「オープンファクトリー」―産地における中小企業連携によるイノベーション―
経済・経営
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2024-75
丸山 一芳 教授
「オープンファクトリー」 産地における中小企業連携によるイノベーション
経営学部 経営学科
■ 研究業績等
【著書】
・著書 『第10章「奈良県の日本酒メーカーによる新しい酒文化とイノベーション 梅乃宿酒造の事例分析」 ,
『地域産業の経営革新と流通・マーケティング戦略 :地域産業の振興と地域創生』』 千倉書房 (編者(編著者)): 2024/02
・ 著書『第 3章「名古屋市の酒造メーカーによる日仏間の知識移転とイノベーション 萬乗醸造の事例分析」, 第8章「新潟県阿賀野市におけるバイオベンチャーの海外展開 バイオテックジャパンによるフィリピン進出の事例分析」, 『地域産業のイノベーションと流通戦略 :中小企業の経営革新と地域活性化』』千倉書房(共著):2020/10・ 著書『第2章「伝統産業の経営革新.200年企業玉川堂(燕市)の事例分析」, 『地域産業の経営革新 : 中小企業の活性化と地域創生』』税務経理協会 (共著):2018/12
【論文】
・学術論文「伝統産業におけるイノベーションを起こす企業家精神.日本酒における塩川酒造の事例研究.」関西ベンチャー学会誌関西ベンチャー学会 Vol.9:26-34(単著): 2017/03
・学術論文「総合型クラブにおける理念浸透が経営に与える影響.北信越地区の総合型クラブの事例から.」事業創造大学院大学紀要事業創造大学院大学 第 8巻(第1号):pp.45-59(共著):2017/04
・学術論文「着物産業における革新と多様性のマネジメント.十日町市株式会社きものブレインの事例研究.」事業創造大学院大学紀要事業創造大学院大学 第 8巻(第 1号):pp.77-90 (共著):2017/04
【学会発表】
・産地における中小製造業の労働生産性推移とオープンファクトリー(日本企業経営学会第 21回全国大会): 2023/08
・中小企業の IoTによる DXとリスキリング.木幡計器製作所の事例分析.(日本企業経営学会第 20回全国大会):2022/08
・産地の活性化における中小企業と行政による知識創造.八尾市の事例分析.(日本地域政策学会第 21回全国研究大会):2022/06
本研究の目的は、伝統産業などの産地における地域イノベーションについて、知識を鍵概念とした理論的モデルを構築することです。特に、「オープンファクトリー」と呼ばれる全国 50か所以上の産地で開催されている地域イノベーションシステムを対象として比較事例分析を実施しています。代表的なものは、福井の「RENEW」、大阪の「FactorISM」などです。 この「オープンファクトリー」とは、産地の企業が連携して、一定期間に複数の製造現場で普段は見せることのない工場や職人の技をあえて公開し、来場者と職人が直接交流・体験するイベントです。近年は、フランスでも産業観光として、同様の取り組みが盛んになっています。このオープンな交流がもたらす新デザイン、事業承継、海外販路の開拓、異業種によるコラボレーションといったイノベーションのプロセスやメカニズムについて明らかとしたいと思います。
新潟の「燕三条 工場の祭典」、福井の「RENEW」、大阪の「FactorISM」、和歌山の「和歌山ものづくり文化祭」、香川の「CRASSO」をはじめ、全国のオープンファクトリーの事例についてフィールドワークを複数年に渡って実施しています。また、鍵となる企業、行政、大学、デザイナー、コンサルタントの方々にインタビュー調査を実施しています。そして、産地のイノベーションという視点から知識創造、知識共創、知識移転、越境などを鍵概念にこの研究を発表してきました。 また、経済産業省近畿経済産業局による『OPEN FACTORY REPORT 2.0(令和 5年度)<全国版>』においても研究会の座長を担当し、作成に協力することで還元しています。 さらに、中小企業の人的資本経営においても、オープンファクトリーをいかに活用すべきであるのかという議論を経済産業省九州経済産業局「令和 5年度九州経済産業局における地域中小企業・小規模事業者の人材確保支援等事業」において還元しています。 広く社会にわかりやすい還元として、日本経済新聞では、2023年 4月、10月、12月に、読売新聞では 11月に、オープンファクトリーについてコメントしています。
現場の手触りを大切にして、理論的にも実務的にも示唆のある調査・研究を目指しています。2024年度は、兵庫県尼崎市、奈良県広陵町など地域行政のみなさんとも連携した調査研究を実施していきます。
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