社会的文脈の解釈と非合理的行動に関する研究
経済・経営
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2024-73
牧 和生 准教授
社会的文脈の解釈と非合理的行動に関する研究
経済学部経済学科
■ 研究業績等
【著書】
・著書 『コンテンツツーリズム研究〔増補改訂版〕アニメ・マンガ・ゲームと観光・文化・社会』福村出版(共著):2019/04
・著書『コンテンツツーリズム研究 情報社会の観光行動と地域振興』 福村出版 (共著) : 2015/08
【論文】
・学術論文「ゼロ年代以降における日常系 4コママンガ作品のアニメ化に関する研究」国際・経済論集九州国際大学現代ビジネス学会 (6):47-70 (単著) :2020/10
・学術論文「コンテンツ文化におけるホスピタリティの重要性.経済学とコンテンツ文化(コンテンツ文化史)の邂逅.」国際・経済論集九州国際大学現代ビジネス学会 (5):121-140 (単著):2020/03
・学術論文「文化における「意味」の役割」文化経済学文化経済学会〈日本〉 16(2):4-9 (単著):2019/09
【学会発表】
・社会的文脈の異なる提示条件がもたらす心的影響の差異に関する研究(文化経済学会<日本> 2022年度研究大会):2022/07
・アートを対象とした人の主観的感覚と理性・行動の関連(文化経済学会〈日本〉2018年度大会):2018/07
・こだわり、共感およびホスピタリティと文化に関する認知科学的試論(文化経済学会〈日本〉2015年度大会):2015/07
経済学に心理学を取り入れた行動経済学と呼ばれる研究分野は、近年多くの研究成果が発表され、目覚ましい発展を遂げています。 われわれは、経済学が想定しているような合理的な意思決定をいつもしているわけではありません。また、必ずしも金銭のために行動するわけでもありません。このような視点に立ち、文化の中でも特にサブカルチャー(現代のアニメ文化)に関する市場の隆盛、ブームとなった要因、文化内で見られた特徴的な消費や行動様式を行動経済学の理論を援用しつつ、研究を進めています。日本のアニメコンテンツは世界中から注目されている一方で、その文化を消費するファンの行動は経済学の領域ではあまり研究されてはきませんでした。 しかし、コンテンツ消費をきっかけにさまざまな出会いが生まれ、それらは文化の変化に大きく影響を与えます。その文化内のダイナミズムに対して、人間の行動や心理という側面から研究するのが、私の研究テーマの 1つです。
サブカルチャーにおける消費に関する研究では、文化を消費する経済主体は共感欲求、収集欲求、帰属欲求などが強く表れると指摘されています。また、サブカルチャーに傾倒する人の一部の行動は、世間からは理解されにくいものもあります。しかし、異なる価値観を受け入れ、他者を許容することは文化の成長や発展に不可欠なものです。異なる価値観を受け入れるためには、われわれはホスピタリティの精神を持って他者と接する必要があります。 ホスピタリティは、誰かにおもてなしするというだけのものではなく、異なる価値観の他者を認め、歓迎するというものです。現在、「聖地」と呼ばれるアニメなどの舞台となった地域ではコンテンツツーリズムが多く見られます。コンテンツツーリズムが盛り上がった地域を観察すると、地域の住民と旅行者の間でホスピタリティが成立し、ホスピタリティが文化の発展に重要な役割を担っていることがわかるのです。
・ 一見理解しにくい行動でも、実は相手にとっては重要な意味のある行動かもしれません。
・ホスピタリティは他者との共存・共栄になくてはならない要素です。
非合理的行動、ホスピタリティ、非金銭的インセンティブ
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