企業は環境変化にどう対応するか?
経済・経営
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2024-71
平尾 毅 教授
企業は環境変化にどう対応するか?
経営学部経営学科
■ 研究業績等
【著書】
・著書『Industries and Global Competition: A History of Business Beyond Borders』Routledge (共著):2017/09
・著書『やさしく学ぶ経営学』学文社(共著):2015/03
・著書『日本企業研究のフロンティア①』 有斐閣 (共著):2005/06
【論文】
・学術論文「科研費研究課題におけるイノベーションに言及した研究の動向:テキストマイニングによるパイロットスタディ」京都橘大学研究紀要 48:115-132 (共著):2022/02
・学術論文「日本企業における「イノベーションという言葉」の普及:有価証券報告書のマイニングを通じて」武蔵野大学経営研究所紀要 (4):115.142 (共著):2021/09
・学術論文「新型コロナウイルス(COVID-19)に関する新聞社説の論調:時系列の変化と新聞社ごとの特徴」武蔵野大学経営研究所紀要(3):71-92 (共著):2021/03
【学会発表】
・創られた伝統と制度変容:英国キャドベリー社の科学的管理法導入プロセス(経営史学会関西部会大会):2019/08
・制度変化と伝統:キャドベリー社における科学的管理法の導入(経営史学会関西部会 2018年度 12月例会):2018/12
・How firms pursue new business opportunities?: the case of the Japanese textile industry(Asia Pacific Economic and Business History Conference2018):2018/02
自由意思をもつ個人と社会的実在としての制度の関係について研究しています。新古典派経済学によると、効率を有する制度は 1つです。この考えに基づくと、非効率な制度はより効率的な制度に取って代わられることになります。バブル経済崩壊後には、日本的経営の強みとされた組織志向的な制度から、欧米のような市場志向的な制度に転換しなければならないと言われ、成果主義をベースにした制度の導入が試みられました。 制度は諸個人の行動を形式合理的な基準で一義的に評価します。個人は自らが従う制度の下で規範となる行動様式を学習していきます。この学習は制度の最適解を求める効率化のプロセスとなり、制度の安定性や予測可能性を高めますが、しばしば制度の硬直化をもたらし、制度変容を難しくします。しかし、同一の制度の下であっても、個人は自分の意思で自由に考えて行動する自由意思をもっているので、本来、個人の学習内容はより広範で多様なはずです。実際に、人事評価は多義的な基準で行われ、どの基準に重点を置くかで制度には多様なバリエーションが存在します。加えて、制度は経路依存性という特徴をもつため、それぞれが効率性を発揮して存在し得ます。そうした制度が大きな環境の変化に直面し、変容するにはどのような正当化プロセスが必要なのか興味が持たれる点です。
第 4次産業革命の進展がさまざまな社会課題の解決をもたらすと期待される一方で、経済活動や公共サービスなどの幅広い分野で創造的破壊をもたらすことが指摘されています。否応なしに進行していく環境変化に対して、既存の制度の効率性向上にとどまらず、企業はどのように対応したら良いのか。これまでのイノベーション研究の成果を踏まえて事例ベースで研究しています。 また、AIや ICTの進歩が比較的にスキルを必要としない仕事やバックオフィス業務に取って代わるだけでなく、多様で柔軟な働き方を実現する可能性が指摘されています。従来の人事制度の見直しが求められる中で、制度変容のプロセスはどのように生じ進行するのか、これまでの人事制度の変容プロセスに着目し研究を実施します。
制度変容に必要な歴史的視座の提供
イノベーション・マネジメント、経営戦略論、経営組織論、人的資源管理論、経営史
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