Special

YOUは何しにタチバナへ?! Episode.2歴史ある中国から日本の歴史の町、京都の“橘”へ留学先で出会った、夢中になれるAIの世界

特 集

2026.08.07

『YOUは何しにタチバナへ?!』エピソード2に登場するのは、中国中東部の河南省から来日し、工学部情報工学科で学ぶ房芫鋇(ボウゲンハイ)さん。高校卒業後、家族のすすめをきっかけに留学を決意。福岡県北九州市の日本語学校で語学力を磨きながら進路を模索する中で出会ったのが京都橘大学でした。入学当初はソフトウェアデザインに興味を持っていましたが、多彩な授業や先生との出会いを通して関心は次第にAIの世界へ。現在は西出研究室に所属し、ゲームキャラクターの性格に応じた音声生成の研究に取り組んでいます。

留学をきっかけに出会ったAIという新たな可能性。そして、人との出会いを通して広がった世界。 将来はAI技術を活用してゲームクリエイターを支えたいと語る房さんに、 京都橘大学での学びや留学生活について伺いました。

工学部情報工学科3回生
房 芫鋇(ボウゲンハイ)さん

※2026年7月にインタビューしたものです

中国文明発祥の地の一つとして知られている河南省。かつて多くの王朝の都が置かれた歴史ある地域で、洛陽や開封などの古都には現在も数多くの文化遺産が残されています。

また、人口約1億人が暮らす大規模な地域であり、経済や産業も発展しています。一方で、小麦やトウモロコシの生産が盛んな中国有数の農業地域でもあり、豊かな歴史と文化、そして活気ある都市と農村が共存するエリアです。

私は河南省で育ったため、歴史的な建造物や伝統文化が身近であったこともあり、自分のルーツや異なる文化への関心を持つようになりました。だからこそ海外で新しい価値観や知識に触れたいと思い、海外への留学を決意しました。

 ※本図は中国国家統計局、河南省人民政府等の公開資料を基に作成したものです。

日本に興味を持ったのは日本を代表するアニメ、『クレヨンしんちゃん』の影響です。小学生の時からずっとテレビ放送で『クレヨンしんちゃん』を見ていましたし、映画やグッズ販売などもあって中国ではすごい人気なんですよ。とはいっても、アニメは中国語の吹き替えで見ていましたので、中国にいた時、日本語は全く話せませんでした。海外へ留学した方がいいとすすめてくれたのは父です。私自身も広い視野を持てるだろうし、新鮮な体験ができる未来を思うとワクワクしたので、留学を決意。留学を通して、語学力を身につけるだけでなく、多様な価値観に触れ、自分の視野を広げたいと考えていました。新しい環境で挑戦し、自分自身を成長させたいという想いが原動力になりました。

北九州の日本語学校を卒業したら、情報系の学部がある大学に進みたいと考えていました。日本語学校の先生から「情報系なら京都橘大学はどう?」と名前を教えていただいたのですが、なにより心に留まったのが“橘”という文字。“橘”という漢字は中国語でみかんを意味します。私はみかんが大好きですので、これもなにかのご縁かなと思って、どんな学部があるのか調べ始めました。
情報工学科のトピックスを見ていいなと思ったのは、少人数クラス制をとっていることです。日本語で授業を受けてわからないことがあっても、その場ですぐ質問できて、解決できる環境であれば学習のスピードも上がります。先生との距離が近そうで、きちんとサポートが受けられそうなところに大きな魅力を感じました。

ものづくりができることが、情報工学科の最大の魅力です。1回生では、実際にコンピューターを動かしながら、ものづくりの基礎となるプログラミングを学びます。プログラミングの授業では想像以上の達成感がありました。思い通りに動かない原因を探し、試行錯誤を重ねてエラーを解決できた時は本当にうれしいですね。だからプログラミングを書く作業は好きですし、とても楽しいと感じています。

また、情報工学科の魅力は、基礎を身につけた先に幅広い選択肢があることです。ソフトウェアデザインやゲーム開発、AI活用など、自分の興味に応じて専門性を深めることができます。実は入学当初はソフトウェアデザインに興味があったのですが、1・2回生の間にさまざまな分野の授業を受ける中で気持ちに変化がありました。特に、知能情報学やゲーム情報学を専門とする西出俊准教授の授業がとても面白く、現在は西出研究室でAIについて学んでいます。AIには、人間だけではたどり着けない領域にアプローチしたり、膨大な情報を短時間で処理したりできる可能性があります。そうした技術の力に大きな魅力を感じています。

キャンパス内だと、いろんな情報が集まっている図書館で過ごす時間が好きです。1階「アクティブゾーン」、2階「リラックスゾーン」、3・4階「クワイエットゾーン」とフロアが目的別に分かれていて、ひとりで集中したい時は私語厳禁の「クワイエットゾーン」へ。友人と一緒に勉強したい時は、アカデミックスリンクス2階のラーニングコモンズを利用するなど、授業を受ける部屋だけでなく、キャンパスにいろんなパブリックスペースがあるのも嬉しいです。プログラミング言語についての本をよく読みました。

京都橘大学図書館

京都の街に関しては、北九州より雨が少ないですし暮らしやすい。そして自然も豊かでとても美しい街だと思います。特に好きなのは鴨川の風景。河原町エリアには好きなマーラータンのお店があるんです。そこの辛い春雨料理を楽しんでから、夕暮れに染まる鴨川の景色を眺めて散歩するのが私のお気に入りコースです。まだ中国の家族を京都に招いたことがないので、いつか一緒に鴨川を歩いてみたいですね。

文化や言葉、育ってきた環境が違っても、一人ひとりを理解して尊重することが大切だと感じました。日本人の友人と関わる中で、最初は「少し大人しいな」「本心が分かりにくいな」と感じることもありました。でも一緒の時間を重ねていくうちに、表にあまり出さないだけで、細かいところまで気にかけてくれる優しさに気づきました。海外の文化を理解するということはすなわち、一人ひとりをしっかり見ることなのだと思うようになりました。振り返ると、日本の京都橘大学に留学という選択は私の人生にとても大きな影響を与えています。中国にいたままだったら出会えなかった人たちとの出会いがあり、新しい価値観に触れることで、自分の世界は大きく広がりました。 さらに、情報工学を学ぶ中で本当に興味のあるAIとも出会うことができました。留学は私の人生に大きな影響を与えてくれたと感じています。

現在の研究テーマでは、ゲームキャラクターの性格に基づく音声生成に注目しています。AIにキャラクターの性格を理解させ、状況に合わせた話し方やテンポ、感情を生み出すプログラムを構築しています。この技術を活かして、将来はゲームクリエイターを支援できる仕事に携わりたいです。

さらに、少しずつですが、就職活動も始めていて、日本企業でAIに関する仕事に就くことをめざしています。大規模なプロジェクトに関わるというよりも、自分の目の届く範囲で仕事全体を把握しながら、コツコツとものづくりに取り組める環境が自分には合っていると思います。

そのために今、一番力を入れているのが日本語のレベルアップです。ビジネス日本語能力テストにも挑戦していて、聞く力はかなり身についたと感じています。これからは、より自然に自分の考えを伝えられるよう、話す力を磨いていきたいです。

音声生成プログラム

ランダムフォレストモデルを用いて音声から性格を予測する
目標としていた性格傾向の一致度の割合を計算

私は日本に来る以前から、「将来は日本の企業に就職したい」という強い想いを持っていました。でも、何を学びたいのか、どんな仕事に就きたいのかまでは具体的に決まっていませんでした。理系科目が得意だったので、最初はソフトウェアデザインに興味があるかなというくらいでしたね。ですが、京都橘大学でさまざまな先生の講義を受けるうちに、自分の興味や可能性が少しずつ広がっていきました。その結果、今はAIに強い関心を持ち研究にも取り組んでいます。もし留学をしていなかったら、今の自分はなかったと思います。

海外留学というと、不安や心配を感じる人も多いと思います。しかし、新しい環境に飛び込むことでしか出会えない人や経験があるはずです。私自身、留学によって視野が広がり、本当にやりたいことを見つけることができました。今はまだ興味のある分野がはっきりしていなくても大丈夫です。「なんとなく好きかもしれない」「これ、おもしろそう」という気持ちを大切にしながら学んでいけば、きっと夢中になれることが見つかります。ぜひ勇気を持って一歩を踏み出し、自分の可能性を広げる挑戦をしてほしいと思います。

ココから来ました!中国河南省!

〈ここがDISCOVERY!〉

  • 留学をきっかけに、本当に夢中になれるAI研究と出会った
  • タチバナでの学びが、自分の可能性と将来の選択肢を広げた
  • ゲームキャラクターの個性を表現する音声生成技術に挑戦中
  • 異文化との出会いを通して、人を尊重する大切さを実感
【企画紹介】YOUは何しにタチバナへ?!とは

京都橘大学には、○○カ国・地域から○○名の留学生(○○時点)が在籍し、日本全国から集まった学生たちとともに学び、充実した大学生活を送っています。世界には数多くの大学がある中で、彼ら・彼女たちはなぜ京都橘大学を選んだのでしょうか。
留学生にスポットを当てた企画『YOUは何しにタチバナへ?!』では、日本で学ぼうと思ったきっかけや京都橘大学を選んだ理由、キャンパスでの挑戦、そしてタチバナで過ごす日々のリアルな姿をインタビュー形式でお届けします。海を越えて学びにやってきた『YOU(留学生)』たちは、何を夢見て、どんな未来を描いているのか。その素顔と魅力に迫ります。

Relative