Interview

長期留学や国際関係領域という無二の学びで
自分の可能性を広げる国際英語学部。
「グローバルスタディーズ」と「国際共生」の2専攻制へ

インタビュー

2025.10.01

国際英語学部は2026年4月、2専攻制として新しく生まれ変わります。全員が1年間の海外留学を経験し、国際的な視野と多文化共生社会での課題解決力を養う「グローバルスタディーズ専攻」と、京都にいながら多様な留学生と共に学ぶ「国際共生専攻」。興味やキャリアに応じて専攻を選択し、それぞれの学びで世界を舞台に活躍する力を身につけます。
学生時代に海外でチャレンジを積み重ね、サステイナビリティ教育という現在の専門分野に出会ったという、早川有香准教授に学部の魅力を伺いました。

国際英語学部 国際英語学科 早川有香 准教授
<専門分野>
国際関係学, グローバル・ガバナンス, サステイナビリティ教育(ESD)
<研究課題>
・ESDにおけるステークホルダー協働
・自律的な協働継続のための統合ステークホルダーシップ・モデルの研究

写真:

※2025年9月にインタビューしたものです

高校時代、2000年に国連ミレニアム・サミットが開催されました。環境と開発に関する地球規模課題が議論される様子など、グローバルなニュースを見聞きして「私も国連で、課題解決に関わる仕事がしたい」と思ったのが、国際関係という学問への興味の始まりだったと思います。

大学在学中、UNジュネーブ事務所、UNHCR、UNESCOといったヨーロッパにある国連関連機関の視察ツアーが組み込まれた語学研修に参加し、気づいたことがありました。それは、国連は大きな希望であり世界を動かす大きな力を持っている、それと同時に限界もあるのだということ。多くの国が長年協力して取り組んでいるにも関わらず未だに存在し続ける課題に対して、自分ならどんな方向からどう解決するか、という視点を持つようになったんです。

大学卒業後は英国大学院に進み、在学中より国際連合大学高等研究所(UNU-IAS:現国連大学サステイナビリティ高等研究所)のインターンとなり、そこでESD(Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育、サステイナビリティ教育)という研究分野に出会ったことが、大学教育でのキャリアにつながっています。
ESDの研究と実践の場として、大学で教える仕事をしたいと思うようになったんです。
サステイナビリティは知識として理解するだけでなく、探求しながら思考することが重要です。学生の皆さんには、すでにあるものに対して疑問を持ちながら、思考を積み重ねていくことで、自分なりの価値観を形成してほしいと考えています。

京都産業大学との合同ゼミで、「サステイナビリティ」を共通テーマに研究発表会を実施

本学部は全員が1年間の留学をするカリキュラムを開設から10年継続してきました。カナダ、アメリカ、マレーシア、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドという6地域での留学を2年次のカリキュラムに組み込むことで、長期の留学と4年間での卒業の両立を可能にしています。
こうした1年間の留学経験と卓越した語学力を活かし、卒業生は商社やメーカーなどで海外と関わる仕事に歩みを進めています。また、海外の大学院へ進学したり、海外で働くなど、グローバルなキャリアを築いている卒業生も多数います。培った国際感覚と実践的な語学力が世界で通用する力となり、卒業後の多様な進路につながっていることは本学部の大きな強みですね。

これまでの国際英語学部の流れを汲む「グローバルスタディーズ専攻」では、日常的に英語を「話す、聞く、触れる」環境で学び、全員が1年間の海外留学を経験した後は、国際的な視野と多文化共生社会での課題解決力を養います。「国際共生専攻」も選択制で半年間の留学プログラムに参加できますが、京都の地で世界各国の留学生との多文化環境に身を置き、日常的に学びあうことができるのが大きな特徴です。これらの2専攻を通じて、それぞれの学びで世界を舞台に活躍できる人材を養います。
また両専攻に共通しているのは、「国際関係」、「国際観光」、「国際経済」の3領域が柱にあること。私の担当する「国際関係」領域では、国際人権論や人間の安全保障論、地域研究などの新規科目が設置される予定です。企業連携PBLやインターンシップ科目なども拡充させ、フィールドで実践する機会も増やしていきます。

地球上のどこにいても、現代社会においてグローバル化は避けて通れません。つまり、国際関係に興味があるかどうかに関わらず、長い人生を生きていく中で、「他国との関係の中に日本がある」という視点を持つことはとても重要なのです。「国際関係」では、世界で起こっていることと日本、さらに自分にはどんな関わりがあるのか、国際社会にはどんな仕組みがあるのか…多方面から考察していきます。
日本で暮らしていれば、英語を習得しなくても、海外に行かなくても、不自由なく一生を過ごすこともできるかもしれません。その一方で、「日本で育てられ作られたものだけで暮らしていくこと」は、かなり難しいのではないでしょうか。一見、国産の農産物であっても、肥料や農薬、包装、輸送に必要な燃料などまで視野を広げていくと、必ずどこかで世界とつながります。気候変動問題にしても、原因となる温室効果ガスの一種であるCO2の排出は工場などの事業系だけでなく、私たちの生活の中から排出された家庭系の排出も大部分を占めている。あるいは、私たちが影響を受けている異常気象も、その原因は私たちの生活の中だけではないはずです。「国際関係」領域の授業では、知って、考えて、学生の皆さんが腑に落ちる経験をしてほしい。多様な視点を知ることで自身の感覚がアップデートされていく、それこそが国際関係を学ぶ面白さなのだと思います。
また、「国際経済」は、実践的なカリキュラムを通じて、グローバルなビジネス環境で活躍できる力を育成します。企業との連携やケーススタディを通じて、理論と実務を融合させた知識とスキルを習得。特に京都の先進企業の事例から、最新のビジネストレンドや革新的な経営手法を学びます。
「国際観光」は伝統と革新が融合した国際観光都市・京都をフィールドに、観光資源を活用したプロジェクトや、持続可能な観光の推進に関する実践的な課題に取り組むことで、多文化共生への理解力と対応力を高めます。インターンシップ科目などを通じて、異なる文化背景を持つ人々との協働やコミュニケーション能力を強化し、国際社会で活躍できる人材への成長を促します。

京都にはSDGsという言葉が世の中に浸透する前から、持続可能な活動をしてきた方々がたくさんおられます。サステイナビリティというラベルをわざわざ貼ってこなかったけれど、そのフィロソフィが今も人々の生活の中に息づいているのが京都という場所。地域の自然資源に支えられ、伝統に根差してきたものづくりや、自然と共存した食と人とのつながりなど、長年培われてきたサステイナビリティの土壌がしっかり残っているのです。
私のゼミでも、環境保全型農業など自然環境との共生や循環を大切にされている農家さんのもとでフィールドワークを行なっています。身近な地域でサステイナビリティが学べるのは、他の地域にはない京都の素晴らしさです。今年7月には、京都の漆原材料メーカーである堤淺吉漆店の堤様にご講演いただき、漆文化の持続性について、時代の変化の中で代々受け継がれてきた率直な思いを伺う貴重な機会となりました。

3回生ゼミで実施したフィールドワーク(株式会社オーガニックnico:京都市右京区)
「自然環境こそがサステイナビリティの根幹であること」を体感的に学ぶ

京都市のエコ学区事業「2050年CO₂ゼロどこでもトーク」に堤淺吉漆店の堤卓也氏による「きれいな地球と漆文化を次世代につないでいく」活動の講演

サステイナビリティ思考と語学力が備わっていれば、あらゆる業界で活躍できると思います。何のためにサステイナビリティを学ぶかと言えば、今よりももっと住みよい社会にしていくためです。これまで就職実績のある観光業や外資系企業などにおいても、「組織として社会にいかに貢献できるか」が重要な評価ポイントになってきている昨今、サステイナビリティ思考を兼ね備えた人材は今後ますます求められるでしょう。
また、在学中に英語の教員免許を取得し、教育機関に就職した卒業生もたくさんいます。本学部で培ったサステイナビリティ・マインドを、次世代につなげていくことのできるお仕事ですね。「国際関係」領域の進路としては、地球規模課題の解決に携わる国際機関や国際NGO・NPOなどへの就職も、これからもっと支援していきたいと思っています。

留学への意欲や語学力の伸ばし方、将来の進路(国際機関・企業・教育など)を考慮し、自分の学び方に合った専攻を選ぶことが大切です。
「グローバルスタディーズ専攻 」の1年留学のメリットとしては、その国や地域、あるいはそのコミュニティにより深く入り込めること。長くいればいるほど人とのつながりも広がりますので、渡航大学の中での勉強だけではない、課外活動や地域の社会活動などにも参加できるチャンスも多いと思います。海外での経験を充実させたい!という人は「グローバルスタディーズ専攻」をおすすめします。
「国際共生専攻」は、留学もしたいけれど、低回生のインターンシップにも参加したいし、サークル活動や課外活動も頑張りたいという、マルチ思考な人が向いていると思います。4年間をどう過ごしたいか、じっくり想像すれば自分の進みたい方向が見えてくるのではないでしょうか。

世界平和をめぐる問題、地球環境問題、貧困問題など、誰もが解決されるべきだと思っているのに、実際にはなかなか解決できていない。なんでかな…モヤっと思った好奇心あふれるあなたには、ぜひ本学の国際英語学部で学んでほしいと思います。
こうした問題解決に重要なのは、「共生」をいかに生み出していくかということだと思います。時に日本人は自分のことを後回しにして、波風立たない方を選ぶことがあります。「和を大切に、平和裏にものごとをおさめる」ということは、世界でも称賛される素晴らしい態度です。一方で、自分の意思もかけがえのないものとして尊重するということも、それと同じくらい大切だと思うのです。あなたも私も、同じように大切な「自分」同士です。お互いを理解し合って、尊重し合って、より良い社会をともに考え、実現していこうという意識も持てるとさらに良いのではと思います。こうした思考は、進路や将来を考えていく上でも、重要なキーポイントの一つになっていくと思います。
授業、留学、フィールド演習、インターンシップ…様々な学びの機会を自分流にカスタマイズして、ワクワクしながら学んでいってほしいなと思います。


〈ここがDISCOVERY!〉

  • 国際英語学部が2026年4月から2専攻制に!
  • 「グローバルスタディーズ専攻」は1年間、「国際共生専攻」は半年の留学(選択制)を実施
  • 「国際関係」、「国際観光」、「国際経済」の3領域を展開
  • サステイナビリティを体験的に学ぶという意味で、京都は最高の場所!

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