
スタッフレビュー
非凡は、平凡のとなりにある?
2025年最後の講義は、『赤毛のアン』の翻訳者・村岡花子を祖母に持つ村岡恵理さんを講師に迎えました。
NHKの連続ドラマ「花子とアン」を見ていた方は、安中花子がどのようにして翻訳家の道を歩んでいったのか、知っている(つもりの)方もいらっしゃったと思います。
けれど、村岡さんの口から“祖母の物語”として聞くと、はるかに手触りのあるストーリーとして響いてきましたよね!
花子が紡ぎ出した言葉「非凡に通じる、洗練された平凡」というのは、戦争や女性の立場が限られていた時代背景を考えると、花子にとっての「平凡」は現在の私たちが想像できないほど貴いものだったのだなと、腑に落ちた気がします。
今回は事前に「あなたにとっての洗練された平凡とは?」という課題が出ていました。
村岡さんが回答者と対話しながら、最後にまとめてくださった言葉が印象的でした。
「 “洗練された平凡” には、目に見えないけれど透けて出る清潔さや美しさ、日々の継続、小さなものを愛する力のようなものを感じますね。
つまり、そういったことを感じられる“感受性”が大切です」
村岡さんご自身も『赤毛のアン』を読むと、曇った目や心を再起動できるとおっしゃっていましたが、アンこそ感受性の塊ですよね。
けれど、みなさんの感受性によって編まれた回答を見ると、「平凡なことって、そもそもあるのかな?」とも思いました。
非凡は、平凡のすぐとなりに(あるいは同義のことも)あるかもしれません。
最後に村岡さんが紹介された、陸上選手・田中希実さんの寄稿文をここにも抜粋しておきます。
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洗練された平凡は、非凡に通じる――村岡花子
走ることは単純作業です。平凡でも自分なりに洗練した一歩にしていけば、
振り返れば非凡な道筋ができていることを信じさせてくれる言葉です。
しかしこの言葉の真価は、言葉そのものの説得力というよりは、
彼女の作品群や彼女の在り方から、滲み出るように感じとれるものです。
平凡であることは恥ずべきどころか、
愚鈍なまでにその可能性を研ぎ澄ませていけることを、
私も言葉や理屈を超えて、走りを通して感じてもらえるようなランナーになりたいです。
家庭画報 連載「言葉の道しるべ」6月 継続
選・文=田中希実(陸上選手)
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かくあれかしと思いながら、新しい年を迎える気持ちが引き締まった気がします。
それではみなさん、来年もUkonでお会いしましょう!
講師からのメッセージ
暮れの押し詰まったお忙しい時期に、講座へご出席くださり本当にありがとうございました。皆さまの「洗練された平凡」への答えに触れ、日々の継続や小さなものを愛する力、清潔感、些細なことを意識的に汲み取り、それを大切にする丁寧な暮らしこそが非凡へ通じる道だと改めて確信しました。戦争や制約の多い時代に、花子が「平凡」をどれほど貴いものとして見つめていたか――その視線を、私たちの生活にも引き寄せて考える時間になっていれば幸いです。
確かに「非凡は平凡のとなりにある」そして、京都には「非凡に通じる平凡」がいっぱいありますね!どうか今日の気づきを、明日の一分の余白や一言のねぎらい、感謝として育て、折にふれて自分に問いかけてみてください。2026年が皆さまにとって実り多く、心明るい一年となりますようお祈りしております。
受講者の声
村岡花子さんの「よい物語を世に送り出したい」という情熱に、改めて心を動かされました。「平凡」な自分は「非凡」な人を見ると、つい自分をつまらない人間だと思ってしまいます。でも、まっすぐで誠実な平凡を、これからも大切に続けていこうと思います。
「赤毛のアン」が空襲のさなかに翻訳されたことは知っていましたが、村岡花子さんが「これを世に出さねば」という強い想いを抱くに至った経緯を知ることができ、嬉しかったです。
「赤毛のアン」というタイトルになった秘話も素敵。自分のためだけでなく、人々や未来のために決断されたことに、この作品の存在価値を感じました。
村岡さんの話し方に、洗練された平凡さを感じました。言葉づかいがとても丁寧で、美しかったです。
家族の人生、周囲の人々の歩み、出版界の動き、そして世界と日本の歴史を並走させながら、それらのつながりを巧みに語る話術が素晴らしく、引き込まれました。花子の作品や、彼女に影響を与えた人物についてのエピソードも、とても興味深かったです。
近代史の中に、アンや花子さんの人生や暮らし、そして痛みを感じることができ、「本」という出版物が急に輝いて見えました。どれだけの思いが詰まっているのか…と考えさせられます。
概要
「たちばな教養学校 Ukon」は、「生きる」をもっと深く味わうための対話の場※です。学ぼう、楽しもうという意欲があれば、どなたでも参加できます。第6期では「伝える――思いを、言葉と行動で」をテーマに、全8回の授業を実施します。
※ 学校教育法第107条に定める公開講座
受講料
- 全8回一括申し込み
- 15,000円/8回
- 各回申し込み
- 2,500円/1回
会場
QUESTION(クエスチョン)7F「クリエイティブ・コモンズ」
〒604-8006京都市中京区河原町通御池下る下丸屋町390-2
https://question.kyoto-shinkin.co.jp
定員
各回100名
申し込みから受講までの流れ
たちばな教養学校Ukonの申し込みから受講までの流れは、以下のとおりです。
1申し込みについて
お申し込みは、イベント管理サイトPeatix(ピーティックス)から「チケット」を購入していただくことで完了します。Peatix以外のお申し込みの方法はご用意しておりませんので、ご了承ください。
※初めてPeatixを利用される方は「Peatix利用の流れ 」もご参考ください。
チケットの種類
「チケット」は、全8回分をまとめて購入する方法(全8回一括申し込み)と、1回ずつ購入する方法(各回申し込み)があります。受付は、全8回一括申し込みから開始します。お申し込みいただいた順に受け付けますので、ご希望の方はお早めにお申し込みください。
- 全8回一括申し込み
- 2025年9月24日(水)から受付開始
- 各回申し込み
- 2025年10月24日(金)から受付開始
- 一度に購入できるチケットは1枚です。グループでご参加の場合もお一人ずつお申し込みください。
- チケットは授業当日の開始時刻まで購入できますが、定員になり次第、締め切らせていただきます。
- チケットのキャンセル・返金の取り扱いは次のとおりです。
- 主催者側の都合によりやむを得ず授業を中止する場合は、チケット代金を返金いたします。ただし、チケット購入・返金に伴う手数料はご負担いただきますのでご了承ください。
- 全8回一括お申し込みの場合は、実施できなかった授業回数に相当する金額を返金いたします。
- 各回申し込みの場合は、購入されたチケット代金を返金いたします。
- 参加者都合によるキャンセル・返金はお受けできませんので、あらかじめご了承ください。
- 主催者側の都合によりやむを得ず授業を中止する場合は、チケット代金を返金いたします。ただし、チケット購入・返金に伴う手数料はご負担いただきますのでご了承ください。
2受講について
受講当日は、以下のものをご持参ください。
- Peatixアプリあるいは印刷したチケット(受付にてQRコードを確認します)
- 筆記用具
- 上記以外にお持ちいただく物がある場合は別途ご案内します。
お申し込み後の授業に関するご連絡
- お申し込み後の授業に関するご連絡は、Peatixにご登録のメールへ行います。「@peatix.com」「@tachibana-u.ac.jp」からのメールを受信できるよう設定してください。
- イベント参加にあたってご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
受講時の注意事項
- 各回開始時刻の30分前に開場する予定です。それ以前のご入場・受付はできませんのでご了承ください。
- 座席は全席自由席です。
- 会場にクロークやロッカーはありません。手荷物は少なめでご来場の上、ご自身での管理をお願いいたします。
- Ukonの授業は、オンデマンド配信用に収録します。ご出席の方はカメラに映る可能性がありますので、ご了承のうえご参加ください。
- 会場内の飲食については「ふたの閉まる飲み物」に限りお持ち込みいただけます。
よくある質問
Peatixを利用したことがありません。電話での申し込みや、現地支払いで参加できないでしょうか。
恐れ入りますが、お申し込みはPeatixサイトからのみ受け付けています。以下のページを参考に、お手続きをお願いします。
PC操作が苦手な方は、周りの方にお尋ねいただくなどの方法をご検討ください。Ukon事務局にご相談いただければ、できる限りお手伝いさせていただきます。お気軽にご連絡ください。
グループで参加します。チケットをまとめて購入することはできますか?
複数人分をまとめてお申し込みいただくことはできません。恐れ入りますが、お一人ずつお申し込みください。
申し込み後にキャンセルはできますか?
原則として申し込み者の都合によるキャンセルはお受けできません(返金は致しかねます)。やむをえない事情がある場合は、 Ukon事務局までご相談ください。
学生割引などはありますか?
学生割引などの割引制度はご用意していません。なお、京都橘大学 通信教育課程(たちばなエクール) に在籍する学生さんには、Ukonのオンデマンド授業を正課授業のひとつとして開講しています。
「オンデマンド授業」とは何ですか。
Ukonで開講する対面授業は、収録・編集した上で別途オンデマンド配信を行っています。これを「オンデマンド授業」(有料)と呼んでいます。オンデマンド授業は、各期すべての授業が終了した後に配信を開始します。オンデマンド授業は、こちら[オンデマンド授業一覧]からお申し込みください。
対面授業に申し込みをした場合、オンデマンド授業を視聴することはできますか。
恐れ入りますが、オンデマンド授業の視聴を希望される場合は、別途お申し込みください(有料)。なお、対面授業を「全8回一括申し込み」でお申し込みいただいた方には、オンデマンド授業を無料で視聴いただけます(対面授業がすべて終了してから、約半年後の配信を予定しています。視聴できる期間は、半年間です。)。
子ども連れでの参加も大丈夫でしょうか。
中学生以下のお子さまは無料で受講できます。その場合、保護者の同伴が必要です。
また、静穏な環境の保持にご協力をお願いします。
授業日までに準備しておくことはありますか?
事前課題が出されることもあります。提出は任意ですが、取り組んでいただくとより一層授業を楽しめることと思います。
授業を録音・録画・撮影することはできますか。
授業を録音・録画・撮影することはご遠慮ください。
講師プロフィール
1967年東京生まれ。『赤毛のアン』などの翻訳で知られる祖母の評伝『アンのゆりかご 村岡花子の生涯』を刊行。NHK連続テレビ小説「花子とアン」の原案となる。姉の美枝氏と2015年まで「赤毛のアン記念館・村岡花子文庫」を主宰。著作に『ラストダンスは私に 岩谷時子物語』他。
『赤毛のアン』(村岡花子訳)を愛読したという多くの人たちに会いました。けれども、村岡恵理さんの『アンのゆりかご――村岡花子の生涯』に接するまで、この名作がどのようにして日本にもたらされ、いかなる運命を経て読者に届けられたかを、実は何も知らなかったのです。