Special

#授業レポート
「区長賞」に選ばれたチームと担当教員が語り合う授業の魅力とは
経済・経営・工「3学部合同PBL授業」後編

特 集

2022.05.17

AIやIoTなど情報技術の急速な発展によって、変わっていく時代のニーズに応えるため、京都橘大学では、2021年4月より経済学部、経営学部、工学部を新設。3学部共通科目を設置し、文理を越えた幅広い知識・技能を身につけるクロスオーバー教育をスタートさせました。なかでも、各学科で学んだ専門知識を活かし、具体的な社会的課題の解決に取り新たな時代が求める実践力を養うため、3学部合同によるPBL授業がスタートしました。1回生後期に行われた「プロジェクトマネジメントⅠ」は、各学科で学んだ専門知識を活かし、社会課題の解決に向き合うプロジェクト形式で実践的な授業です。テーマは、「山科区をより良くするための提案」。学生たちはチームのメンバーとともに知識をもちより、課題解決のためのアイディア立案に取り組みました。報告会を終えた全144チームの中から選ばれたチームが実際に山科区役所でプレゼンテーションを実施しました。
授業レポート前編では、授業の集大成となる報告会の様子をお伝えしました。後編では、山科区役所でのプレゼンテーションの様子と、『区長賞』に選ばれたチーム『Twinkle』のメンバーである4人の学生たちとクラス担当の矢口満先生に集まっていただき、受賞の喜びや授業での学びで得た成長と気づきについて、ざっくばらんに語りあっていただきました。

2022年1月27日(木)に行われた山科区役所でのプレゼンテーションでは、西野毅朗先生の司会進行のもと6つのチームが提案内容を発表しました。チームごとに5分間のプレゼンと約2分間の質疑応答が行われ、区役所職員の方々からは区の実態に基づいた視点から提案への評価や疑問点、要望など、さまざまな意見も飛び交いました。

発表された提案は、区の代表的な観光スポット「毘沙門天」に焦点を当てたもの、若者を呼び込むためのe-スポーツイベントの開催やインスタ映えカフェの開設、交通安全の推進による安心のまちづくりなど、それぞれに特色のあるアイデアが登場。そのなかで区長賞に選ばれたのは、チーム『Twinkle』の「皆で創る山科ツアー」をコンセプトに、区民のガイドで行うローカルガイド バス・電車ツアーの提案でした。

この提案では、山科区が策定した今後5年間に向けたまちづくりの基本指針となる『第3期山科区基本計画』の内容を盛り込んでおり、実現性の高い提案であったことが特徴でした。当日、区役所職員の方からも「総合的にいろんな要素が考えられており、波及効果、相乗効果にも言及され感服しました」と高く評価するコメントが。どのチームも魅力あふれる提案だっただけに、熟考に熟考を重ねた末の結果だったそうです。

後日行ったチーム『Twinkle』のメンバーと矢口先生との座談会では、「プロジェクトマネジメントⅠ」での学びついて、和やかな雰囲気のなかで語られました。

経済学部 経済学科 矢口 満 教授
<専門分野>
金融論/国際金融論
<主な研究テーマ>
・サステナブル・ファイナンスの深化
・欧州(ユーロ圏、英国)における金融経済の成長発展および安定性確保

■チーム『Twinkle』
近藤 竜輝さん  経営学部経営学科1回生
金井 銀次郎さん 工学部建築デザイン学科1回生
重田 花楓さん  経営学部経営学科1回生
滝口 来喜さん  経営学部経営学科1回生

※インタビューおよび撮影時のみマスクを外しています

(左から)矢口先生、近藤さん、金井さん、滝口さん、重田さん

――不安よりも、ワクワクの期待でスタートした3学部合同PBL授業

矢口:3学部合同のPBL授業は、日本でも珍しい画期的な挑戦だったわけだけど、最初、期待や不安はありましたか?

金井:僕は高校生のときに、プロジェクト解決型の授業を経験していたので特に授業への不安はなかったですね。それよりも、大学生となると個々の知識量も違うし、異なる学部の学生が集まることでどんな意見やアイデアが出てくるんだろうって期待の方が大きかったです。

近藤:リーダーシップを学ぶカリキュラム前半の授業では、みんなで協力し合うゲームもあって、楽しい雰囲気のなかですぐに打ち解けることも出来ました。

金井:それで、つい気が緩んで、カリキュラム後半のグループワークがスタートしてもなかなか動けていなかった僕たちに、矢口先生から喝をいただいたことも(笑)。

滝口:普段やさしい先生だったから、あれは驚きました。でも、そのお陰でクラス全体がぐっと気が引き締まって、一気に授業に集中できたと思います。

重田:先生の真剣さが伝わってきて。すごく熱い先生だったんだと知りました(笑)。

矢口:実は私自身も学部開設を機に本学に赴任したばかりの、いわば教員一年生。それまでは企業の管理職として部下の指導に当たっていて、何事にも本気でぶつかるのが当たり前だったから。でも、良い刺激になったでしょう? 実際、一度気を引き締めたらみんなの意欲も向上して、授業そのものも活気が生まれた気がしますね。

――単なる“アイデア”に止まらず、実現可能な提案を追求

矢口:ところで、「皆で創る山科ツアー」のアイデアは、どのような話し合いのなかで生まれたのかな?

近藤:山科区を活性化させるためにも、まずは、今の状況や抱えている問題などについて理解することから始めました。

金井:情報収集は主にインターネットを活用したのですが、そのなかで山科区が発表している『第3期山科区基本計画』という資料を見つけたのです。そこには観光・産業の活性化や子育て、防犯・防災、地域コミュニティなど、7つのテーマと取り組みが書かれてあったので、それを踏まえながら進めていこう!となりました。

滝口:いろいろ奇抜な案や楽しいアイデアもあるなかで、僕たちが重視したのは実現可能かどうかです。選ばれたチームは山科区役所で発表できると聞いていたので、区役所の方々に実現できないものを聞いてもらっても意味がないと思ったんです。

重田:そうそう。「何か新しい施設をつくって終わり」ではなくて、人と人との交流も大事にしたくて。区民によるローカルガイドという案も、まちの魅力をたくさん知っている高齢の方から若い世代に情報発信していくことで、コミュニティとしての活気を盛り上げたいという想いもありました。

――チームの仲間や学生アシスタントの先輩方に支えられ、自由にのびのびと学ぶ

矢口:このチームは、企画内容も素晴らしかったけど、スライド資料やプレゼンテーションの仕方も評価が高かった。チームの役割分担がしっかりできていましたね。

金井:資料については、中間発表のときにデザインが弱いと指摘されていたんです。それで、建築デザイン学科の僕がデザイン面を頑張ろうと思いました。全員が自分にできることをやりきったって感じかな。

近藤:スライドが簡潔で分かりやすくなった分、言葉ではどう伝えようかと、どんどんブラッシュアップの方向性も見えてきました。5分間という制限時間のなかで何をどう伝えていくのかをしっかり考えたし、自分としては、最後に一番大事なポイントを持ってきて印象づけたのが工夫したところです。

重田:私はクラブ活動で抜けることも多かったから、その分、プレゼンテーション当日はスライド準備や操作を担当しました。それぞれが自分の役割を果たしながら相互に協力し合えたことも成功につながった気がします。

矢口:2回生や3回生の学生アシスタントが授業を行うという点も今回の授業の大きな特徴だけど、その点はどうでしたか?

滝口:自分たちと年齢が近いこともあり、親近感が湧いて何でも相談しやすいのが良かったです。

金井:初対面なので何を話せばいいのかわからない時も、気さくに声を掛けてくれたことで、活動はすごく進めやすくなったと思います。

重田:自分たちに近い存在だからこそ私たちも失敗を恐れずにどんどん意見をいえましたね。

近藤:「授業を受けている」という感覚ではなく、「一緒に参加している」という感じです。授業が始まるのが楽しみでした。

――視野が広がり、自ら考え行動する力が身についた半年間

矢口:この授業を終えて、自分自身「成長できたな」と感じることはありますか?

滝口:初めの頃は消極的というか、なかなか自分から動き出すことが少なかったんですけど、グループワークのなかで経験を積むことで、率先して行動できるようになりました。

重田:私は今まで人の意見に流されることが多かったんですけど、チームのみんながどんな意見も否定せず、まず受けとめた上で前向きな議論に持っていってくれたから、人の意見をしっかり聞くと同時に自分の意見もちゃんといえるようになりました。

金井:僕はリーダーシップが単に周りを引っ張るだけじゃなく、支えるという役割もあるということを学んだのは新しい発見でした。今後の学びでもつねに状況をみながら、今、自分がどう動いていくべきなのかを考えながら行動していきたいですね。

近藤:今までは自分のことだけを考えていたのが、人のことも考えながら行動できるようになりました。人の意見を聞いて自分の考えに組み込んだり、何かを発言する時には熟考したり、しっかりと考える力が身についたと思います。

――京都橘大学で得られる成長をぜひ体験してほしい

矢口:では最後に、高校生の皆さんにメッセージをお願いします。

近藤:この授業では、クリティカルシンキングとプロジェクトマネジメントを通して、考える力と実践力を身につけることができます。発言する機会も多いので、どんどん自分の意見を伝えていくなかで、自然と積極性が身につきますよ!

金井:やっぱり、3学部合同で学ぶ魅力をぜひ知ってほしいですね。異なる学部の仲間と一つの課題に取り組んでいくことで、自分にはない考え方や知識など、普通の学びでは得られないたくさんのことを勉強できました。

滝口:出身地も学部も異なる学生が集まることに意味があると思いました。一人ひとりが持ついろんな知識やスキル、経験を組みあわせて一つの目標に向かっていける貴重な学びの場だと思います。

重田:高校までの勉強では正解がある問題が多く、「間違えてはいけない」といつも慎重でした。でも、社会課題を解決するという学びでは決まった正解はなくて、自由に発想を広げられるから楽しく取り組めました。

矢口:本学初挑戦となった3学部合同PBL授業は、リーダーシップや個々の学生が持っている力を引き出す素晴らしいプログラムになっています。この授業を受けるためだけでも本学に来る価値がある!といえるほど魅力的であると私は思っています。このメンバーをはじめたくさんの学生が大きく成長している姿を見て、また、新しい1回生と出会えるのが今から楽しみです。

<ここがDISCOVERY!>

・「プロジェクトマネジメントⅠ」では、個々の力を発揮しながら互いに支え合うチームワークで、真のリーダーシップを習得!
・授業を通して、自ら考え行動。問題解決のための力を育てる!
・学生アシスタントがいることで、下回生は自然体でのびのびと楽しく学ぶ!
・今後の学びはもちろん、社会で活躍するための自主性が身についていく!

Relative