保育の専門的実践に作業療法の視点を加味することで子どもの支援の幅が広がります

法・社会・社会福祉 ---------------------------- 2023-79 森本 誠司 准教授 保育の専門的実践に作業療法の視点を加味することで子どもの支援の幅が広がります 健康科学部作業療法学科 ■研究業績等 【著書】 ・著書『クリエーション~活動と参加を促すレクリエーション(第3版)』三輪書店(共著):2021/02 ・著書『月齢別発達が気になる子どもの早期療育・育児支援ガイドブック』メディカ出版(共著):2019/05 ・著書『子どもの理解と援助のために感覚統合Q&A改訂第2版』協同医書出版(共著):2013/09 【論文】 ・学術論文「介護サービス利用者の生きがい就業における金銭的大家の意義」労働科学97(1):1-13(共著):2021/11 ・学術論文「ContinuousVitaminD3SupplementationEffectivelyImprovestheLowVitaminDStatusinChildrenwithAutismSpectrumDisorder」InternationaljournalofNursing&ClinicalPracticesVolume7(共著):2020 ・学術論文「感覚の違いがある子どもの遊び方の理解と保育での対応」保育:2017/10 【学会発表】 ・小児の血清ビタミンD濃度と食事調査について(日本ビタミン学会第72大会):2020/07 ・感覚の感じ方の違いに着目した子どもの気になる行動の理解と保育での対応(第3回日本保育ソーシャルワーク学会研究大会):2016/12 ・感覚特性のある子どもに対する水遊びの紹介と分析(第2回日本保育ソーシャルワーク学会研究大会):2015/11 発達が気になる乳幼児の支援に作業療法士がかかわることは少なくありません。保育場面においても、保育士と作業療法士が協働することも見られるようになってきました。しかし、保育と作業療法では、共通する活動である「遊び」に対しても視点の相違があるのも事実です。 そのため、保育でもなじみのある水あそびを、感覚に偏りがある子どもの遊び(具体的には、泡遊びなどを一緒に行う水遊び)として作業療法士が提案し、保育士と協働して実施しました。実施後に、協働しようとする保育士にどのような気持ちの変化があるのか、保育士にインタビューを行い明らかにしました。 結果、初めは、保育と違う素材や遊び方に驚き、疑問を持ちますが、子どもの喜ぶ姿に、作業療法士が発案した遊びを受け入れ、次いで、子ども自ら積極的に遊ぼうとする姿に、保育士が協働して遊びを行うことを容認するプロセスがわかりました(右の図参照)。 子どもの個性を踏まえ、多様性のある子どもの集団を保育するインクルーシブ保育には、多専門職の視点も取り入れ一人一人の子どもを正しく理解するのに加え、適切な支援の方法を実施できるようになることが重要です。発達が気になる子どもの支援において、保育と作業療法は近接領域にあり、遊びを共通の活動として、協働、かつ、協創していくことが可能だと考えます。 インクルーシブ保育への展開のために、保育の中に作業療法士の視点をどのように生かしていけるのか継続して研究していきます。 インクルーシブ保育、作業療法、協働、気になる子どもの支援、感覚統合(療法)