全学部の学生が混ざり合う
全学必修科目『たちばなBasisⅠ・Ⅱ』
専門外の学びと多様な仲間が、自分の視野をグッと広げる!
#共通教育特集
特 集
2026.04.28

2025年、京都橘大学では教学理念に基づいた新たな共通教育科目『たちばなBasisⅠ・Ⅱ』がスタートしました。
本科目は、前期に本学の教学理念「自立」「共生」「臨床の知」を学ぶ『たちばなBasisⅠ』、後期にはそれらの実践を学ぶ『たちばなBasisⅡ』を開講する年間を通した全学部全学科※1の1回生必修科目。文系・理系・医療系の10学部18学科が”ひとつのキャンパス”に集う京都橘大学だからこそできる文理医横断型の初年次教育です。学部・学科の垣根を越えて共に学び合う「クロスオーバー教育」を実現し、多様な考え方に触れ、多角的な視点を育む点が本科目の特徴です。
今回は、「たちばなBasis」を履修された3名の学生と、ラーニングアシスタント(LA)※2として、グループワークを見守り、時には議論に加わるなどのサポートをした先輩学生、本科目の開発に携わった西野毅朗准教授が集まり、1年間の学びを振り返ってもらいました。実際に履修してみて実感した本科目の魅力や楽しさ、学部学科を越えた人間関係の構築、自身の考え方の変化などを語り合っていただきました。
※1 総合心理学部は2027年度より開始予定※2 ディスカッションの運営補助など、授業が円滑に進むよう授業内でサポートを行う学生

【参加者プロフィール】
※写真左から
◆西野 毅朗 准教授(コーディネーター/写真一番左)
所属:経営学部経営学科
専門分野:教育学、高等教育論、高等教育開発
◆甘水 初姫 さん/文学部日本語日本文学科1回生
◆中野 姫らら さん/工学部情報工学科1回生
◆徳重 孝介 さん/健康科学部救急救命学科1回生
◆堀切 拓真 さん/文学部日本語日本文学科3回生(LA) ※2026年1月インタビュー時点
■『たちばなBasisⅠ・Ⅱ』を履修してみて

西野准教授/1年間『たちばなBasisⅠ・Ⅱ』(以下『たちばなBasis』)を履修して、まずは率直な感想を教えてください。
甘水(日本語日本文学科)/他学部の学生と一緒に学ぶと聞いて、最初は話の流れについていけるかどうか不安でした。でも、いざ授業が始まってみるとさまざまな学生と話すことがとても楽しく、不安なんて忘れて毎回集中して取り組めました。
中野(情報工学科)/自分のキャリアやAIとの付き合い方、京都のまちの特徴から安全保障まで、さまざまなテーマが用意されていて、率直に楽しかったです。普段なら自分から触れないような話題もありましたが、色々な先生方の講義動画を見ることで自分なりに考えを巡らせることができました。さらに、動画を見るだけでなく、ディスカッションでテーマをより深く掘り下げられたことは、とても有意義な時間でした。

西野准教授/『たちばなBasis』は、オンライン授業と対面授業のハイブリッドで授業を展開します。オンライン授業では、約20人の先生が「どの学生にも知っておいてほしいテーマ」を動画で講義しています。普段は関わることも少ない他学部の先生の話を40分に凝縮して聞ける贅沢な時間です。そして、オンライン授業で学んだことをもとに、対面授業ではディスカッションを重ねることで考えを深め合います。自分とは異なる価値観を持つ人と話し合うことで、新たな気づきを得るとともに、コミュニケーションスキルの向上にもつながる。オンラインと対面の両方の良さがミックスされているのが、この授業ならではの面白さかもしれないですね。
徳重(救急救命学科)/前期か後期の半期(セメスター)で学ぶ科目が多い中、『たちばなBasis』は1年間かけて学ぶことに大きな意味があったと思います。例えばディスカッションの進め方に関しても、前期は役割と時間配分が決められていましたが、後期では役割や時間配分も自分たちで決めて工夫して議論することが求められました。全学部が混ざり合うディスカッションに最初は緊張しましたが、回を重ねるごとに成長を実感し、楽しむことができたのは1年をかけて学んできたからだと思います。
堀切(LA:日本語日本文学科)/私は3回生でLAという立場で参加しましたが、皆さんと同じように自分の専門外の分野にも触れ、さまざまな学部学科の学生と接し、学びの多い時間でした。サポートする立場としても「どう表現すれば1回生にも分かりやすく伝えることができるか」など、多様な人との接し方を身につける事ができたと思います。

西野准教授/先輩のおかげで学べたと1回生の皆さんは思うかもしれませんが、先輩は先輩で学んでいたという事ですね(笑)。
■「教学理念」を学んで成長した点は?



西野准教授/『たちばなBasis』は、「自立」「共生」「臨床の知」という本学の教学理念に基づいた科目です。この教学理念について、自分の中で深められたと感じることは何でしょうか?
甘水(日本語日本文学科)/圧倒的に「共生」です。授業では、4人の先生方の講義を通じて、歴史や経済、医療の観点から共生について考え議論しました。坂本城跡から考える異文化共生や、救急救命のための協力と協調など、テーマが具体的だったので理解を深められました。また、相互に理解し共生を実現するにはコミュニケーションスキルが必要で、自分から話すだけでなく、相手が話しやすいように聴くことが大切だと学びました。高校生の時は、ただ黙って相手の話を聞くことが多かったのですが、この授業を通じて「そうだね」「なるほど」と相槌を打ったり、質問して話を広げることによって、相互に理解を深め合えるようになったんです。相手の話に耳を傾けること、その上で自分の考えを伝えること、その折り合いをつけながら答えを導くことが、共生を実践するポイントだと私は思っています。

中野(情報工学科)/私も同じく「共生」です。私は工学部情報工学科に在籍しているので、専門分野の学びだけではどうしても情報技術やものづくりの視点に偏ってしまいます。『たちばなBasis』では、文系・理系・医療系とさまざまな分野に触れられるので、自分の世界が大きく広がりました。甘水さんからもありましたが、ディスカッションを通じて得られた力は大きかったです。皆から出るさまざまな意見を自分の中で落とし込みながら話を聴く力が身につき、相手の立場を理解したうえで自分の意見を伝えることができるようになったと感じています。「教育の観点で考えたらどうだろう」「医療に携わる人はこう考えるかもしれない」など、広い視野をもって考えることが共生につながっていくと思います。
徳重(救急救命学科)/「共生」と「臨床の知」ですね。私は清水寺の近くのカフェでアルバイトをしているのですが、来店者の大半が外国からの観光客です。言語の壁もある中、相手が何を求めているのかを深く考えて接客するようになったのは、他者の価値観を尊重し、理解しようとする姿勢が「共生」であることを学んだからです。また、授業では1年間かけて20のテーマについて議論し、具体的な解決策まで考え抜きました。先ほどの接客の話もそうですが、日常生活でも思考を重ねて判断するようになったと感じています。自分の意見を言って終わりではなく、課題を解決するために深く思考して実践する。これが私のたどりついた臨床の知です。

堀切(LA:日本語日本文学科)/皆さんを見ていると、まずは「自立」。その後に、「共生」「臨床の知」と伸びていく姿が印象的でした。前期の『たちばなBasisⅠ』では、最初に自立を理解するところから始まりました。自分自身で考えて判断するには、物事を多角的に見る視点、相手から見た自分を客観的に理解することが必要です。前期が終わる頃には、たくさんの議論を経験して自分軸が構築されていく様子が垣間見えました。後期の『たちばなBasisⅡ』では、周りとしっかり話しながらペースを合わせる力や、自分の言葉で伝える力、そして課題解決に取り組む力を獲得していく姿が印象に残っています。LAとしても、そんな成長が見える皆さんのサポートにやりがいを感じましたね。
■専門外のことも学ぶ意義って?
西野准教授/前期の『たちばなBasisⅠ』では「自立」と「共生」の土台づくりに時間をかけ、後期の『たちばなBasisⅡ』では社会課題などを扱いながら「現実をどう変えていくか」という「臨床の知」の実践に取り組みました。



西野准教授/皆さん大学に入学したからには、専門的なことを学びたいという思いが一番にあると思います。それに対して、本科目は真逆で、専門ではない話題ばかりが出てくる。その点についてはどう感じましたか?
甘水(日本語日本文学科)/私はアニメの研究をしたくて入学したので、「もっとアニメの授業を受けたいな」と本音では思っていました(笑)。でも、自分の専門ではない分野の学びが後で繋がってくることが多いことに気づいたんです。『たちばなBasis』で京都の街づくりについて学んだ後、日本語日本文学科の授業で古代ローマが題材になった時がありました。京都と古代ローマは、碁盤の目状に計画された街づくりという共通点があって、『たちばなBasis』の学びと学科の学びが繋がりました。先に知識があると、自分の専門も面白くなるということを実感した瞬間でした。
中野(情報工学科)/私もAIを学びたくて入学したので、正直最初は色々なテーマについて考えることに対して気が進みませんでした。でも、いざ授業を受けてみると、多様な学問の視点を学ぶ面白さを実感しました。例えば、健康について看護学と心理学のそれぞれの観点から考えたり、環境問題について菌(臨床検査学)や食べもの(経済学)から向き合ってみたりと、自分の視野を広げる学びにたくさん出会えました。AIに限らず多くの知識を得られたことは有意義だったと思いますし、今後に活用できると感じています。たとえば、将来AIを使った技術やサービスを提供する側になったとして、顧客が何を望んでいるのか、どういうものを必要としているのか、あらゆる視点と知識をもって形にできると、より顧客に合ったものを提供できるようになるのではないかと思います。

徳重(救急救命学科)/私は救急救命士をめざして入学しましたが、専門外のことを学ぶことで自身の専門がさらに面白くなると思いました。たとえば「AI」がテーマの授業回では、救急救命の現場とAIの繋がりに気づくことができました。救急隊の現場到着時間を短縮するために救急要請の多い地域を予測したり、救急隊員と傷病者とのやり取りを支援したりなど、AIの活用が増えてきているそうです。こうした気づきをディスカッションの中で共有し、自分の専門への理解もさらに深まったと感じました。
堀切(LA:日本語日本文学科)/一つの学問であっても、突き詰めていくと他の学問の知識が必要になってくる部分があると思うんです。たとえばアニメを研究して広める時にも、どう広告を出すかはマーケティングの知識が必要ですし、海外展開するなら国際分野の知識も関わってきます。また、自分が元々突き詰めていたものから、別のものに興味が移ることもある。知識や興味の広がりがその後のいろんな道につながっていくきっかけになるので、自分の専門以外の学問を学ぶことは将来的にものすごく選択肢が広がることだと思います。

■学部学科を越えたつながりはできた?
西野准教授/『たちばなBasis』の最大の特徴は全学部の学生が混ざり合って学ぶことです。これからも続きそうな人間関係やつながりはできましたか?
甘水(日本語日本文学科)/できたと思います。学部を越えて友人関係を築けたことで、食堂などで会ったときに「あ、Basisの時の!」と声を掛け合える関係性になれたのがすごく嬉しいです。これから本格的にアニメの研究をしていくなかで、例えば経済学や心理学、ほかにもアニメを制作するデジタル技術など、自分の専門外の知識が必要になるかもしれません。この授業でつながりを得た友人に相談したり、一緒に研究を進めてみたり。そんなことができたら良いなと想像しています。
中野(情報工学科)/学内にあたたかい「居場所」ができた感覚です。キャンパスですれ違ったときに「ヤッホー!」と気軽に挨拶できる関係性を築くことができたのはこの授業のおかげです。この関係性を2回生以降も大切にしていきたいですし、今後も学部を越えて学び合える授業を積極的に履修していこうと思います。
西野准教授/最初から居場所があるわけではなく、皆さんが「自立」「共生」「臨床の知」を発揮して、お互いの関係性を自分たちで築いていったのですね。

徳重(救急救命学科)/入学前から他の学部がどんなことを学んでいるのかすごく興味があったので、色々な学部の人と混ざり合って学ぶ『たちばなBasis』は最高の授業でした。また、留学生の方から、あるテーマでディスカッションしたメンバーと意気投合したという話も聞きました。議論の中で自分の考えを伝え、そして相手の考えを受け止める、というコミュニケーションを重ねたことが、留学生にとってもつながりをつくるのに活きたのではないかなと思います。
堀切(LA:日本語日本文学科)/学内を歩いていると、授業で関わった1回生が挨拶をしてくれるんです。LAとしてこの授業に携わったことで、学年を越えた縦のつながりができ嬉しく思っています。こうしたつながりが学年も学部も越えて縦横無尽に広がっていくのは『たちばなBasis』の魅力ですね。
西野准教授/私も授業終わりに、学生同士で「また来週!」と声を掛け合っているのを見かけました。他学部の学生同士が『たちばなBasis』をきっかけにつながりを作っている光景を見て、とても嬉しく思いました。
■高校生に向けてメッセージをお願いします
西野准教授/1年間の授業を通して成長した皆さんから、高校生へメッセージをお願いします。
甘水(日本語日本文学科)/これまで小学校から高校までの問いには1つの答えがあることの方が多かったと思うけれど、『たちばなBasis』には正解がありません。今まで通り正解を出そうとすると、行き詰まる時があります。白か黒かのような割り切れない問いもあるはず。中間や「三角」の答えが最適解ということもあると思うので、正解のない問いに挑戦してみてくださいね。
中野(情報工学科)/授業で扱うテーマは自分の知らないことが多く、考えるのが大変なこともありますが、それを越えた先に「自分の可能性が大きく広がった」と実感する瞬間が待っています。グループディスカッションで話を深められることも楽しいですし、多角的な視点を身につけ、広い世界に目を向けることで、自分の学びをさらに深めることができます。
徳重(救急救命学科)/正解が無いからこそ、まずは自分の意見を伝えてみることがこの授業を楽しむポイントです。意外と相手も同じことを思っていたとか、こういう視点もあるのだと気付くことができます。いろんな視点があると学ぶことが自分の成長に繋がっていると実感できる授業です。
堀切(LA:日本語日本文学科)/大学はチャレンジすれば何でもできる場所だと思います。この授業で新しいことに挑戦する力を少しずつ身につけてほしいですね。困ったことがあれば私たちLAを安心して頼ってください!
西野准教授/皆さん、授業で得た学びは大きかったようですね。『たちばなBasis』は文系・理系・医療系の10学部18学科が1拠点に集う京都橘大学の強みを存分に活かした授業です。さまざまな専門領域を持つ先生方の講義を受け、論理的・批判的に思考し、他者の考えに耳を傾け、新たな知を発見する。この授業で培った確かな土台が、皆さんの可能性を大きく広げたことでしょう。これから本学に入学する方も、この授業を通して1回生からコミュニケーション能力を磨き、人間関係を築き、多角的な視点や柔軟性、幅広い知識を得て、大きく成長していってほしいと思います。

<ここがDISCOVERY!>
- 工学・人文・社会・医療など多様な学問の”ベース”を学び、視野がグッと広がる!
- 学部学科を越えた出会いの中で多角的な視点やコミュニケーション力が身につく!
- 仲間とディスカッションや課題解決に挑む経験が、自分への大きな自信に変わる!
- 「正解のない問い」に仲間と挑み、自分たちなりの答えを創り出す楽しさに気づく!
- 専門外の学問に触れる体験が、自分の専門分野をさらに面白く、深くする!
- 大学での学びのエッセンスが全凝縮!1回生だからこそできる特別な授業!
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