元サッカー日本代表・松井大輔氏が登壇! スポーツ経営学専攻開設記念講演会でこれまでの挑戦とスポーツの未来を語る!
インタビュー
2024.10.03

2025年4月、京都橘大学経営学部経営学科にスポーツ経営学専攻が新設されます。スポーツ経営学では、スポーツを通じて社会貢献できる人材育成のための多様なカリキュラムが用意されています。そんな新たな学びの誕生を記念し、松井大輔さんを迎えた講演会を開催。αステーションDJの前田彩名さんが司会を務め、経営学部経営学科の大野宏之教授も登壇しました。
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※2024年7月にインタビューしたものです。
松井大輔さん
京都市山科区出身の元サッカー日本代表選手。高校卒業後、京都サンガでプロデビューを果たし、以降フランスを皮切りに海外5カ国で活躍。2021年にはプロサッカー選手とプロフットサル選手の二刀流に挑戦し話題を集めた。日本代表として2004年アテネオリンピック、2010年南アフリカワールドカップに出場。2024年2月に現役を引退し、現在は横浜FCアカデミーサッカースクールコーチと浦和レッドダイヤモンズアカデミーロールモデルコーチ、2024年7月より一般社団法人 日本フットサルトップリーグ理事長に就任。
経営学部経営学科 スポーツ経営学専攻 大野宏之 教授
専門はスポーツ経営学、デザインマネジメント。日本最大手のスポーツ用品関連企業・アシックスにおける商品開発・マーケティング部門の責任者、経済シンクタンク研究員やスポーツクラブ経営企画室長などを歴任。2023年より京都橘大学経営学部経営学科教授として着任。
前田/日本だけではなく海外でも活躍されてきた松井さんですが、サッカーとの出会いからまずはお聞かせください。
松井/子供時代は、山科で育ったんです。このキャンパスからめちゃくちゃ近いところに住んでいました。小学校3年生の時、幼馴染みにサッカーをやらない?と誘われて始めましたね。

前田/全国屈指の強豪校・鹿児島実業高校を経て、京都サンガFCに入団されましたね。
松井/複数のクラブから打診がありましたが、高校時代の先生から地元のチームに行った方がいいと言われましたし、自分自身も京都に帰りたいという思いもありました。三浦知良選手が京都サンガにいらっしゃったことも大きかったです。18歳でプロになった時、目の前にカズさんがいてくださって、プロのあるべき姿を学びました。サッカーをする子どもたちに夢を与えることがすごく大事だということを、言葉では言わないですけど、背中で教えてくださいました。
前田/海外では5カ国でプレーをされ、1番長かったのがフランス。フランスのサッカー文化は、日本とはどう違いましたか。
松井/フランスは個人主義の国なので、そういう意味で言えば一個人としての強さや自主性が増したと思います。自分のポジションを頑張ることだけを求められ、チームの一員として考える感覚ではない。あるポジションの人がミスをしたらその人が変わるだけ、なんですよ。自分のプレーが自分の評価になる、毎日絶対に結果を残さなければいけない、そんな感覚でした。

前田/サッカー選手を続けながら、2021年にはフットサルのクラブと契約。ベトナムのリーグ移籍時には選手とコーチも兼任。いつも何かにチャレンジしておられますね。
松井/新しいことにチャレンジしている最中、しんどいと思ったことも、辞めたいと思ったこともあります。でも、成し遂げたい目標があったからこそ前に進めたんです。今、失敗しないとわからないことがいっぱいあるので、若いうちに失敗できる環境にあることは、すごく大事なことだと思います。横浜FC で小学1年生から6年生まで教えていますけど、彼らにも言ってます。「今はいっぱい失敗していい」ってね。プロで失敗したら次の日にはポジションがない、だから若い年代はたくさん挑戦して、たくさん失敗してほしいと思ってます。
大野/本当にそうですよね。我々も学生たちに同じことを言っています。社会に出る前の失敗は失敗じゃないし、大学という練習の場で失敗して力をつけて、その経験を糧にしたらいいのだから、という話をよくしています。

前田/続いては、サッカー含めスポーツの価値について伺いたいと思います。 これまでの人生を通して、スポーツの価値を感じた瞬間はありましたか。
松井/ワールドカップに出場した時、いろんな方から「勇気をもらえました」「挑戦する姿を見て頑張れました」といった声をいただいて、自分のやってきたことは間違いではなかったのだと思えました。それと同時に、皆さんの手本となれるような生き方を示していかないといけないんだな、という風にも感じました。フランスにいた時は特に、チームが勝つとその街全体が盛り上がりますし、負ければ子供からも「松井、何やってんだよ!」と言われます。その叱咤に悪気はなく、それぐらいサッカーが好きで、応援する情熱を持ってくれているのは、選手にとってありがたいことです。
大野/松井さんが触れ合われたフランスの人たちはサッカーへの関わり方が、単に観たり、応援したりするだけではなく、自分たちもチームや選手と共にサッカーを作っているという自覚やプライドがあるのだと感じます。私はメーカーにいた経験がありますが、ナショナルチームに用品を提供するメーカーはサプライヤーや供給者と呼ばれていました。Jリーグでは、運営資金の提供者や広告主のことを、スポンサーではなくパートナーという呼び方にかなり早い時期から変えられましたね。松井さんたちをはじめとする海外経験組によって日本におけるサッカー文化が熟成され、社会におけるスポーツの価値も変わってきているのだと感じます。

前田/このたび、Fリーグの理事長に就任された松井さんから見て、応援したいと思える魅力的なチームには何が必要でしょうか。
松井/1番は勝つことです。それにプラスして親近感、クラブ独自の空気感、行きたいと思わせるアミューズメントなども必要になってくると思います。皆さんのご意見を聞きながら地域密着型でリーグを成長させたい、というのが念頭にあります。地域に認知してもらうために、子供たちや地域を巻き込んだイベント企画だけでなく海外との交流も大事だと考えていて、先日も東南アジアに出向いて様々な話をしてきました。
前田/サッカーの現場では、どんな指導者でありたいですか。またご自身が得意なドリブルを教える時、どんなことを心がけておられますか。
松井/指導者というか、よきアドバイザーになれればいいなと思います。いろんな人のコーチ・補佐役、隣にいてくれる相談役みたいな存在になれれば嬉しいです。今までは自分のプレースタイル的に、感覚で伝えることが多かったのですが、コーチの立場だと理論も必要です。こういうドリブルをしたらしっかり抜けられるという理論に感覚的なアドバイスを合わせ、2軸で教えることができればいいなと思います。



前田/自分のプレーを客観的に捉えてもらうため、テクノロジーを取り入れられたりしていますか。
松井/感覚的な話だけではわらからないことを、動画を見せながら説明することによって、自分の体の動きが理解できますからね。

前田/KYOTO TACHIBANAスタジアムのサッカーコートには、最新のAIカメラが完備されていて、自動追尾システムによってボールに反応し、無人で試合の模様を撮影・中継できます。スタジアムから遠く離れた観客にもダイナミックな試合の様子をライブで届けることができます。スポーツの楽しみ方が、テクノロジーと掛け合わさることによってどんどん変化していくのかなという風に思います。
松井/すごいですね、AIカメラ。うらやましいです。みなさんは学生のそんな時代に生きているんですもんね。



前田/次世代はこういった環境でプレーをすることになっていくわけです。会場の皆さんをはじめとする学生の方々に、期待することはありますか。
松井/若い世代のうちにできることって、たくさんあると思います。日本だけに留まらず、いろんな国に行っていろんな新しいものに目を向けてみてほしいなと思います。環境が変われば人は変われます。自分としては、人と同じ道を歩みたくないって思った時期がありました。自分はカズさんにはなれないし、誰かと同じ道は進めない。自分の道は自分でしか切り開けないと実感したんですよね。自分は本当にできるのかできないのか。というのを考えながら過ごしたのも覚えてます。諦める人と諦めない人の狭間に立った時、自分なら絶対にできると思える人だけが次にいける。いろんな壁にぶち当たりながら、考えながら前に進む、それが人生だと思いますよ。

大野/来年2025年、京都橘大学経営学部にスポーツと経営をミックスさせたスポーツ経営学専攻が開設されます。大学内の講義だけではなく、プロチームやメーカー、行政などとタイアップしたフィールドワークなどの経験の場も用意しています。スポーツテックという科目などでAIやデータ分析などの最新の事例を学生の皆さんと学んでいく予定です。卒業後は、どういう仕事に就けますかとよく質問されます。スポーツというのは社会とすごくつながっているんですね。今日ここに来てくれている皆さんの多くもスニーカーを履いてると思いますが、これってスポーツシューズですよね。車メーカーにもスポーツカーがありますし、可能性をどこに伸ばすかは自分次第。今日、スポーツ経営学にチャンスがあると思った人は、ぜひそのチャンスを自分で掴みに来てほしいと思いますね。

<ここがDISCOVERY!>
- 京都市山科区出身の元サッカー日本代表、松井大輔さんはフットサルFリーグの理事長に就任し今もなお様々なことにチャレンジ中
- 2025年4月、経営学部経営学科にスポーツ経営学専攻が新設
- スポーツ経営学専攻は、講義だけではなく、プロチームやメーカー、行政などともタイアップしたフィールドワークなど、経験の場も用意
- スポーツテックなど、AIやデータ分析などの最新の事例を最新の設備で学べる
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