高齢者と若者の新しい共生の形とは何か

法・社会・社会福祉 ---------------------------- 2023-74 川﨑 一平 助教 高齢者と若者の新しい共生の形とは何か 健康科学部作業療法学科 ■研究業績等 【著書】 ・教科書『レクリエーション第3版活動と参加を促すレクリエーション第3章脳血管障害(成人)』三輪書店(共著):2021/02 ・教科書『臨床作業療法NOVA,認知症の作業療法,観察力と認知症の作業療法過程各論,学びと観察』青海社(共著):2021 【論文】 ・学術論文「NeuropsychiatricInventoryQuestionnaireassociatedwithcognitivefunction,age,anddurationofeducationinpatientswithAlzheimer'sdisease」DementiaandGeriatricCognitiveDisorders,2022;51(3):285-290.(共著):2022/11 ・学術論文「AnalysisofLatentFactorsUnderlyingConceptionsofPeoplewithDementiaandtheEffectsofSocialResources」BiomedicalJournalofScientific&TechnicalResearch39(2):31136-31143(共著):2021/10 ・学術論文「COVID-19流行下における団地高齢者と大学生のリモート型世代間交流の実践」世代間交流学会誌11(1):41-47(共著):2021 【学会発表】 ・COVID-19流行下における高齢者の作業剥奪状態の調査研究-世代間比較と新しい生活への適応-(第55回日本作業療法学会全国大会):2021/09/10 ・地域活性化を目的とした世代間交流の取り組み-コロナに配慮したリモート型健康イベントを通しての発見-(第55回日本作業療法学会全国大会):2021/09/10 ・高齢者を対象としたオンライン「ものづくり教室」の取り組み(第55回日本作業療法学会全国大会):2021/09/10 日本では高齢化と世帯規模の縮小を背景に、「異世代ホームシェアリング」が近年注目を集めています。これは独居高齢者が、若者に自宅の空き部屋を低廉な家賃で間貸しすることで、それぞれがメリットを享受できる新しい地域共生の仕組みです。高齢者の社会的孤立や孤独死が問題視される中、異世代ホームシェアリングは高齢者に活気ある生活を与え、また若者による「緩やかな見守り活動」としての機能も果たすため、福祉的意義も大きいと言えます。本研究では、国内で初めて行政と民間企業が共同して異世代ホームシェアリングを推進している「京都ソリデール事業」に焦点を当てます。2015年から始まったこの事業は、京都府や委託企業、学術機関、高齢者団体、学生団体等が関わり、これまでに54組(2022年4月時点)のマッチング実績(高齢者と若者の同居成立)があります。関係者へのインタビュー等の実施や、エスノグラフィーの分析手法を用いることで、異世代ホームシェアリングの実態を解明していきます。 本研究では、異世代の二者が共生する現場の実態を把握するために、以下の視点を主軸としたインタビュー調査を実施します。 ①異世代の共同生活によって生じる問題と利点 ②生じた問題に対する両者の対応策 ③異世代ホームシェアリングを開始するまでに至った経緯や同居が継続している理由 ④同居を解消したケースの理由やプロセス 「異世代ホームシェアリング」は地域共生社会の実現に向けた新しい取り組みであり、国内で具体的事例を取り扱った既存研究はほとんどありません。 今後は、国内の先進事例を踏まえた実践モデル研究への発展や、京都ソリデール事業の要素分析による事業評価アセスメントの開発、高齢者社会福祉政策への提言等を目指します。 異世代ホームシェアリング、共生、エスノグラフィー、ヘルスプロモーション