動物の行動から人のこころを探る
心理
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2024-50
坂本敏郎教授
動物の行動から人のこころを探る
総合心理学部 総合心理学科
■ 研究業績等
【著書】
・著書『臨床心理学と心理的支援を基本から学ぶ』(共著):2021/09
・著書『神経・生理心理学 ー基礎と臨床、わたしとあなたをつなく心の脳科学ー』 ナカニシヤ出版 (編者(編著者)):2020/05
・著書『心理学概論 こころの理解を社会へつなげる』ナカニシヤ出版(編者(編著者)):2018/09
【論文】
・学術論文「Oxytocin receptors in the prefrontal cortex play important roles in short-term social recognition in mice」 Behavioural Brain Research 456(114706)(共著):2024/01
・学術論文 「The prelimbic cortex but not the anterior cingulate cortex plays an important role in social recognition and socialinvestigation in mice」PLOS ONE https://doi.org/10.1371/journal.pone.0284666 (共著):2023/04
・学術論文 「Prefrontal cortex is necessary for long-term social recognition memory in mice」 Behavioural Brain Research, 435:114051. doi: 10.1016/j.bbr. 435 (共著):2022/08
【学会発表】
・The prelimbic cortex but not the anterior cingulate cortex plays an important role in social recognition and social motivation in mice(日本動物心理学会第 83回大会):2023/10/08
・Role of oxytocin receptors in the prefrontal cortex on social recognition memory in mice(日本神経科学学会第 46回大会): 2023/08/02
・楽観性・悲観性とメンタルヘルスの関係性におけるマインドセットの役割(第 86回日本心理学会):2022/09/10
マウスを用いて記憶・学習、情動性・社会性に関わる脳内機構を調べる研究を行っています。研究の手法は、マウスの脳内に各種受容体の作動薬や阻害薬を投与し、情動性・社会性や認知機能を調べる行動テストを行うというものです。 これまでに、オキシトシンの投与がマウスの社会性や情動性に与える影響を検討してきました。最近の研究では、マウスの前頭前皮質が社会的動機づけや社会的記憶に果たす役割を明らかにしました。現在は、長期間にわたるマウスの社会的認知機能を検討するための新規の行動テストの開発を試みています。また、自発的な運動や社会的に豊富な環境が、社会的隔離を受けたマウスや自閉症のモデルマウスの行動を改善できるかを検討しています。将来的には、これらの研究をヒトの自閉症や統合失調症の病因解明や評価基準の開発などの応用的な研究へつなげていきたいです。
これまでにマウスとラットの行動実験と脳研究を行ってきました。8 方向放射状迷路、瞬目反射条件づけ、社会的認知課題、明暗箱往来課題、高架式ゼロ迷路課題等を、研究室で実施できます。脳を操作する方法としては、損傷法、脳内薬物投与法、腹腔内薬物投与法が使用できます。実験室には、動物飼育室と行動解析室、組織解析室が備わっており、マウスやラットの行動実験、脳切片の作成やニッスル染色等を行うことができます。 遺伝子組換えマウスの行動解析や RNA干渉法の実験経験もありますので、今後は光遺伝学などにも挑戦して、脳内分子と行動との関係を検討していく予定です。人の前頭前野の機能にも興味があり、げっ歯類(マウス、ラットなど)とヒトに共通する脳機能や行動に関する研究も始めたいと考えています。
ヒトと動物に共通する行動の脳内機構の解明を目指しています。
マウス、学習・記憶、社会・情動行動、海馬、扁桃体、前頭前野、オキシトシン
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