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全学をあげた新たなクロスオーバーに挑戦!
待っているのは“越える”出会い。
全学必修科目『たちばなBasisⅠ・Ⅱ』とは?【後編】
#共通教育特集

特 集

2025.03.19

工学や人文、社会、医療など、多様な9学部15学科が1拠点に集う京都橘大学ならではの新たな共通教育が2025年4月からスタートします。まさに、全学をあげてのクロスオーバーな挑戦。その中で特に注目すべきは、全学部全学科の1回生※を対象とした必修科目『たちばなBasisⅠ・Ⅱ』。
前編では、『たちばなBasisⅠ・Ⅱ』とは何なのか、教学理念や教養の重要性などについて、本科目の開発に携わった5名の教員それぞれの想いをお届けしました。

後編では、なぜ1回生で全員が履修するのか、学ぶ楽しさとは何なのか、そしてどのような成長があるのか、本科目を通して待っている“越える”出会いを解明していきます。

※総合心理学部は2027年度より開始予定

◆西野 毅朗 准教授 (コーディネーター)
所属:経営学部 経営学科
研究分野:教育学、高等教育論、高等教育開発

◆平尾 毅 教授
所属:経営学部 経営学科
研究分野:イノベーション論、人的資源管理論、経営史

◆所司 睦文 教授
所属:健康科学部 臨床検査学科
研究分野:臨床神経生理学、生体検査学、解剖生理学、医用工学、医療情報学

◆後藤 敦史 准教授
所属:文学部 歴史学科
研究分野:日本近代史(幕末維新史)

◆片岡 裕介 准教授
所属:工学部 情報工学科
研究分野:空間情報科学、都市解析

西野/高校を卒業してすぐの1回生の段階で『たちばなBasisⅠ・Ⅱ』(以下『たちばなBasis』)を履修する価値は何だと思われますか?

後藤/学年が上がるにつれて、やはり専門的な学びの比重がどんどん高まります。専門的な学びに触れつつも、さまざまな分野を学べるという点で、1回生のタイミングが現実的に妥当であると思います。

片岡/比較的時間に余裕のある1回生だからこそ、フレッシュな感性で多様な学問に触れてもらえます。また、対面授業でお互いに顔を合わせて意見交換することで、入学間もない時期であっても学部学科を越えた繋がりが生まれやすくなるでしょう。

所司/大学での学びは専門性が非常に高く、学部学科が違えば学問の方向性もまったくもって異なります。そう考えると、高校を卒業したての多感な時期に多様な意見に触れられる機会を作ってあげたい。それが本科目を1回生に配当する理由の一つだと思います。

平尾/本科目は『たちばなSeeds』という科目群に分類されます。Seedsとはすなわち“種”という意味ですね。1回生で自分の好きな種を拾って、それを2回生、3回生、4回生と育てていく。そのきっかけづくりになるのかなと思います。

西野/私の専門分野は教育学ですが、中でも高等教育、つまりは大学や専門学校、あるいは社会人教育が中心です。その研究成果の一つとして、「1回生の成績が4回生の成績に相関する」というのがあります。要するに、1回生でちゃんと勉強できたら、良い成績で卒業できますよということです。『たちばなBasis』にしっかりと取り組めば、有意義な学生生活を送れることを伝えたいですね。高校生と大学生とでは勉強のやり方もライフスタイルも異なります。その中で、高校生活から思い切って離陸し、最高の大学生活を味わってもらうための1年間なのかなと思います。1回生での学びの充実が大学生活の4年間に直結していくのです。

西野/これまでの先生方のお話で、本科目の重要性が伝わったかと思います。では、次に「どんなふうに頑張ればよいのか」というのをアドバイスしていただきたいと思います。本科目を履修する上で、「ここだけは気をつけてほしい」「大事にしてほしい」というポイントを教えてください。

後藤/『たちばなBasis』は4年間の学生生活の基盤を作る科目です。学修面ではもちろん、本学には全国から新入生が集まってきますから、「うまく友人を作れるかな」と不安を抱く人も多いでしょう。この授業では学部学科関係なく友人関係を作ることもできますし、またその繋がりが4年間続くこともあります。1回生の皆さんには、そういった人間関係づくりに役立てるのではないかと思います。また、気をつけるポイントで言えば、「そんなに力まなくていいよ」と伝えたいです。もちろん授業ですから頑張って課題に取り組まなければいけませんが、特に対面授業の時には緊張してしまう学生も少なくはないはずです。でも、とにかくここで「友人ができたらいいな」くらいの軽い気持ちで、積極的に対面授業に臨んでほしい。肩肘張らずに授業を楽しんでもらえたらうれしいです。

西野/結局、みんな不安なんですね。「人見知りだ」「コミュニケーションが苦手だ」と考えている学生も多いです。でも、それはあなただけじゃない。隣の人もそうですよということです。私も普段から学生に「性格とスキルは別物だ」と伝えています。内向的な性格はそのままでもOKですが、スキルとして人と話すということは絶対に必要になります。だから「思いきって声を掛けてごらん。意外と趣味の合う人に出会えるかもしれないよ」と話しています。

平尾/勉強面で最もしてはいけないことは、分からないことを分からないまま放置してしまうことです。本学の特徴の一つとして、教員と学生の距離がすごく近いことが挙げられます。親身になって教えてくれる先生はたくさんいます。だからもし分からないことがあれば、先生にどんどん質問しにいくことが大切です。他にも学習支援室やLA(ラーニングアシスタント)のサポートも受けられますし、友人同士でお互いに教え合うのもいいでしょう。より深い学びを得るために、たくさんの繋がりを持つことを心掛けてほしいと思います。
※後輩学生の学習を支援する学生スタッフ

片岡/『たちばなBasis』の遠隔授業では、先生方はとても濃い内容の動画をしっかり作り込んでこられると思います。自分ひとりで講義の内容を理解するのは難しいかもしれませんが、対面授業で他の人の意見を積極的に聞きながら理解を深められるよう、時間を有意義に使ってほしいと思います。また、講義の内容によっては親しみやすいもの、そうでないものが必ずあると思います。その場合の私なりのアドバイスは、なぜこれが重要なのかを考えるより、もしこれがなかったら何が困るのかを考えてみることです。「へぇー、知らなかった」だけでもいい。知らなかったことを楽しめるくらい、気楽に考えてもらえればいいのかなと思います。

所司/本科目の開講時間が月曜日の1・2講時という、学生にはちょっと辛い時間帯となっています。休み明けの眠さと闘いながらではありますが、この講義を履修することで「意外と面白い学びがあるんだな」と気づいてもらえればと思っています。

西野/とはいえ月曜日の1・2講時に出席することで、「生活習慣を整えましょう」というアドバイスもできますね。1回生の段階で授業にきちんと出席して、課題もしっかり提出できれば学習習慣が身につきます。最初はちょっと辛いかもしれませんが、そこは頑張ってほしいですね。

後藤/高校生と違って大学生は自由な時間が多いですし、アルバイトで自由に使えるお金も手にできます。つい夜型の生活になる学生もいるけれど、3回生には就職活動という大きな壁にもぶつかると思います。『たちばなBasis』を通じて規則正しい生活習慣を身につけるのは、とても理にかなったことだと思いますね。

西野/最後の質問となりますが、「たちばなBasis」を履修した学生にどんな成果や成長があると思われますか? 要するに、真剣に取り組んだ学生たちが1年後どうなっているのかという成長イメージをお伺いしたいと思います。

所司/学部学科を越えた友人関係は、そのまま続くと思います。履修中にはSNSなどのコミュニケーションツールを使って授業に関するやり取りをするでしょうし、それが4回生になっても、そして卒業後も、生き続けるのではないでしょうか。本科目を通じてできた友人が、一生つき合える友人になればいいなと期待しています

後藤/学修効果という点で教員が期待するのは、コミュニケーション能力の獲得です。対面授業で積極的に発言する習慣を養えば、専門の学びにおいても自分なりの観点で物怖じせずに意見を述べられると思います。多様な分野の知らない人たちとコミュニケーションを取る能力は、学生生活だけでなく、社会人になってからでも大いに役立つものになります。

平尾/先ほども申しましたが、本科目でさまざまな知識の種を得る中で、「やっぱり私はこの種が好きなんだ」と再確認できると思います。一方で、まったく違う種に興味を感じる可能性もあります。この先の将来を考えて、人生の方向性を形成する1年間になるはずです。

片岡/1年間を通して密度の濃い授業で得られるものは、やはり達成感や自信であろうと思います。『たちばなBasis』で得た自信を専門分野の学びにもぶつけてほしい。例えば4回生であれば、卒論を書き上げて少し余裕のある時に、本科目で興味を持った分野の本をぜひ手に取ってほしいと思います。1回生で得た知識をもう一度4回生で学び直して、大学生としての時間を実り多いものにしてもらえればと思います。

西野/確かに『たちばなBasis』には、小テストやレポート、ディスカッション、プレゼンテーションなど、学びのエッセンスがすべて詰まっていますよね。それらに積極的にチャレンジしていけば、間違いなく自信をつけられると思います。そしてやはり1年間というのが大きい。半年間だと成長のきっかけをつかんだくらいで終わる人もいるでしょう。たとえば前期で人ときちんと話せるようになり、人の意見をまとめられるようになった。さらに後期では大勢の前で堂々と自分の意見を述べられるようになった。そんな未来がすぐそこにある。きっと1年前とは比べものにならないくらい、成長した自分との出会いが待っています

<ここがDISCOVERY!>

  • 1回生のフレッシュな感性で多様な学問に触れることで、ここでしか過ごせない学生生活の基盤をつくることができる!
  • 恥ずかしがらずに思い切って踏み出してみることで、予想外な出会いが待っている!
  • 知らないことを楽しむことが面白い!
  • 1年間を通した学部学科を越えた少人数クラスで、生涯の友にも出会える!
  • 学びのエッセンスがすべて詰まった『たちばなBasis』で、想像以上の成長とたくさんの出会いが待っている!

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