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JALと連携して挑んだ”京都のオーバーツーリズム解消”!
学生×企業で語る『クロスオーバー型課題解決プロジェクト』の裏側!
#共通教育特集

特 集

2026.04.10

京都橘大学では、共通教育のキャリア形成科目群に産学公連携科目『クロスオーバー型課題解決プロジェクト』を配置しています。毎年10以上の企業や自治体から提示されるリアルな課題に対して、さまざまな学部・学科の学生たちが協働しながら課題解決に取り組み、プレゼンテーションを行うプロジェクト型の授業です。

今回、2025年度に取り組んだプロジェクトの1つである、日本航空株式会社 西日本支社 京都支店(以下JAL)との連携をピックアップ。

京都市では2024年の観光客数が約5,606万人(※)に達し活況にわく一方で、人気の観光地に人が集中し、交通機関の混雑や⽂化・習慣の違いから生じるマナー問題など、市民生活に影響を及ぼす“オーバーツーリズム”が問題になっています。
そこで、テーマとして「ツアープランニング(新たな人流)で地域課題を解決!」が提示されました。このテーマに取り組んだ3名の学生と、本プロジェクトを担当した経営学部の平尾毅教授、JALの遠山忠輝氏が再び集まり、プロジェクトの特徴や魅力、得られたものなどを振り返りました。

※京都市産業観光局観光MICE推進室「令和6(2024)年 京都観光総合調査の結果」より引用

【参加者プロフィール】
◆平尾 毅 教授(コーディネーター/写真一番左)
所属:経営学部経営学科
専門分野:イノベーション論、人的資源管理論、経営史
◆遠山 忠輝 氏(日本航空株式会社 経営戦略部(産学連携担当) グループ長/写真一番右)

※写真左から
万波 愛 さん/経営学部経営学科2回生(「お茶の京都」担当)
◆⼤久保 璃澄 さん/経営学部経営学科2回生(「森の京都」担当)
王 梓霑 さん/経済学部経済学科2回生(「海の京都」担当)

※2025年度にインタビューしたものです

平尾/近年、京都市はオーバーツーリズム問題に直面しています。この問題を解決するには、京都市を訪れる観光客に広く府域を回遊してもらうことが重要です。今回皆さんは、京都府が掲げる「もうひとつの京都」構想と連動し、「海の京都」「森の京都」「お茶の京都」の3エリアに分かれていくつかのチームを組み、観光の分散化と同時に新しい人流を生み出すツアープランニングを提案しました。

平尾/まずは皆さんが本科目、本プロジェクトを履修した理由や、どのような期待を持って臨んだかを教えてください。

万波/私は旅行が大好きで、将来は観光系の仕事に就きたいと考えています。大手航空会社のJALさんと「京都のオーバーツーリズム」問題に取り組むというテーマそのものに強い関心があり、履修前からワクワクドキドキした気持ちでした。プロジェクトでは「お茶の京都」を担当しました。

大久保/僕が興味をもったのは、新たに観光客を呼び込むエリアとして「森の京都」があったからです。もともと自然が好きなので、ツアープランを設計して、”人と自然”の関わり方を自分なりに考えてみたいと思ったんです。

/私の場合、教科書にないリアルな学びが得られるのと、学部・学科を越えた「クロスオーバー科目」で多様な人たちの価値観に触れられることに魅力を感じました。「海の京都」を担当して京丹後市を中心としたツアーを検討しました。

平尾/それでは、実際に履修して感じた、本科目の特徴や魅力を教えてください。

/この科目は、試験やレポートといった結果や成果ではなく、プロセスを重視する点がほかの授業とは違うと感じました。JALの方にツアープランを最終提案するまで、一次発表や中間発表を行ったり、フィールドワークのため現地に赴いたりなど、準備に多くの時間をかけて提案に臨みました。

大久保/僕は、他の科目比べて実践的だと思いました。特に、自分が経営学部で学んだマーケティング手法の知識を活かして、「理論を実践する」ことができたのはこの授業の面白さだと感じました。例えば、ペルソナという架空の顧客像を設定することで、「この人物なら旅行の中でどんな体験を重視するだろう」と、ツアーの中身を深く掘り下げて提案につなげることができました。

万波/私は、JALの方が複数回来校されて、毎回発表の後にフィードバックをいただけることが良いなと思いました。指摘いただいた点はもっと改善しようと思いましたし、前回より良くなったと褒められると頑張って良かったと達成感を味わえ、モチベーションアップにつながりました。最終提案では、「グッズを集めながら地域を巡る」ことが新たな人流を生み出し、街おこしにつながる点でプランを評価いただくことができました。

遠山/PBL形式(課題解決型授業)での学部横断型は珍しいと思います。学部学科をまたいで異なる興味関心、視点をもつ学生が参加し、ともに課題解決に向けて考えていくことができるのは特徴であり魅力ですし、私にとっても幅広い学生さんと交流できる良い機会だったと感じます。

平尾/まさしく、多様な学生が集まって議論するからこそ化学反応が起きて、新しい視野が生まれるのだと思います。そういった点では皆さんどうでしたか?

大久保/僕のチームメンバーは経済学部と経営学部の学生でしたが、全員僕より年上で、出身地もバラバラ。自分が経験してきたこととは違う観点から出るアイデアが面白かったです。自分一人で考えたり、同じ学部、同い年の人だけで考えたりするより、多角的なアイデアが出せたと思います。

/私のチームでも、色々な意見が飛び交いました。「人」の視点で考えるメンバーもいれば、「お金」の視点で考えるメンバーもいて、時には提案内容がぶつかることもありました。それを解決するために、それぞれに仮説を立て、一緒に現地に行って検証しました。結果的にはどちらも間違いだったんですけどね(笑)。

遠山/皆さんが色々な学生と議論をして、最終的に良いチームになって協力できたということですよね。まさに、企業における仕事の進め方と同じ。会社ではほとんどの場合、初対面からチームが出来上がって、個人作業はありつつも、チームで何らかの目標に向かって仕事を進めます。今回のチームビルディングの経験は皆さんが今後社会に出て、多様な人たちと関わりながら仕事をするときに必ず活きると思います。チーム内での自分の役割を責任をもって果たすことが信用につながることを、学生のうちに体験できたのは良かったのではないでしょうか。

平尾/本科目は、企業の方と学生が密に関わる点が大きな特徴です。その中で印象に残っていること、勉強になったことを教えてください。

/私たちが発表した際、比較的観光地化されていない地域を選んだ点や、観光客のインサイトを得るために行ったインタビュー調査など、まずは良い点を評価してくださいました。その上で、どう改善すれば実現性が高まるのかを具体的にアドバイスしてくださったことが印象に残っています。

大久保/僕も発表の際のフィードバックです。内容に対する評価はもちろん、資料の作り方についても、どこにどういった情報を入れると分かりやすくなり、説得力が増すのか、細かい点までアドバイスいただいてとても勉強になりました。

万波/「お茶の京都」チームとしてDMO(観光地域づくり法人)の方々と直接話す機会が得られたのも、私にとっては嬉しい経験でした。何より、JALの皆さんが伴走してくださり「誰に向けての提案なのか?」「この提案は本当に実現できるのか?」など、的確なアドバイスをいただいたことが、新たな提案への意欲につながりました。

平尾/確かに、複数回授業にご参加いただき、最終発表に向けてたくさんのアドバイスをいただきましたね。遠山さんとしては、学生との関わりのなかで意識されていたことはあるのでしょうか?

遠山/できる限り企業目線でアドバイスするように意識しました。アイデア自体は「これが出来たら良いよね」というものであっても、企画を通すためには「この資料を足さないといけない」「もう少し説明が必要」「費用対効果を考えて」など、他の要素が必要になることもあります。そういった点を、社内の若手社員と接するようなイメージを持って、皆さんの提案は部下が持ってきた提案だという前提でアドバイスしようと心掛けていました。

平尾/この授業を履修して、たくさんの学びがあったと思いますが、履修の前後で、自分はこう成長した、こう変わった、と感じる部分はありますか?

/以前は「日本語が上手くないから」と、人前で話すのを避けていました。けれど、JALの方にアイデアを評価いただき、メンバーとの信頼関係も築くことができ、一緒に協力しながら活動できました。この授業で得た自信を糧に、これからは何でも積極的に挑戦していきたいと強く思うようになりました。

万波/私はグループワークを通して、コミュニケーション力や人前で発表する力はもちろんですが、特に一つの課題に対して粘り強く考える力が身につきました。

平尾/観光の仕事に対するイメージは変わりましたか?

万波/想像していたよりも難しいなと感じました。利益を計算したり、季節ごとに変わる見どころや料金を考慮したりと、単におすすめの場所をツアープランに組み込めば良いというわけではないことを学びました。

大久保/僕は授業を通して、チームで一つのプロジェクトを達成するためにどのようなことを意識すべきなのか、自分なりに考えられるようになりました。僕は他の科目でラーニングアシスタント(LA)をしていて、下回生の授業に入って皆のグループワークを客観的に見る機会もあります。自分の経験を活かしてアドバイスしていきたいと考えています。

平尾/遠山さんはこの授業を通して、学生たちの変化について何か感じられたことはありますか?

遠山短期間でこんなに成長するものかと驚きました。プロジェクトが始まった頃は、まだ皆さんポイントが掴めておらずフワッとしていて、「大丈夫かな? ちゃんとまとまるかな?」と心配しました。ですが、そこから少しずつ議論の内容が深くなっていき、特にフィールドワークを行った後から急激に変化したと感じています。その後の中間発表、そして最終プレゼンでは、皆さん自信を持って、堂々と話していたのが印象的でした。同時に、自分自身は成長できているのか? と反省し、我々ももっと貪欲に成長していかねば! と刺激を受けました。

平尾/遠山さんから、フィールドワーク前後で成長を感じたお話がありました。実際に現地に赴き調査を行ったことも本プロジェクトの特徴ですね。皆さん自身はどう感じていますか?

万波/インターネット上の情報だけではなく、現地の方に直接その地域の現状を細かく聞いたことで、他人事ではなく自分事として捉えられるようになりました。このことでチームの一体感が強まり、課題に対して一生懸命に取り組めました。

/フィールドワークで得たものは大きかったです。先ほど、チーム内でそれぞれ仮説を立てて検証したと話しましたが、その過程でお店の方や旅行者などへのインタビューも行いました。その結果、いずれの仮説も間違いだと分かりましたし、地域が抱える課題に対しての理解が深まりました。

大久保/やはりインターネット上の情報だけでは限界がありました。実際にその土地の雰囲気を感じたり、施設を利用したりすることで、旅行者が訪れて楽しいと感じるポイントを実感し、提案に組み込むべきことが明確になりました。

平尾/現地に行かないと分からないことがたくさんあったのですね。今の時代はともすると、AIが何でも教えてくれると勘違いしがちですが、AIの答えが本当に正解なのか?きちんと判断できるようになるためには、実際にいろんな経験を積んで、自分のものさしをしっかりと作ることが重要です。ぜひこれからも、自分の目で現場を見ることを大切にしてください。

平尾/では最後に、クロスオーバー型課題解決プロジェクトに興味を持つ高校生へ、それぞれメッセージをお願いします。

万波一つの課題に対してじっくりと向き合うことで、今までにない新たな経験ができます。自分の中に眠る、新しい力を発見することにつながります。入学したら絶対に履修することをおすすめします!

大久保/大学にはさまざまな授業がありますが、課題設定から解決策に至るまでの一連のプロジェクトに取り組めるのはこの科目の大きな魅力です。「自分を成長させたい」「実践的に経営を学びたい」という人にはもってこいです。

/リアルな課題に対して、さまざまな学生と協働できる機会は本当に貴重です。新しい価値観に触れられますし、自分に不足している点や改善すべき点などを見つけるきっかけにもなります。自分の成長に必ずつながります!

〈ここがDISCOVERY!〉

  • さまざまな企業・自治体から提示される、実社会のリアルな課題解決に挑む!
  • 学部や学年を越えて、専門性や価値観の異なる多様な学生と協働する!
  • グループディスカッション、フィールドワーク、プレゼンテーションなどを通して、社会で必要とされる力が実践的に身につく!
  • 企業・自治体の伴走、フィードバックにより大きく成長できる!

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