Interview

「高齢者と家族を支える、地域で活躍できる看護師になりたい!」
母校で認定看護師をめざし、学びを深める
看護学部1期生、古殿真奈さん(京都橘大学2009年3月卒業)

インタビュー

2022.10.14

2005年、京都の4年制私立大学で初めて看護学部を設置した京都橘大学。その看護学部1期生として「人によりそう看護」を学び、現在は総合病院の看護師として活躍している古殿真奈さん。最終目標は、地域で生活する人を支えられる看護師。その目標を叶えるため、認定校の京都橘大学看護教育研修センターで、認定看護師教育課程を受講中の古殿さんに、在学時の学びや、自身がめざす看護についてお話を伺いました。

古殿 真奈さん
京都民医連中央病院 消化器外科・泌尿器科病棟勤務
2009年3月 看護学部看護学科 卒業

※インタビューおよび撮影時のみマスクを外しています

※認定看護師とは
1995年に発足した日本看護協会認定の資格。看護師として5年以上の実践経験を持ち、日本看護協会が定める認定看護師教育を修め、認定看護師認定審査に合格することで取得できる。特定の看護分野いずれかにおいて、高いレベルの看護技術と知識を有し、実践するスペシャリスト。

Q/看護学部の1期生として学んだのは15年近く前のことですが、認定看護師になるため久しぶりに通う母校は、いかがですか

私の在学時よりも学部が増え、大学の規模も大きくなっていますね。看護施設に関して言えば、器具や設備が進化していて驚きました。先日の研修では、肺音や心臓音などが実際に聞こえるシミュレーターを使用したのですが、最新の機器になっていました。また、映像と音響を駆使して集中治療室や一般病棟、分娩室などを再現する最新のシミュレーションシステム施設「シミュレーション・コモンズ」も利用してみたいです。

認定看護師になるために、東北や九州など全国各地から集まっている研修生は、20人ほど。実績のある看護師たちが口を揃えて、「ここの設備はすごい!学ぶには申し分ない環境だね」と、ここで学べる大学生を羨ましがっています。

Q/なぜ認定看護師をめざそうと思ったのですか?

学生の頃からずっと、在宅で高齢者看護に関わりたいと思ってきました。そんな看護師を次のゴールに見据え、自分の知識や技術で足りないものは何かを考えながら、それを満たすために常に行動してきました。京都橘大学は、私が学びを深めたい「皮膚・排泄ケア」分野で、関西唯一の認定校です。(じょく)(そう)と呼ばれる床ずれ、人工肛門(ストーマ)や人工膀胱の課題は、在宅の高齢者看護とも深く結びついています。昨今では、国の政策で入院期間が短縮傾向にあることから、高齢者の方が人工肛門を作っても、すぐに退院を余儀なくされる状況があります。そんな時、皮膚・排泄ケア分野を専門とする看護師が地域にもいれば、安心して家で生活できるのではないかと、受講を決めました。入院中の高齢患者さんから「こんな歳まで生きても辛いだけ」、「この世からいなくなりたい」といった言葉を聞くたび、心苦しく思っていました。これまで頑張って生きてきた人が、最後まで生きやすい環境になればいいのに、と思い続けてきました。在宅で病気を抱えながら生活している高齢者と、その家族を支えることが最終目標です。

Q/学生時代に話が遡りますが、看護師をめざしたのはいつからですか?

看護師の母親から「楽しい仕事だよ」と聞いて育ったので、幼い頃から、「将来は自分も看護師になろう!」と思っていました。みんなから相談されて、頼られる看護師の仕事っていいなと、漠然と惹かれていました。働く母を見て、看護師は大変な仕事だと思ったことが一度もなかったんです。

Q/看護の道に進む上で、京都橘大学を選んだ理由を教えてください。

進路を決める時に、集中して学べる専門学校か、幅広く学べる大学かで悩みましたが、「看護学部が新設される大学がある」と高校の先生から勧めていただいて、京都橘大学を受験しました。専門的なことがしっかり学べて、なおかつキャンパスライフも経験できること。また、看護師だけでなく、保健師の国家試験受験資格(※)が取得できるのも魅力だと感じました。

※選択履修により取得可能です。保健師国家試験受験資格取得のための科目履修定員は20名を上限に、成績・試験・面接等により選抜されます。

Q/京都橘大学ではどのような学び、経験を得ることができましたか?

3回生以降のグループワークで、学生や先生とのディスカッションを重ねていくことで、考える力を養えたと思います。最初は自分の意見を否定されるのではないかという思いがどこかにあって、ディスカッションが得意な方ではありませんでした。でも回を重ねるうちに、どんな意見でも周囲が受け入れてくれることがわかり、自分の意見を積極的に語れるようになりました。

「いろいろな人が、いろいろな意見を持っていていい」というのが、ディスカッションの大前提。これは看護に携わる人に必要な考えでもあると思います。患者さんが必要とするものは日々、そして時間ごとに変わっていきます。相手を尊重したうえで、自分の考えをしっかり伝え、その状況に応じた適切な表現方法を身に付け、より良い解決方法を導いていくことが必要です。このような現場で活かされている「考える力」は、学生時代に養ったものだと感じます。

Q/大学時代の記憶に、色濃く残っている出来事はありますか?

3回生から、看護の応用を学ぶ学外での病院等の実習が始まるのですが、初めての現場で、初めて実際の患者さんや施設利用者さんと向き合い、そこで自分の知識や技術のなさを痛感しました。教科書通りにはいかない経験が、看護師になるためには、もっともっと勉強をしないといけない、という強い気持ちにつながりましたし、学んでいくごとに勉強が楽しくなりました。

また、卒業研究も、大学時代に力を注いだことの一つです。研究テーマに選んだのは、「老年看護のオムツ」について。利用者の心情をインタビューさせてもらったり、香川県にあるオムツ製造会社に手紙を出して、工場見学をさせてもらい、オムツの構造を調べたり。ゼミ生みんなで意見を出し行動したこと、また、先生を交えて「看護とは何か?」について語り合ったことなどは、良い思い出になっています。

Q/卒業してから現在まで、京都民医連中央病院に勤務しておられるそうですね。志望した動機や、これまでと現在の担当業務を教えてください

看護奨学金制度(※)を利用していたこともありますが、京都民医連中央病院は教育制度がしっかりしていたことが、志望の大きな理由でした。長く勤務している現在も、さまざまなことにチャレンジできたり意見が言いやすいなど、良い環境で働くことができています。

入職してすぐは循環器内科、そこから地域包括ケア病棟へ。地域包括ケア病棟とは急性期(病気やケガが急激に現れる時期)を乗り越えた患者さんに向けた、自宅に戻る準備を支援する病棟です。この病棟を6年間担当しました。

その後、現在の消化器・泌尿器科病棟に移って1年と少し。上の立場となり、患者さんと接する時間が減るのではないか、自分の理想とする看護師像とは異なってしまうのではないかと少し不安がありました。でも実際は、患者さんから遠く離れた感覚もありませんし、ケアの質を上げるために、組織をどう動かすかを考える役割は重要だなと感じています。

※看護師、助産師、保健師をめざす高校生や看護学生(大学、短大、専門学校)を対象にした奨学金制度です。看護学生は学校に在学中、毎月一定金額を病院から貸与してもらえます。卒業後はその病院に入職し、貸与を受けた期間と同期間働くことで、返済を免除してもらうことができます。

Q/看護師としてのやりがい、また心がけていることについて教えてください

患者さんの状態は、看護師の技術やケアで変わります。患者さんにしっかり寄り添い、看護によってその人に良い反応が現れたり、状態が改善された時には、心から良かったなと思います。

当たり前ですが、「人として関わる」ということを大事にしたい。その関わりが仕事のやりがいだとわかっているのに、気がつけばすべてが流れ作業になっていることがあります。急性期の患者さんを受け入れる病棟なので、時には膨大な業務に追われることも。時間には限りがあるので、効率的に動かなければならないことはもちろんあります。でもそんな時こそ、「ケアするのは病ではなく、病を抱えたひとりの人である」ことを忘れてはいけない。人それぞれ、それまでの背景や思いがあることを気に留めながら接するように心がけています。

Q/これから看護師をめざす人や、後輩の看護学生に、メッセージをお願いします

「資格が持てるから」「安定した給料がもらえるから」など、看護師になる理由は人それぞれにあると思います。でもこれからの時代は、ただの看護師では淘汰されてしまうかもしれないと考えています。変化が激しく、先行き不透明なこれからの時代を生き抜くには、資格を持っているだけではなく、自分だけの強みを持っておいた方が良いと思います。「看護全般の広い知識を持っている」とか、「誰よりもよりそう看護ができる」とか。どんなことも極めれば強みになると思います。

京都橘大学の看護学部では、現在は救急救命学科や理学療法学科など医療系学部学科があり、学科を越えて合同でチーム医療のシミュレーション教育が実践されていると伺いました。社会に出てすぐに実践できる技術を養える環境があるというのは、大きな強みであると思います。学生時代にさまざまな世界を見て、どんな看護師になりたいのか、イメージを明確に持ちながら学んでもらいたいと思います。

<ここがDISCOVERY!>

・古殿さんは、高齢者とその家族によりそう訪問看護師をめざし、常に先を見据えスキルアップをしてきた!
・京都橘大学での専門的な学びを通して、看護を仕事にする上で大切な「考える力」を養えた!
・京都橘大学看護教育研修センターでは、関西で唯一、「皮膚・排泄ケア」認定看護師教育課程を受講できる!
・京都橘大学の医療系学部の実習施設には、最新の設備機器が揃っており、より実践に近い学びが経験できる!

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