目の前の的に向けてビームを照射
MR(複合現実)デバイスを装着すると、目の前にいくつもの的が現れるので、それを自分の腕から照射されるビームによって破壊するというゲームを制作しました。光線が出たり、的が壊れたりする処理は、ゲームエンジンで行っています。ユーザーの身体の位置や動きは、モバイルモーションキャプチャで認識。MRデバイスの空間認識と連動させています。大変だったのは、MRデバイスの空間認識とモバイルモーションキャプチャが認識するアバターの位置が、どんどんずれてくること。ビームを出そうとしたときに横や後ろに出るとがっかりしてしまうので、前腕の橈骨(とうこつ)からまっすぐ照射されるように処理しました。また、的がランダムかつ視点に合わせて出現するようにしたのもポイント。ユーザーが頭を動かすと、その視点の先に的が出るように調整しています。苦労した分、イメージ通りに動いたときの気持ちよさはひとしおでした。
学会発表に刺激を受けて自分でも作ることに
制作のきっかけは、学生が主体となるVR学会「IVRC」の発表内容を見たこと。バットでボールを打った瞬間に迫り合いが起こり、力を加え続けると打ち返せるというVRゲームの発表があったんです。アニメや漫画の演出が再現されていて、それを体験できるというところがおもしろく、自分でも何か作れないかと考えました。そこで、昔から好きだった特撮ヒーローのように、自分の腕からビームを出せるゲームを作ることに。光線の見た目は、CG制作が得意な友達に作ってもらいました。事前にしっかり話し合ったおかげで、イメージ通りに仕上がっています。
MRデバイス同士での対戦も可能にしたい
制作期間は2週間ほど。大学に入ってからプログラミングの勉強をはじめ、これまでいろいろなものを作ってきましたが、短期間での制作は初めての経験でした。プログラミング技術だけでなく、スケジュール管理能力も身についたと感じています。このゲームは先生に勧めていただき、開発コンテストの「mocopi Winter Camp」に応募。選考の結果、ソニーシティでの発表会に招待され、制作背景や概要などの発表も行いました。現時点ではゲーム性があまり高くないので、今後は2台のMRデバイスで対戦できるようにしたいと思っています。的が攻撃してきたり、ダメージ判定を付け加えたりと、アイデアはたくさんあるので、新しい技術を身につけながらひとつずつ形にしていくつもりです。