Special

AI、IoTを駆使した〃スマート社会〃で活躍するために
〃スマートな経済学、経営学〃を学びましょう。

特 集

2020.11.30

2021年4月、経済学部と経営学部が新設されます。経済学部長※1の髙山先生と経営学部長※1の松石先生に、京都橘大学の両学部の学びの特長をはじめ、AIやIoTを駆使したスマート社会の実現に向かって世の中が激変している現代に相応しい経済学と経営学のあり方や学び方などについてインタビューしました。
※1:2021年4月に就任予定
※2:インタビューおよび撮影時のみマスクを外しています

経済学部 髙山 一夫 教授(経済学部長就任予定)
<専門分野>
医療経済論/医療産業論
<研究テーマ>
・医療経済論
・医療産業論

経営学部 松石 泰彦 教授(経営学部長就任予定)
<専門分野>
経営史/企業論/企業の社会的責任
<研究テーマ>
・企業CSR活動の経営史的研究
・地域や町における企業の社会的責任
・日本における経営家族主義の展開

(左から)松石先生、髙山先生

Q/京都橘大学が、経済学部と経営学部を新たに設置する理由を教えてください。

髙山:Society5.0あるいはスマート社会という言葉を聞いたことはあるでしょうか。これは、IoTでヒトとモノをつないで知識や情報を共有することで新たな価値を生み出して、少子高齢化や地方の過疎化、貧富の格差などの社会課題を解決し、皆が活躍できる社会を意味します。もちろんそこにはAIの実装化も含まれています。社会は常に変化していますが、それに伴って経済のあり方も変化します。経済学は、今という時代を経済で読み解き、より良い未来をつくるための方策を立て、行動に移すための学問領域です。現代は、価値観が転換するほどの変化がある時代です。このような時代に相応しい経済学の学びが求められているため、新たに経済学部を設置することになりました。

松石:経営学部の新設に関しては、基本的なことは経済学部と同じです。コロナ禍も含めて社会が大きく変わっていこうとする中で、経営という視点で物事を見て、解決策を考えます。ここで気になるのが、経営と経済の学問領域の違いでしょう。経営学は、領域先行型といって、組織行動をさまざまな視点から分析し、「なぜ、そうなのか」という理論づけを行います。組織現象ありきの学問です。

髙山:経済学は、ミクロ経済学、マクロ経済学などの経済理論があり、社会を分析するというイメージでしょうか。先ほど申し上げたように、今、スマート社会に向かって進んでいるため、社会現象がこれまでと大きく変わっています。だからこそ、今に相応しい学びが必要ということなのです。

Q/今、求められる学びに取り組むためには、今までにない考え方や環境が必要です。新学部の学びの環境について教えてください。

松石:今までにない学びの環境として挙げられるのは、経営学部、経済学部と工学部が同時に設置され、3学部の学生が一緒に学ぶ機会が多いことです。3学部の立ち上げに関しては、共通のキーワードを「Innovation」としました。Innovationには、2つのものを結合させて予測のできないことを生み出すという意味があります。経営学部は「Innovation for CSV(Creating Shared Value)」をキーワードに、今の時代に求められる経営学部の学びを構築しています。「共通価値の創造を生み出すイノベーション」という意味で、経営学部は、経済学部、工学部とともに学ぶことで新しい価値を生み出します。具体的には、工学系のデータサイエンスと経営系のマーケティングを結びつけて、新たな価値を生み出すといったことです。また、経営学部には「会計・ガバナンス」「マーケティング・イノベーション」「戦略・組織」という3つの領域があり、この領域間でもイノベーションを起こします。

髙山:経済学部は、「豊かな社会を創造するイノベーション」という意味の「Innovation for affluent society」をキーワードに掲げています。現代社会は、モノがあふれて何でも手に入ります。このようなときこそ、真の豊かさを追求する視点での経済学が必要です。環境にやさしいものづくりができる経済の仕組みを実現するといったことを例に挙げましょう。ある企業が、環境にやさしいものづくりをしたいと考えても、非効率で収益につながらなければ企業存続は不可能です。企業経営は経営の領域で、情報共有や分析は工学の領域です。この例を見るだけでも3学部の学生がともに学ぶことが必要であり、京都橘大学の学びの特徴といえます。

Q/経済学部、経営学部、工学部の3学部合同カリキュラムについて教えてください。

髙山:1回生後期の3学部合同ゼミ「プロジェクトマネジメントⅠ」が挙げられます。地域や企業と連携して取り組む学びで、各所から出された課題に、3学部の学生の混合チームで問題点を探し出し、解決策を考えて実行する実践的な学びです。3学部合同ですから、さまざまな意見が出ることで刺激を受け、コミュニケーション力やプレゼンテーション力を養います。例えば、企業のユニフォームを開発したり、メーカーの開放特許を活用して新商品を開発したりするといったことが考えられます。ものづくりは工学部の得意分野。チーム運営やマーケティング、戦略を含めたアイデアは経営学部の領域です。完成した商品を、どのように社会に浸透させるのかといったことや、その商品が社会にどのような影響を与えるのかを考えるのは経済学の得意分野です。

松石:京都橘大学ならではの取り組みで、本当に楽しみです。自分の得意分野だけでなく、他学部の知見から刺激を受けることで世界が広がります。「プロジェクトマネジメントⅠ」だけでなく「プロジェクトマネジメントⅡ」もあり、これは2回生前期に置かれている経営学部と経済学部との融合カリキュラムです。2回生の後期から専門ゼミが始まるのですが、専門ゼミに取り組むためには、数ある学びの中から掘り下げて勉強したいことを見つけなければなりません。「プロジェクトマネジメントⅡ」は、専門ゼミで取り組みたい勉強を見つけるためのきっかけや動機づけとして位置づけています。

Q/AI時代の経済学部、経営学という観点で、考えておられることを教えてください。

髙山:AIやデータサイエンスの発展によって、ビッグデータと呼ばれる膨大なデータを効率良く扱うことができるようになりました。そのため、今はどのような分野であっても、AIを外して語ることはできません。例えば、食糧問題を考える場合でも、AIを使った生産調整は、今や当たり前のことなのです。このような時代に活躍できる人を育てるために、経済学部では、基礎科目・基幹科目で論理・数理的思考を身につけ、「金融・産業」「公共経済・政策」「医療・社会保障」「地域・国際」「観光・文化」の5つのコースで専門的な学びに取り組み、各コースの社会課題の解決に貢献する力を養います。また、経済学部生も工学部の情報系に関する授業を受けることができますから、興味のある人は受けるとおもしろいと思います。

松石:AIは、あるものとあるものを組み合わせてイノベーションを起こすときの有効なツールです。授業としては「ITリテラシー」「データサイエンス基礎」などがあり、座学と体験型の授業で、AIを使いこなすセンスを養いたいと考えています。センスというと難しく聞こえるかもしれませんが、ベルトコンベアを見て、「ここに寿司を載せて回してみよう」と思いつくようなことだと考えてください。ひらめきともいいますね。

髙山:センスを感性と言い換えると、わかりやすいかもしれません。いろいろなことやものに興味を持つことが、感性を育てると思います。また、文学部の授業も受けることができますから、文学部の学生と話をすることも感性を育てることにつながると思います。文学部の学生は本をたくさん読んでいて、興味の範囲が広いことが多く驚かされます。日常生活の中では、スマートフォンで自分の興味のあることだけを調べるのではなく、自分に関係がないように思うことにコミットすることを心がけてほしいです。

アフリカの飢饉と日本の食品ロスを結びつけて、何とかできるのではないかと考える。このような人が経済学部の学生であってほしいし、このような人を育てたいと考えています。

Q/経済学部、経営学部のどちらを選ぶべきか悩んでいる受験生にアドバイスをお願いします。また、経済学部、経営学部で学ぶと、どのような分野で活躍できるのでしょうか?

髙山:経済学部は「金融・産業」「地域・国際」「公共経済・政策」「医療・社会保障」「観光・文化」の5つのコースで展開します。卒業後、金融業界で活躍したいと考えている人は、「金融・産業」を選択するなど、目標とコースがイコールになるようにしているのでわかりやすいのではないでしょうか。

松石:経営学部は、卒業後の進路と学びの領域を合致させていません。その理由は、どの業界でも会計、マーケティング、戦略など、経営学の知見が必要とされるからです。「会計・ガバナンス」「マーケティング・イノベーション」「戦略・組織」の3つの領域があるといいましたが、これは業界名ではなく、人事業務、会計業務、商品開発業務などの業務を表しているわけです。卒業後、どんな仕事をしたいと考えているのかで選べば良いと思います。とはいえ、大学受験の時点で、目標が決まっている人は少ないのではないでしょうか。経済学部でも経営学部でも、将来のことを考えながら勉強をして決めれば良いのです。そういう意味でも、経営学部と経済学部が融合した学びができるのはとても良いことだと思います。

Q/先生方の経験から、経済学、経営学を学ぶおもしろさを教えてください。

髙山:私が高校生の頃は、最初は理工系の学部をめざしていました。当時、ベルリンの壁が崩れて、社会が大きく変わっていくのを目の当たりにして、「これから世の中はどうなっていくのか」と高校生らしく悩み、この出来事がきっかけで目標が変わり、経済学部に進学をしました。大学時代にはバブル経済が崩壊し、授業の内容も変わりました。ある日、教授が昨日まで使っていた教科書を指して「これは、もう古い」といったことを鮮明に覚えています。社会の変遷と経済は密接に関わっていることを端的に表していると思いますし、このことが経済学を学ぶおもしろさだと思います。

松石:私は、高校時代は経済史に興味があり、「歴史は、人間が動かしているというより、経済の大きな流れの中で歴史的必然性があって動いているのではないか」と考えていました。大学では経済学を学びましたが、社会が移ろうように私自身も移ろい、経済史から経営史の研究に移ったという経緯があります。改めて経営学のおもしろさとは何かを考えてみると、皆、社会に出て働くわけですよね。働くには、自分の立ち位置を客観的にとらえて、今、何が求められているのかをつかんで行動しなければなりません。これは企業経営も同じです。経営学を学ぶことでその素地を養い、成長や進化につなぐことが学べる。それが経営学のおもしろさではないではないかと思います。

Q/受験生にメッセージをお願いします

髙山:経済学の語源は「経世済(けいせいさい)(みん)」に由来するといわれています。この言葉には、やりくりして皆を救うという意味があります。経済学を学ぶということは、国際貢献、地域振興や観光、新しい産業、公共部門、医療、文化、金融など、社会を支える制度や仕組みを学んで、皆を救うということにつながります。このような分野で社会の役に立ちたいと思っている人にとって興味の尽きない4年間になるのではないかと思います。

松石:キャンパス内で学部を超えて刺激し合うだけでなく、企業や組織と関わる機会を多く持ち、体験的に学ぶことを重視しています。学外に出ることで予想を超えた学びが展開すると考えています。目標がある人はもちろん、まだ、これから目標を見つけていくという人もともに学びましょう。

<ここがDISCOVERY!>

・京都橘大学の経済学部と経営学部では、新しい時代で活躍できる学びの環境がある!
・経済学部と経営学部が融合したカリキュラムが多く、学びながら目標を明確にできる! 工学部と一緒に学ぶ機会も多く、文理融合の実践的な授業を受けられる!
・社会の変遷と経済が密接に関わっているのが経済学のおもしろさ!

・経営学を学ぶことで、物事を客観的にとらえ、社会が求めているものをつかんで行動に移す素地を養い、成長や進化につなぐことができる!

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