Event Report

企業の課題に本気で向き合った1か月。
リモートで強くなる絆がある。リモートインターンシップで学べたこと。

イベントレポート

2020.11.11

新型コロナウイルス感染症拡大防止と日常生活の両立をめざして「新しい生活様式」が浸透しつつある今、就活の要ともいえるインターンシップも従来のような対面で行うことが難しくなっています。このような状況の中、本学は企業の協力を得て「リモートによる課題解決型インターンシップ」を行いました。同インターンシップの課題を「コロナ禍における企業の課題と解決策」として、学内プレゼンテーションコンペも実施し、魅力ある提案で最優秀チームに選ばれた皆さんに、同インターンシップを通じて学べたことなどを伺いました。

京都橘大学の「リモートによる課題解決型インターンシップ」とは・・・
●目標/企業連携で、新しい生活様式の中で学生が主体的に行動し、協働する大切さや変化に柔軟に対応する重要性を体験的に学ぶ
●対象/2回生、3回生
●課題/コロナ禍における事業所の課題と解決策
●期間/7月17日(金)から8月27日(木)
●内容/4~5名でチームを編成。各チームは担当事業所のコロナ禍の課題をオンラインインタビューを通して抽出。解決策をまとめて企業にプレゼンテーションを行う。各事業所の講評を踏まえ、学内プレゼンテーションコンペを実施し、最優秀チームを選ぶ。

最優秀チームの皆さん
チームの目標/自らが課題に取り組み、チーム全員で協力し合い課題発見力を身につける。
安原 梨都(なつ)さん 文学部日本語日本文学科3回生
品川 桃香さん 国際英語学部国際英語学科3回生
秋山 佳穂さん 現代ビジネス学部都市環境デザイン学科2回生
片山 賢也さん 現代ビジネス学部都市環境デザイン学科2回生
(※)この記事は、2020年8月にオンラインでインタビューしたものです。
(※)写真は撮影時のみマスクを外しています。

(左から)品川さん、片山さん、安原さん、秋山さん

Q/「コロナ禍と就活」について、皆さんはどのように感じていますか?

安原:メディアの報道を通じて、最初に観光業界が大きな打撃を受けたことがわかりました。次第にほかの業界も影響を受け始め、とても不安になりました。友人と「インターンシップや面接の方法など、きっと変わるだろうけど絶対に乗り越えようね」と励まし合いました。就活については、特に業界を決めていませんが、後悔しないよう全力投球したいです。

片山:僕は観光業界に就職することをめざしています。今回のことで他業界も視野に入れようかなと考えているのですが、正直なところ迷っているし不安ではあります。

品川:私も観光業界に興味があります。観光業界を中心に、さまざまな業界も視野に入れて活動する予定です。コロナ禍で就活の方法が変わることも予測していましたが、私にとっては今回が初めての就活でこれまでのことは知りません。だから、今できることをやれば良いと考えているので、特に不安には感じていないです。

秋山:まだ、志望業界は具体的には決めていません。新しい生活用様式が浸透しつつある中で、世の中の変化をキャッチしながら業界研究に取り組み、「新しい就活」に向けて準備ができるので良かったと考えています。人と話すことが好きなので、業界を問わず営業職に就くことをめざしたいです。

Q/コロナ禍と就活について、それぞれの立場で真剣に考えていることが伝わってきました。では、「リモートによる課題型インターンシップ」に参加した理由を教えてください。

安原:このような状況になる前から、通常のインターンシップに参加することを決めていました。でも、どこの企業もコロナ禍でインターンシップが中止になり、どうなるのだろうと思っていたとき、このような取り組みがあると聞き、参加しようと思いました。

品川:企業で行うインターンシップは「1DAYインターンシップ」など1日のみの取り組みが多いのですが、「リモートによる課題型インターンシップ」は、1か月以上の期間があり、そこに新しさを感じました。事前に、リモートで事業所の方とやりとりをするためのマナー研修もあり、これも私にとって魅力でした。

秋山:私は人と話をするのが好きなのですが、リモートでほかの人とコミュニケーションを取って、ひとつの目標に向かって取り組む今回のようなリモートでのインターンシップは自分が成長できる新たな経験になるのかなと思ったので参加しました。

片山:この先、コロナ禍で世の中がどうなるのか不安だらけですが、不安を感じるだけでは前に進めないので、僕もチャレンジしようと思いました。

Q/今回のインターンシップでの課題は「コロナ禍における事業所の課題と解決策」です。選んだ事業所と事業所の課題を教えてください。

安原:インターンシップの受け入れ先事業所は9か所ありました。その中から私たちは、株式会社Fujitakaを選びました。同社は、商業施設の設計、施工をはじめ、券売機や入場ゲートなど省力化機器の製造、販売に加えて、実証実験店として京都府内で2店舗の「京うどん はなこ」を展開しています。

品川:株式会社Fujitakaからは「コロナ禍による、店舗の売り上げ低迷を解決したい」という課題が出されていました。最初に、株式会社Fujitakaの担当者の方にリモートでイートイン、テイクアウトの売り上げデータや、コロナ禍で実施した感染症拡大防止対策など、HPでは入手できない情報を伺いしました。

京うどんはなこの「国産牛すじカレーうどん」

Q/企業へのインタビューをもとに、どのような解決策を提案したのですか?

片山:コロナ禍の課題解決として「テイクアウトに力を入れる」「お客さんとスタッフの接触を減らすために、席からスマホでオーダーするシステムを取り入れる」「鍋料理は、事前に取り分けて提供する」といったことを提案しました。

秋山:私は個人的に「はなこ」に行ったことがありました。昼はうどんメニューが中心ですが、夜はサラリーマンを対象とした居酒屋メニューも出しています。他のメンバーも実際の店舗を見てみたいという声もあったので、事前に事業所の方や先生の許可をとって、皆で店舗見学にも行きました。売り上げなどの情報を伺い、以前から満席状態が続いていたわけではないということがわかりました。コロナ禍だから売り上げが下がっているというよりも、「はなこ」が人気店になるためにコンセプトから見直す時期にきていて、それがコロナ禍で明確に現れただけなのではないかと気づきました。そこでこれを機に、ターゲット層を見直して女性と学生にも来店しやすいメニュー開発と価格の改定や、ターゲット層にストレートに伝えるためのSNSの活用を提案しました。

品川:若い女性層、例えば10代の女性にアピールするために、私がTik Tokを、秋山さんがインスタグラムを制作しました。安原さんはデザインが得意なので、20代以降の女性の心をつかむようなイメージでHPをつくりました。これらのSNSは、リアリティを感じてもらうために、すべてアカウントを取って制作しました。

インターンシップ中の写真(基本的にはリモートでの対応であったが、学生たちが自主的に店舗見学を実施した時の様子)

Q/皆さんのチームが、学内コンペで最優秀チームに選ばれたのは、なぜだと思いますか?

安原:最初はテーマに沿って、コロナ禍の課題解決を考えていました。先ほど、秋山さんからもお話しましたが、コロナ禍になる前までの売り上げデータとを分析して、「これはコロナ禍だから起きている問題ではない」とで考えて、「はなこ」のコンセプトから見直し、大きな視点で販売戦略を提案したことが良かったのではないかと思います。

品川:Fujitakaの担当者の方から、内容も良かったがプレゼンテーションもユニークで印象に残ったとほめていただきました。プレゼンテーションでは原稿を棒読みにならないように気をつけ、話しかけている雰囲気になるように何度も練習をしました。また、先生からは、インスタグラム、Tik Tok、HPをターゲット層に合わせて作り込んでいることをほめていただきました。SNSのマーケティングに関して特に学んだわけではないのですが、自分たちで「インスタグラムは主に10代が見るよね」など感覚的に使用用途を使い分けていたので、それらの意見を出し合って戦略を考えました。

秋山:当初、企画書のタイトルを「課題解決のための戦略提案」としていたのですが、途中でFujitakaの担当者の方と先生から「堅いタイトルはありきたり。興味を引くようなタイトルをつけてみては?」とアドバイスをいただきました。提案内容がしっかりとしていれば、多少表現がやわらかくても、きちんと伝わると先生から助言され、納得しました。その後、皆でアイデアを出し合って、「はなこを救う物語 京うどん はなこ集客大作戦」としました。現状分析、課題の掘り起こし、解決策の流れについて、ストーリー性を持たせて提案したことも評価していただけたと思います。

片山:プレゼンテーションもリモートで行うため、資料や動画を見せるタイミングが間延びしないように練習しました。そして、プレゼンテーションの最後に、「Fujitakaさん、一緒にはなこを救いましょう!」と呼び掛けたのですが、このようなプレゼンテーションは僕たちだけだったので、このような一連の工夫も評価されたのかもしれません。

秋山:パワーポイントの制作ももちろんリモートで行いました。特に不便は感じず制作できましたね。というのも、この数か月間、リモートで授業を受けた中で、先生が、資料共有ができて、誰かが加筆修正をしてもリアルタイムに反映され、共有できるアプリケーションを使っておられたことを思い出し、そのアプリを使って皆で制作したからです。もし、ページごとに担当を決めて企画書を制作していたら、ビジュアルがバラバラで統一感がなくなっていたのではと思います。

Q/このインターンシップで初めて会ったとは思えないほど、チームワークが良いですね。

秋山:リモートでチームのコミュニケーションを深めるにはどうすればいいか、自分なりの第一歩目を踏み出すにはどうすればいいかを考えていました。インターンシップが始まる前に事業所ごとのチームが決まっていて発表されたので、インターンシップが始まる1週間前にLINEでグループをつくってメンバーを招待しました。それは、早く、皆のことを知りたいし、私のことも知ってほしいと考えたからです。

品川:LINEグループに招待されたとき、秋山さんは2回生なのに自分で考えて行動している。すごいと思いましたし、皆、喜んでいたので、とても良いチームになりそうという予感がしました。

片山:僕も招待を受けたとき、そんな発想もあるのかと感心しました。

安原:チームワークが良いのは、ほかのチームよりも1週間、お付き合いが長いということと役割分担を明確にして、皆が互いに助け合う気持ちを大切にしたからだと思います。

Q/最後に、「リモートによる課題型インターンシップ」に参加して学べたことや変化したこと、今後の目標も教えてください。

安原:私はどちらかというと消極的なタイプです。でも、だからこそ頑張らなければと考えて、リーダーに立候補しました。何もかもが初めてのことでしたが、リーダーならどうするべきかを考えて行動して、リモートインタビューのときも積極的に進行するなどしました。今回のインターンシップを通して、自分から行動することの大切さを学びました。今後は、この経験を活かし、就活に積極的に取り組みたいと思っています。

片山:僕もどちらかというと消極的で、リモートインタビューのときはあまりしゃべれなくて、3人が積極的にしゃべるのを見て、見習おうと思いました。自分自身の課題もわかったので、今後に活かしたいです。本当に参加して良かったと思います。

秋山:私は1回生からプレゼン大会など積極的に参加してきました。今回のインターンシップもやってみたいと思い参加しました。やればやるほど次の課題も見えてきて、それが楽しいと感じています。今後は、学外の人たちとも交流をして、いろんな話を聴いたり、人脈を広げていきたいです。今回のインターンシップを終えて、今まで以上に自分にできることを考えて、チャレンジすると決めています。これからのことを考えると、楽しくてワクワクしています。

品川:グループワークは授業でもあるのですが、今回は、会ったことのない人たち、しかも学年も違う人たちも参加しての取り組みですから、最初はできるのかなと思いました。でも、どんな状況であっても、目標やスケジュール、役割を明確にして協力し合えば何でも可能になっていくし、その取り組みを通じて成長できることを学びました。また、今回、優秀チームに選ばれたのは、私も皆も参加することを決意してチャレンジしたからこその結果だと思います。今後も、自分の可能性を広げるために、さまざまなことに取り組んでいきたいと思います。

 

株式会社Fujitakaの担当者にも聞いてみました!!

株式会社Fujitaka
経営管理本部 経営管理部 人事総務課
課長 鹿島 嘉人 様

(※)※2020年10月現在

Q/リモートによる課題解決型インターンシップにご協力いただいた経緯を教えてください。

従来は1dayインターンシップのみ実施していたのですが、これを機に一度しっかりと時間をかけてのインターンシップに取り組んでいく挑戦をしていきたいと考えたからです。

もう一つの理由としては弊社を知ってほしいというのがあります。B to B企業ではありますが、皆さんにとって比較的身近な商品を取り扱っています。事業の幅も広く、少しでも事業展開を少しでも知っていただくきっかけになればなと。

Q/学生のプレゼンテーションコンペをご覧いただいてどうでしたか

どのグループも制約がある中で工夫を凝らし、協力して資料の作成、プレゼンテーションの演出方法とも、各チームの取り組み方の個性が出ていて、非常に興味深いコンペでした。

最優秀チームに選ばれた学生たちは、コロナ禍の課題から視点を広げて、課題を新たに発見したことが特に素晴らしいと感じました。また、「プレゼンはストーリー性を持ち、共感を得ることが大切」という弊社のアドバイスに対して、4人で意見を出し合って、「はなこを救う物語」というキャッチーなタイトルを立て、仮想HP、インスタグラム、TikTokを作成するなど、私たちの想像を遙かに超える行動力と積極性を感じました。

Q/今後もコロナ禍の中で、オンライン化が進んでいくことが予想されますが、社会の中でどういう人材(学生)が求められていくと思われますか

今もこれからもですが、「自ら考え、行動できる力が求められる」と考えています。

オンラインの利点、オフラインの利点を理解して、ハイブリッドで自ら考え、行動ができる学生が求められてくるのではないでしょうか。オンラインは時空を超えて、「いつでもどこでも」コミュニケーションが取れ、今まで移動時間だったものが、他の業務に充てることができるというメリットがある反面、オフィスでディスプレイ越しに見てもわからない、空気感やコミュニケーション 現場の課題発見などが困難になると思います。

そのため、両者のメリット・デメリットを十分理解した上で、それを自らの考えのもと、選択、行動に移す力が今後も求められる力ではないかと思います。

Q/今後の社会(予測不可能な…)で活躍する人材となるために、大学でどのような学びや成長を企業として期待していますか。

これからの時代は自らの変化を楽しみながら新しい時代に挑んでほしいですね。人生100年時代に必要な無形資産の一つに「Transformation(変身する力)」があります。社会人より時間がある今、視野を広げ様々なことに興味を持ち、変化を恐れずチャレンジしていくことを実践していただきたいと思います。

Q/最後に、例年のリアルでのインターンシップとの違いを踏まえて、今回のリモートによる課題型インターンシップに対する感想を教えてください。

このコロナ禍で、まさかオンラインのみでインターンシップを実施されるとは思いもしませんでした。今年は「中止」という選択もできたのに、この企画を立案、実施された京都橘大学の教職員の方々のチャレンジは、まさに変化を恐れずにチャレンジしていくことを実践されたのではないかと思います。

新しい生活様式が浸透する中、新しいインターンシップのスタイルを、皆で一緒につくるという貴重な経験をさせていただいたと感じます。ありがとうございました。

<ここがDISCOVERY!>

・京都橘大学は、コロナ禍に負けない新しいインターンシップのカタチとして「リモートによる課題解決型インターンシップ」を実施!
・「リモートによる課題解決型インターンシップ」には、チャレンジ精神のある多数の学生が参加!
・学内コンペで最優秀チームに選ばれたメンバーは、自分にできることを考えて積極的に行動し、皆で力を合わせて成し遂げる楽しさを学んだ!

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