研究シーズ集

リハビリテーション ---------------------------- 2024-37 兒玉　隆之　教授 感覚運動脳機能障害に対する個別最適化リハビリテーションシステムの開発 健康科学部理学療法学科 ■研究業績等 【主要な論文】 ・Kodama T, et al.: Neurophysiological Examination of the Eff ects of Behavioral Antecedents on Physical Balance in Older Individuals. Phys Med Rehabil Int. 2022, 1202. ・ Kitai K, Kodama T, et al.: Eff ectiveness of Sensory Compensation Approach for Hand Sensory-Motor Dysfunction Following Central Cervical Spinal Cord Injury. Int J Phys Med Rehabil. 2022, 10(649), 1-9. ・ Kodama T: Development of a multisensory stimulation therapy device for the realization of tailor-made neurorehabilitation.Impact 2021, 5, 72-74. ・ Kitai K, Kodama T et al.: Evaluation of Intervention Eff ectiveness of Sensory Compensatory Training with Tactile Discrimination Feedback on Sensorimotor Dysfunction of the Hand after Stroke. Brain Sci. 2021, 1,1314. ・ Kodama T et al.: Treatment of Medial Medullary Infarction Using a Novel iNems Training: A Case Report and Literature Review. Clin EEG Neurosci. 2019, 50(6), 429-435. 【学会発表】 ・ 村上貴士, 兒玉隆之ら: 回復期右視床梗塞患者に対する脳波BCI システムiNems の効果検討. 第20 回日本神経理学療法学会学術大会, 2022. ・ 兒玉隆之: 機能から捉える脳内ネットワーク. 一般社団法人日本神経理学療法学会「第23 回サテライトカンファレンス愛知」, 2021. ・ 北井拳, 兒玉隆之: 中枢性神経障害者における手の感覚運動機能障害に対する触知覚弁別フィードバック型感覚代償トレーニングの介入効果検証. 第12 回日本ニューロリハビリテーション学会学術集会, 2021. 【特許】 ・ 関節の角度測定装置及び関節の曲がり具合の測定方法，特願2023-67115 （出願日：2023 年4 月17 日） ＜特許権者＞学校法人京都橘学園 ＜発明者＞兒玉 隆之，山口 秀明 ・ 脳波を用いた対象物制御方法および制御装置，特許第6553492 号 （出願日：2015 年11 月30 日） ＜特許権者＞学校法人京都橘学園 ＜発明者＞兒玉 隆之 近年、増加の一途をたどる「脳卒中」は、その後遺症として心身に様々な神経症状を呈することを特徴とします。しかしながら、現時点においては、これら多様な障害に応じたリハビリテーションは確立されていません。このような中、新たなリハビリテーション（神経科学リハビリテーション）として、実際の運動を行わずとも身体運動を再構築させる介入手法が注目されています。 本研究では、脳卒中後後遺症の一つ「感覚運動機能障害」に対する機能再編を目指しています。具体的には、脳内で能動的に目的運動をイメージさせ、その脳活動が運動発現に関連する活動となった場合、視覚や筋への電気刺激、振動刺激による多感覚情報を代償的に受動入力させることで、運動のイメージと感覚入力情報を脳内で同期的に協応させることが可能となる『多感覚刺激BCI フィードバック装置』を開発し、臨床応用を目指しています。 （図１） これまでの取り組みの中で、健常者が身体運動をイメージする際、右脳および左脳の補足運動野領域は両側同期的に活動することを明らかにしました。一方、脳卒中後は脳機能の左右不均衡が生じるため、これらを是正させ機能再編成・再構築を目指すことが重要となります。本研究に関連するこれまでの研究成果として、我々は麻痺肢への能動的な運動意図を反映した脳機能反応に対して、即時的に多感覚情報入力へつなげることができる脳波信号センシングシステム（特許6553492 号）を開発しました。（図２） 本システムを用いた研究成果として、感覚運動機能障害患者に対する脳の左右不均衡是正へ向けた介入の効果を報告しています（Kodama etal.,2019; 片山ら,2019）。また、フィードバックする感覚情報モダリティを変化させ、身心へ及ぼすそれらの効果についても検証しています（Kitai&Kodama, 2022;Kodama et al.,2023）。今後は、対象者それぞれにおいて最も効果の高い感覚刺激を同定する（個別最適化）システムを構築し、より多くの後遺症を有する方々に対して介入を行うことでリハビリテーション治療機器としての実用化を目指します。 ・ これまで" 回復しにくい" といわれてきた脳機能障害に対する先進的なリハビリテーションの創出します。 ・ 多企業との共同研究（産学連携）実績を基盤に、神経生理学的知見から汎用性の高い脳波センシングシステムを開発します。 ブレインコンピュータインターフェイス(BCI)、脳波、リハビリテーション