未来を豊かにする重要な役割を担っていくことでしょう。
新設する情報学研究科では、ICTの高度な専門性を修得し、それらを実際の社会や産業の場で活かすために最先端のカリキュラムを展開しています。
社会がもつ潜在的な可能性に想像を働かせながら、ソーシャルイノベーターとして、未来をデザインする。
100年前に思い描いた夢のような世界が現代の当たりまえに変わったように、次世代の担い手として、いま、ココにナイモノを創り出す。
その第一歩を、いま、ココから。
少子高齢化による労働人口の減少が
確実視されるなか、
情報通信技術の活用により、
生産性の向上や新しい価値創造が
期待されます。
国立社会保障・人口問題研究所
「日本の将来推計人口」より
総務省「情報通信白書」より
将来的にIT人材は数十万人単位で不足
(IT人材需要が高位に推移する場合は2030年に約79万人不足)。
試算シナリオによっては従来型IT人材は
供給過多となり、先端IT人材の不足が顕著に。
みずほ情報総研「IT人材需給に関する調査」より作成
(IT需要の伸び:中位、生産性上昇率:0.7% Reスキル率1.0%のシナリオを採用した数値)
メタバース、ゲームなどへの注目のなか、AR・VR・デザイン系人材への需要が高まっています。日本のメディアコンテンツのさらなる発展も課題です。
労働力不足などを背景とした、業務自動化ニーズが広がり、機械系IT人材への需要が増加しています。
医療費増加、労働力不足など、医療従事者の業務分担見直しやさらなるAI・ICTの活用が急務となっています。
少子高齢化による労働者人口の減少が見込まれる一方で、働き方改革の推進、AIやIoT分野の発展、さらには5Gの普及などによりIT市場が急成長を遂げています。また農業・林業・漁業などの一次産業をはじめとする多くの産業でもITツールを導入しています。このような分野・産業・業界を超えたIT需要の高まりを受け、IT人材が様々な場で求められるようになっています。
国内では、システムなどのユーザー企業よりもベンダー企業に多くのIT人材が偏在しています。そのため、ユーザー企業では数少ないIT系のリソースが既存システムのメンテナンスに集中してしまい、急速に進化するIT分野の変革に必要なIT投資が進みにくいといった状況にあります。
ビッグデータやIoT、AIなどの先端技術によって、人々のライフスタイルやビジネスなどに大きな変化をもたらすとされる「第4次産業革命」が進んでいます。最先端のIT知識・技術を持ちながら、付加価値の創造や業務効率化に貢献する先端IT人材の需要はますます高まっています。また、IT分野は進化のスピードが速く、次々と新しい技術が生まれているため、先端技術を扱うIT人材は常に不足しています。
情報学研究科では、情報分野の高度な専門性と
それらの実践能力の双方を養うための
独自のカリキュラムを編成しています
専門教育は、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークといった基盤的領域から、それらの応用的領域までを備えたカリキュラムとなっており、学生自身の志向や課題感に応じて高度な専門性を身につけることができます。さらに、人工知能(AI)やサイバーフィジカルシステム、コンピュータグラフィックスなど、近年社会的注目を集める領域も備えており、今後さらに需要が高まるであろう知識・技術を獲得することができます。
専門性を高めるだけではなく、それらを社会で実践・活用するための教育研究にも重点を置いています。基盤的スキルとしてのプログラミング技術や、価値創造のための思考法、プロジェクトマネジメントなど、実践能力の修得に向けた科目が充実していることが情報学研究科の大きな特長です。
多くの科目で、キャンパス内での対面授業とともにインターネットによるメディア授業(オンデマンド授業)を行います。仕事を持つ社会人学生は、キャンパスへの通学が難しい場合にメディア授業を選択することが可能であり、自由な時間、自由な場所で受講を進めることができます。メディア授業は講義系の科目を対象としており、修了に必要な30単位のうち、研究指導科目8単位を除く(※)最大22単位までをメディア授業によって修得することも可能です。
※指導教員との調整によっては、研究指導科目もテレビ会議システムを通じた受講にできる場合があります。
パターン | 講義系科目 | 演習系科目 | 研究指導科目 | |
---|---|---|---|---|
全て対面受講できる場合の例 | 【メディア】 受講なし |
【対面】 8科目(16単位) |
【対面】 3科目(6単位) |
【対面】 4科目(8単位) |
一部の科目を メディア授業で受講する場合の例 |
【メディア】 5科目(10単位) |
【対面】 4科目(8単位) |
【対面】 2科目(4単位) |
【対面】 4科目(8単位) |
できるだけ多くの科目を メディア授業で受講する場合の例 |
【メディア】 11科目(22単位) |
【対面】 受講なし |
【対面】 受講なし |
【対面】(※) 4科目(8単位) |
※指導教員との調整によっては、研究指導科目もテレビ会議システムを通じた受講にできる場合があります。
「共通領域」「専門領域(基盤情報科目群・応用情報科目群)」「課題研究」の3 つの領域からなる独自のカリキュラムを編成しています。
「共通領域」から専門的知識・技術の実践・活用に関する科目を学び、
「専門領域」から自身の課題感・志向に応じて情報学の専門科目を学ぶことができます。
さらに、修士課程での2 年間を通じて、
「課題研究」による研究・修士論文作成に取り組みます。
研究科で学ぶための導入的知識や
情報分野の専門性を
社会で活用するための学び
POINT 知識・技術の活用に
重点を置いて学ぶ
注目科目
価値創造ビジネスとしてのサービスの新しい捉え方を学び、社会にイノベーションを起こすデザイン思考の知識を修得します。
スマート社会を構築するICT技術の活用事例を理解し、第一線のゲストスピーカーとのディスカッションを通して展望を広げます。
情報システム開発の場面で、プロジェクトの計画立案から要件定義、開発に至る一連のプロジェクトマネジメントの知識を修得します。
志向に応じて幅広い領域から
選択して学ぶ
基盤情報学
注目科目
実世界の様々な物やことをセンサーで計測・分析し、新たな価値を創造する「サイバーフィジカルシステム」の知識と技術を習得します。
あらゆる情報が自由に行き来するユビキタスネットワーク社会。それを構築する基盤技術について、事例を踏まえて理解を深めます。
応用情報学 … ディープラーニングなど
注目科目
人工知能活用の基礎となる知識表現と推論・学習手法を学びます。基本的なツールを活用し、現実の問題解決にもアプローチします。
人工知能の応用的・先進的な理論・手法を理解・活用。現実問題に適した深層学習等を実装するスキルを身につけ、社会において新しい価値を生み出します。
サービスの研究は製造業、情報産業などの産業におけるビジネスとしてのサービスから、人間が営むあらゆる価値創造ビジネスとしてのサービスへと捉え方と応用が進化している。このような背景から、新しい価値創造ビジネスでの起業も増えてきている。一方、社会にイノベーションを起こす有効な手段として、「デザイン思考」が注目されている。本科目では、このサービスの新しい捉え方と応用を学び、デザイン思考の知識を修得することを目指す。まず、サービス・サイエンスの側面からビジネスを捉え、つぎにデザイン思考の必要性、プロセスなどを解説する。実際のデザイン思考のプロセスについて、「課題の発見」と「課題の解決」に分けて演習を通して理解を深める。
近年ICT、とりわけAIやビッグデータ、IoT、ロボット、セキュリティ技術などを活用したスマート社会の構築技術が数多く生み出されている。本科目では、実社会の様々な産業や場面などにおける課題やICT技術の活用事例を理解することで、情報学の活用フィールド・可能性についての展望を得ることを目指す。そのために、学内外の第一線で活躍されている研究者等もゲストスピーカーに招きつつ、受講生を交えて情報技術による課題解決・価値創出の可能性についてディスカッションしていくことで、情報学の活用フィールド・可能性についての展望を広げていく。また、先端研究を実施している各分野の人材と交流することで、新たな研究を生み出すきっかけを得たり、自身の研究の幅を広げることを目指す。
企業では経営管理、技術開発、生産、販売などの活動があり、それぞれの活動に応じて多様なプロジェクトが実施されている。本科目では主に情報システム開発プロジェクトを対象に、プロジェクトの計画立案から要件定義、開発に至る一連のプロセスにおけるプロジェクトマネジメントの知識を修得することを目指す。プロジェクトマネジメントの事実上の世界標準であるPMBOKに基づいてプロジェクト管理の枠組みと知識領域を解説し、プロジェクトマネジメントの基本的な考え方や手法、ツールなどについて学ぶ。また、実際のプロジェクト事例を交えてプロジェクトマネジメントの範囲や特性について理解する。演習を通して、プロジェクト管理のもつ意味と役割、ツールの利用方法について理解を深める。
サイバーフィジカルシステム(CPS)とは、実世界(フィジカル空間)の様々な物やことをセンサーで計測しネットワークで共有することで、コンピュータネットワーク(サイバー空間)上のデータとして、AIや大規模データ解析技術によって分析し、またその知見を実世界に提示・制御することで、実世界に新たな価値を創造する技術である。すべてのものがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)の社会においてそれらをどうまとめて分析・制御するかという点に着目した概念で、Society5.0、 Industry4.0などで提唱されるスマートシステムの基盤技術として挙げられる。本科目では、CPSの基礎理論の知識と、センサーネットワークやデータ解析などの実現技術を習得し、自らの研究課題に応用できる能力を身につける。
IoTや無線通信技術等の発展に伴い、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」がネットワークに接続し、情報の自由なやり取りを行うことができるユビキタスネットワーク社会は現実的になっている。本科目ではユビキタスネットワークを構築するための、先端ネットワーク基盤・モバイルネットワーク・ネットワークセキュリティ等の基盤技術について、先端事例紹介を織り交ぜつつ講義を行うことでユビキタスネットワークへの総合的な理解を深める。
人工知能の基本的な事項を習得する。認識、学習、推論などの人工知能の基本分野を概観し、それらの基礎となる知識表現と推論および学習手法を学ぶ。さらに、基本的なツールを活用して、現実の問題を解決する方法にもアプローチする。対象分野としては、問題解決、探索、計画、ゲーム、制約充足、知識エージェント、論理的な推論、不確実な推論、機械学習、自然言語、ロボット、人工知能における倫理などを取り上げ、基本的な課題解決方法を学んでいく。
人工知能の応用的・先進的な事項を習得する。先端的な知識表現と推論および学習手法、それらを応用したデータマイニング手法を取り上げる。ツールを理解し、活用する方法を学ぶとともに、現実問題に適した深層学習等を実装するスキルを体得し、社会において新しい価値を生み出す能力を身に付ける。対象分野としては、決定木、ルール学習、ナイーブベイズ学習、相関ルール、クラスタリング、ニューラルネットワーク、アンサンブル学習、帰納論理などに取り組む。
実践的な研究を通じて、身につけた専門性や思考力・実践力をアウトプットする
「共通領域」は、学生が自身の課題感や志向に合わせて専門性を深めるうえで、共通的に学ぶことを想定した科目群です。「共通領域」では主に、専門的知識・技術を活用・実践する力を身につけます。情報学の専門科目に加え、社会での実践・活用を重視した科目が充実していることが情報学研究科の大きな特長です。
選択 / 必修 | 科目 | 概要・特色 |
---|---|---|
必修 | 「情報学特論」 | 情報分野の各領域について専門の教員が解説を行い、各領域の位置づけや課題、活用可能性を理解する。 |
選択 | 「情報学演習」 | プログラミングを中心に演習を行い、情報分野の知見・技術を実装していくための基盤となる技術を獲得する。 |
「デザイン思考」 「プロジェクト管理」 |
活用・実践のベースとなる思考法や、実務的方法論等、獲得した専門性を高度に運用する能力を獲得する。 | |
「情報展望論」 「インターンシップ」 |
多様な産業における現状を理解し、あるいは学生自身が実際の現場を体験することで、専門性の活用可能性について具体的な展望を得る。 |
「専門領域」では、専門的知識・技術の社会における活用・実践に向けて、各学生がその志向や課題意識に応じた情報分野の高度な専門性を身につけます。「専門領域」は、基盤インフラである情報ネットワークを構築する技術(ハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク等)に関する「基盤情報科目群」と、情報ネットワークのなかで各種の課題に対応する応用的技術(人工知能・知能ロボティクス・コンピュータグラフィックス等)に関する「応用情報科目群」から構成されています。
「課題研究」では、研究指導教員の指導のもと、研究計画立案、仮説構築、実験、検証、論文作成といったプロセスを実践し、「共通領域」「専門領域」で身につける能力の発揮、定着を図ります。必要な単位数の修得とともに、課題研究を通じて作成される修士論文によって、「修士(工学)」の学位が授与されます。
科目 区分 |
授業科目の名称 | 配当年次 | 単位数 | メディア 授業対象 |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1年次 | 2年次 | 必修 | 選択 | ※対面での受講も可能 | |||||
前期 | 後期 | 前期 | 後期 | ||||||
共通領域 | 情報学特論 | 〇 | 2 | 〇 | |||||
情報学演習 | 〇 | 2 | |||||||
デザイン思考 | 〇 | 2 | 〇 | ||||||
情報展望論 | 〇 | 2 | |||||||
プロジェクト管理 | 〇 | 2 | 〇 | ||||||
インターンシップ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 2 | ||||
専門領域 | 基盤情報科目群 | 情報数学特論 | 〇 | 〇 | 2 | 〇 | |||
論理設計技術特論 | 〇 | 〇 | 2 | 〇 | |||||
基盤ソフトウェア特論 | 〇 | 〇 | 2 | 〇 | |||||
並列コンピューティング特論 | 〇 | 〇 | 2 | 〇 | |||||
ユビキタスネットワーク特論 | 〇 | 〇 | 2 | 〇 | |||||
サイバーフィジカルシステム特論 | 〇 | 〇 | 2 | 〇 | |||||
ヒューマンインタフェース特論 | 〇 | 〇 | 2 | 〇 | |||||
応用情報科目群 | 人工知能基礎特論 | 〇 | 〇 | 2 | 〇 | ||||
人工知能応用特論 | 〇 | 〇 | 2 | 〇 | |||||
空間情報学特論 | 〇 | 〇 | 2 | 〇 | |||||
知能ロボティクス特論 | 〇 | 〇 | 2 | 〇 | |||||
コンピュータグラフィックス特論 | 〇 | 〇 | 2 | 〇 | |||||
課題研究 | 課題研究Ⅰ | 〇 | 2 | ||||||
課題研究Ⅱ | 〇 | 2 | |||||||
課題研究Ⅲ | 〇 | 2 | |||||||
課題研究Ⅳ | 〇 | 2 | |||||||
合計(22科目) | 10 | 34 | - |
学位 | 修士(工学) |
---|---|
修了要件 | 情報学研究科情報学専攻(修士課程)の修了要件は、下記を含めた合計30単位以上を修得し、かつ必要な研究指導を受けたうえで論文の審査および最終試験に合格することとする。 【共通領域】 必修2単位を含む6単位以上 【課題研究】 必修8単位 |
1学年の 学期区分 |
2期 |
1学期の 授業期間 |
14週 |
1時限の 授業時間 |
100分 |
社会人入試からの進学者は必ずしも情報系学部・学科をバックグラウンドとはしていません。合格者のうち、その経歴・職歴から情報分野の知識のキャッチアップが必要な方には、オンラインによる入学前教育の受講をご用意しています。
情報学研究科では、修士課程の標準修業年限2年を3年に変更することができる長期履修制度を設けています。この制度によって、仕事を持つ社会人の方は自分の状況に合った修業年限を選択することができます*1。なお、授業料等の納付金は、どちらの修業年限を選択しても在学中に必要な合計金額は同一となります。
*1 長期履修制度の適用は入試の出願時、または在学中に(1度限り)申請することができます。
ひとりひとりに充実のコミュニケーション・指導体制
各学生には、研究指導を担当する主・副研究指導教員を配置。
研究指導教員は学生の研究計画や志向に応じた専門分野を持つ教員が担当し、「課題研究」を通じて学生の研究活動を指導します。
また、研究指導教員は学生の研究計画や進捗に応じて、学習が必要な科目の履修指導も実施。
学生ひとりひとりが指導教員との充実したコミュニケーションを重ねながら、研究指導・履修指導を受けることができます。
研究科・専攻の名称 | 情報学研究科 情報学専攻修士課程 |
---|---|
入学定員・収容定員 | 入学定員10人 / 収容定員20人 |
学位名称 | 修士(工学) |
以下概要は2024年度入試の内容であり、参考のために記載しています。
区分 | 出願期間 | 試験日 | 合格発表日 | 入学手続 締切日 |
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第Ⅱ期募集 | 2024年1月5日(金) ~1月12日(金) |
2月17日(土) | 2月22日(木) | 3月1日(金) |
申請期間 | 審査結果発表 |
---|---|
2023年11月22日(水)~11月29日(水) | 12月8日(金) |
研究科 | 専攻 | 課程 | 選考区分 | 試験科目 |
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情報学 | 情報学 | 修士 | 一般入学試験 | 英語(TOEIC®)、専門科目、面接 |
飛び入学試験※1 | 英語(TOEIC®)、専門科目、面接 | |||
社会人入学試験 | 面接 |
入学試験(出願資格等)の詳細は、入試サイトをご確認ください ▶︎