経営学部松石ゼミ×パーフェクトポーション 連携プロジェクト! 柑橘アロマが香るルームミスト「橘Aura」が完成
インタビュー
2025.02.07

経営学部経営学科 松石ゼミ4回生
(左から)松尾 茉穂さん 槌野 涼華さん 大前 彩乃さん 山崎 直輝さん 橘 駿介さん
経営学部経営学科
松石 泰彦教授
パーフェクトポーションジャパン株式会社
代表取締役 山本 貴世さん
京都に本社を構え、全国で商品販売を展開している、オーストラリアのアロマセラピーブランド、パーフェクトポーション。商品のクオリティはもちろんのこと、地球環境に配慮したサステナビリティな取り組みに共感する愛用者が多数。経営学部の松石泰彦ゼミと連携しオリジナル商品開発に向けて、何度も意見交換を行った学生たち。「京都橘大学らしさってなんだろう?」と、たどり着いた「橘Aura(たちばなオーラ)」の香りに包まれながら、開発秘話を伺いました。

※2024年11月にインタビューした内容です
Q/天然由来の成分を使用するオーガニックアロマブランド、パーフェクトポーションとのプロジェクトが動き出したのは2023年度、今から2年前のことですね。
松石/プロジェクトメンバーの学生たちが3回生で、CSR(社会的責任)やSDGs(持続可能な開発目標)について学ぶにあたり、社会課題を解決するようなプロジェクトが進められたらと考えていました。そんな折に、産学公連携を推進する団体から、サステナブルな商品づくりを追求しておられるパーフェクトポーションジャパン株式会社の山本社長をご紹介いただきました。
山本/日本法人の拠点が京都にあり、「京都の学生さんと一緒に何かできたら」という思いがずっとあったので、京都橘大学との産学連携のお話しをいただいてすごく嬉しかったです。私たちは常に新たな視点で新しい精油を探していますので、フレッシュなアイデアや行動力を持つ学生さんとタッグを組むことで、面白いことが一緒にできるんじゃないかと思いました。

Q/最初から京都橘大学をイメージしたオリジナル商品の企画に取りかかったのですか。
山本/プロジェクトの初期は、4チームに分かれて社会課題を解決するテーマのもと、新商品のための素材探しや企画検討を進めていきました。2023年7 月の講評会で発表されたのは、「自然災害が増えている昨今、寺社などの倒木を再利用できないか」、「形が悪くて破棄されてしまう大納言小豆を再利用できないか」など、どれも自由でユニークな提案でした。そこで学生さんたちの発想力に刺激を受けたことから、パーフェクトポーションの精油をブレンドして、京都橘大学をイメージしたオリジナル商品を開発しませんかと、2024年度の新たなプロジェクトを私から持ちかけたことが始まりでしたね。



Q/それがアロマ香るルームミスト「橘Aura」というわけですね。どんな精油がブレンドされているのでしょう。
松石/まず行ったのは、京都橘大学に対するイメージ調査でした。学生からのアンケートを集計したら『アクティブ、自由、個性的、爽やか、誠実、フレンドリー』といったキーワードがあがってきたんです。京都橘大学というと単に橘の実のイメージになってしまいがちですが、これらのイメージの再構築をねらいました。また、学生が、アロマ原料をたくさんデータベース化して、キーワードと照合して原料製油を選び、それを山本社長にプロの感覚で調合をしていただきました。アロマの専門書を片手に、山本さんにご意見いただきながら、イメージを表現できるアロマの精油を一つずつ丁寧に選んでいきました。
橘/「橘Aura」はユーカリレモン、オレンジスイート、レモングラス、イランイラン、ライム、クラリセージ、グレープフルーツ、ゼラニウムという8種類の精油をブレンドしています。割合を変えた試作品をたくさんつくっていただき、みんなで香りを比べる作業はとても楽しかったです。

山本/大学のイメージを表現すること以外にも、「どんな香りを誰のために作りたいのか」「それを使った人がどんな気分になってもらいたいのか」想像力を働かせることも重要なことだとお話ししました。皆さん真剣に向き合い、そして楽しみながら精油を選んでくれたよね。
山崎/それまでアロマに接する機会がほとんどなかったので、どんな場面で使うのかを想像することすら最初は難しかったです。アロマの効能など知識を増やしていくうちに、徐々にイメージできるようになりましたね。私はクラブ活動をしているので、ちょっと疲れを感じた時に「リフレッシュできる香りや、課題に取り掛かる時に、集中力を上げてくれる香りがいいな」と考えていました。
大前/私は気分がパッと明るくなるような香りをイメージしました。出かける前にシュッとひと吹きして、「今日も一日がんばろう!」と思えるアイテムになれば嬉しいなと。

Q/精油をブレンドして終わりではなく、商品の販売をゴールに設定したとか。どんなことが大変でしたか?
松石/メーカーであるパーフェクトポーションにオリジナル商品をつくっていただくためには、ある程度のロット数がなければいけません。数が少なすぎると1個に対するコストがかかりすぎますよね。ロット数をどうするのか、ラベルデザインはどうするのか、売り先にどんなアプローチをするのか、広告や広報はどうするのか。いわゆるマーケティングの一通りを学べる絶好の機会と捉えました。
松尾/私は、山科エリアの役所や企業に出向いて「こんな経緯で開発したルームミスト、こちらに置いていただけませんか」と営業活動を行いました。オープンキャンパスなどイベントで香りを紹介したことはありましたが、学外での活動は初めてで、どんな反応が返ってくるのかすごく緊張しましたね。
松石/営業活動を頑張ってくれたのですが、それだけでは目標のロット数には届きません。最終的に考えたのが、同窓会や父母の会など、京都橘大学と関係する組織へのアプローチでした。同窓会などに学生が出向いて「橘Aura」のプレゼンテーションを行いました。さらに、学内の生協での販売や京都橘大学のサイトでの販売、パーフェクトポーションの店舗での販売に向けて、少しずつ販路を増やす活動を行っています。



(ホームカミングデー イベントの様子)
Q/父母の会では、橘さんがプレゼンテーションを担当したそうですね。
橘/今回のプロジェクトの最終目標が約2000個、そのうち1700個ほどは大学関連の組織に買っていただく計画だったので、プレゼンテーションはかなり重要な局面でプレッシャーもありましたね。プレゼンテーションでは、「橘Aura」は、学生それぞれが考える「京都橘大学らしさ=自分らしさ」に基づいた香りを表現するために、どんなアロマの精油を選んだのか、というところに重点を置いてお話しました。
Q/「橘Aura」の商品開発を得てこれまでのプロジェクトを振り返ると、何が一番印象に残っていますか。
松尾/やはり、銀行や役所など、学外に出向いて営業活動したことが印象的でした。まだサンプルもない段階で、同世代ではない大人の人に向けて、商品説明することはすごく大変でした。その一方で、社会人になる少し前のタイミングでお客さんと対面で話したり、企画書を作ったりというのは貴重な経験でした。

槌野/オープンキャンパスで高校生に香りを嗅いでもらうイベントに携わったことが印象深いです。アロマのことは全く知らない状態から、学びながらアロマとの距離を縮めて、ブレンドした香りを提案する側になっていくことにワクワクしました。香りが人をリラックスさせてくれることを知る良い機会にもなりましたね。

大前/私は今まで人前に出る経験を避けてきたというか、できる人に任せてしまうことが多かったんです。でも今回のプロジェクトに参加し、父母会のプレゼンの準備を手伝うなど役割を担って、やればできるという自信が持てました。できる、できないに関わらず「まず挑戦してみよう」と思える自分になれたことは大きな変化です。
山崎/「京都橘大学らしさとは何か」という問いを、たくさんの人に投げてさまざまな人の意見を聞けたことが印象に残っています。これから先も、何かにつまずいた時は、自分だけで考えるのではなく「人の意見を聞きながら広い視野で物事を捉えよう」という考えに変わりました。

橘/自分たちが考え続けて商品化した、2年間の集大成ともいえるルームミスト。それをさまざまな立場の人に使ってもらってリアクションを目の前で見るという、大学生のうちにすごく貴重な経験ができたと思います。
松石/産学連携での学生の企画・開発というのはよくある話ですが、最後まで商品化して販売までこぎつけた事例は、レアケースだと思います。そのゴールまで辿り着けたのはパーフェクトポーション、そして山本社長のおかげです。時間がかかっても一緒に考えることを止めず、絶対に商品化しよう!というスタンスでいてくださったことに感謝しています。

山本/今までも大学で講演をしたり、勉強会に呼ばれたり、香りについてお伝えする機会はたくさんありましたが、学生さんとオリジナル商品をつくったのは今回が初めてのことでした。パーフェクトポーションとしても多くの学びがありました。柑橘が主体の「橘Aura」は、爽やかで元気が出て、なによりまっすぐな香りです。8種類をブレンドすると少し複雑になることもあるのですが、「橘Aura」は嗅いですぐ「コレはいい香り!」と感じていただけると思います。私はすでに3本目に突入、あれこれ忙しい時にひと吹きすると、気持ちをリセットしてくれるまっすぐな香り、とっても気に入っています。

<ここがDISCOVERY!>
- パーフェクトポーション山本社長のサポートがあったからこそ商品開発ができた
- アンケートから導きだした京都橘大学らしさをベースにアロマの精油を選択
- 精油選び、パッケージデザイン、広報、営業まですべて学生が参加
- 商品開発から販売までやりきる産学連携事例は珍しく、実現できたことは大きな自信に
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