Interview

学生のうちにNPO法人を設立!
めざす先はそれぞれの可能性を認め合う社会

インタビュー

2023.08.21

作業療法士とは、日常生活をスムーズに行うためにこころとからだのリハビリテーションを行う専門職です。「作業療法士を必要としている場所は、病院だけではない。サポートが必要な子どものそばに自ら出向き、生活も個性も守ってあげたい」。そんな強い想いを胸に「NPO法人With」を設立した、健康科学部作業療法学科の沖辺さんにお話を伺いました。

沖辺 颯太さん
健康科学部作業療法学科3回生
※2023年6月にインタビューしたものです。

Q/作業療法士と理学療法士の大きな違いはどこにあるのですか

「患者さんによりそって、病気やケガからの回復をめざす」という根本は一緒ですが、そのアプローチ方法が違います。「歩く」という動作を例にあげると、理学療法士は身体を診て、「歩く」ことを可能にするための筋力トレーニングなど運動療法を行います。一方、作業療法士が重視するのは患者さんの心の内。買い物に出かけたいのか、家の中を移動するだけで良いのか…どんな目的のために歩くのか、歩くことによってどんな社会生活を行いたいのか。一人ひとりの環境に合った作業療法を考えていきます。また作業療法学科では、精神障がいや発達障がいなど心の問題に関する知識も幅広く学びます。

Q/京都橘大学を選んだ理由を教えてください

生まれは広島県で、高校は山口県内の学校に通っていました。小学校の修学旅行で京都を訪れたのですが、歴史を感じる街並みが多く残っていて、落ち着いた雰囲気のある街だなと小学生ながらに感じていました。その時の良いイメージがずっと残っていて、4年間を過ごすなら京都がいいなと。そこから京都で理学療法士の資格が取れる、京都橘大学を見つけました。実は最初の目標は、作業療法士ではなく理学療法士。小学校、中学校、高校とずっと野球をしていたので、ケガをすることが多く、リハビリテーション(以下、リハビリ)で理学療法士という仕事を知り、高校2年生まで理学療法士になりたいと考えていました。

Q/理学療法士から作業療法士へ、目標が変わったきっかけは?

京都橘大学に進学したいと両親に相談した時、本当になりたいのは作業療法士ではないかと、気持ちに変化がありました。実は両親とも、病院に勤務する作業療法士。それまで仕事の内容を詳しく聞くことはなかったのですが、身体だけでなく心のサポートをしていると聞き、患者さんとの距離が近い仕事内容に惹かれ、作業療法学科を受験しました。

Q/2回生だった2022年の夏、「NPO法人With」を設立されたそうですね

起業したいという思いが芽生えたのは、高校3年生の春休み。大学入学までの2ヵ月を利用して父の知人で、作業療法士の方が運営している、就労継続支援B型事業所でボランティアをしたんです。B型事業所とは、障がいのある方が自分のペースで作業を行い工賃(給料)が得られる場所のこと。病院以外での障がい者のある方の居場所づくりに魅力を感じた出来事でした。

Q/NPO法人の事業内容について教えてください

支援を必要とする子どもに向けた家庭訪問サービスを行います。障がいのある子どもや、ひきこもりの子ども、学校に通っているけれど馴染めない子どもなど、支援を必要としているすべての子どもが対象です。保護者が共働きだったり、金銭的な問題があったりで、病院や施設に通えない子どもがいるならば、その子どもがいる家や地域にこちらが出向けばいい、と考えました。

Q/具体的にどんなサービスを行うのですか

例えばですが、どちらかの腕に障がいを持っている子どもがいて、洗濯物を畳むことが難しい、でもお手伝いしたいという気持ちがあるとします。ならば、その子どもが可能なお手伝いの方法を、一緒に考えることがサービスに。友人ができなくてひきこもりがちな子どもなら、一緒に公園で遊ぶことがリハビリになるでしょうし。サービス内容は子どもの数だけある、文字通りケースバイケース。やりたい気持ちさえあれば、やりたいことを実現する方法はいくらでもあることを、伝えることが共通しています。

Q/新しい挑戦を前に迷った時は、誰に相談しますか?

作業療法学科の学科長である小川敬之先生と、たまにお話をするのですが、先生の生き方は模範にしたいところだらけで、大好きな先生のひとりです。「何事もまずはやってみる」という考え方にすごく惹かれます。立ち止まらずに、自分を信じて思ったことを行動に移される先生をとても尊敬しています。

Q/卒業後のビジョンがあれば教えてください

NPO法人Withは後輩に引き継いでいけたらと思っていて、ゆくゆくは農業と障がい者雇用を掛け合わせた会社を立ちあげたいと思っています。農業に着目した理由は2つあります。1つ目は障がいのある人もできる作業がたくさんあること。すごく難しいと思いますが、障がいの有無に関わらず、様々な人に対して就労支援ができる組織にしていくことが目標です。2つ目が、野菜や果物を収穫してスーパーで販売すること。そして、スーパーで仕入れたものを調理して飲食店などを展開すること。全ての作業の循環を障がいのある人でつなげていきたいです。一次産業からいろいろな産業に派生できるところが、農業の良さだと思っています。

Q /高校生に向けてメッセージをお願いします

作業療法士として病院で働くことも、もちろんすごく大事です。でも、作業療法士として貢献できる場面は、もっと幅広くあるはずだということも知ってほしいです。私自身ももっと視野を広げるために、今年の9月にあるマレーシアへの海外研修に参加を予定しています。海外の作業療法の実情を知り、現場に触れることで、きっと新しい発見があると思っています。作業療法学科には、経歴も経験も様々な先生がおられますし、確実に自分の視野を広げることができると思いますよ。

※作業療法学科の2・3回生を対象とした課外活動の一環です

<ここがDISCOVERY!>

・からだだけでなくこころによりそえるのが作業療法士!
・沖辺さんは学生のうちからNPO法人を設立し、社会課題解決に向けてチャレンジしている!
作業療法学科では課外活動で海外研修などもあり、視野を広げることができる!
・作業療法士の活躍の場は病院だけではなく、幅広い選択肢がある!

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