
あなたは明日、どんな新しい自分に出会いたいですか?
「たちばな教養学校 Ukon」は、多様な他者との共助・協働=〈ケア〉の精神に支えられた寛容な社会をめざします。 学びを通じた予想外の出会いから起こる自らの変化を楽しみ、人と人とのつながりや「対話」を通して、それぞれの人生を豊かにするきっかけとなる学校でありたいと思います。
もっと自由に、しなやかに。未来にむかった世界への広がりを感じながら、“生きる” をもっと深く味わってみませんか。
学頭・河野通和より

人生は、クイズ番組の「早押し」競争ではありません。
正解を求めて目の色を変える必要などないのです。自分の胸にストンと納得のいく答えを得るまでには、それなりの時間と労力を要します。慌てず、騒がず、焦らずに、そのプロセスを我慢強く耐えていれば、しだいに心身が解きほぐされ、考えること自体がおもしろくなってくるから不思議です。まして誰か仲間と「場」を共有し、一緒に問いを分かち合うと、なおさらに――。
いまいる環境になじめない、先の見えない不安に襲われる、生きづらい……私たちの人生や社会は、容易に答えの見つからない厄介な事柄に溢れています。そんな岐路に立たされた時、思いがけない出会いや体験が、あなたを支えてくれるかもしれません。
それこそが「生きた教養」なのだと思います。この講座を通して、あなたのなかの何かが変わり、視野が少し広がって、明日に向かう勇気と希望が湧いてくることを祈ります。
学頭が考える<ケア>の精神
「みんなちがって、みんないい」(金子みすゞ)——
多様性(ダイバーシティ)が賞賛される時代です。しかし、個性や価値観、利害の異なる人たちと、実際に「共助・協働」するのは決して容易なことではありません。カギになるのは、エンパシー(人を思いやる力)だと思います。他者の内面に想像力をはたらかせ、対話し、配慮し、お互いの生を支え合う――「共生」の精神、広い意味における「ケア」の創造的な営みがその核ではないかと思います。
私たちは誰しもケアする、ケアされる関係性の中に生きています。それは医療や福祉の世界に限ったことではなく、育児や仕事など私たちの個人的な、あるいは社会的な活動全般において、さらには「生命の網」自体にいたるまで、存在の基盤はすべて「共助・協働」に支えられています。競争、対立、分断が際立つ時代だからこそ、分かち合い、他者をいたわる寛容の社会を築くため、私たちの心の中にあるケアの精神を改めて耕したいと考えます。
1953年、岡山市生まれ。東京大学文学部ロシア語ロシア文学科卒業。 1978年、中央公論社(現中央公論新社)入社。おもに雑誌編集にたずさわり、「婦人公論」「中央公論」編集長を歴任。取締役雑誌編集局長兼広告統括部長を最後に、2008年、同社退社。 2009年、日本ビジネスプレス特別編集顧問に就任。 2010年、新潮社に入社し、季刊誌「考える人」編集長を6年9ヵ月務める。その間、週に一度配信した編集長のメールマガジンは1万8000人超の登録者に愛読され、『言葉はこうして生き残った』(ミシマ社)、『「考える人」は本を読む』(角川新書)の2冊の著書となる。 2017年3月、同社を退社。翌月、株式会社ほぼ日入社。「ほぼ日の学校(のちに學校)」初代学校長を務める。 2021年10月末に退社。「河野文庫」を立ち上げ、編集者・読書案内人として活動する。 2022年4月より京都橘大学客員教授となり、現在にいたる。