Special

受け継がれるたちばなの伝統!
先輩から後輩へ、ピアサポート制度でつなげたい思い。

特 集

2021.01.08

今春は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、新入生はもちろん先輩学生も勉強や課外活動、アルバイトなど、さまざまな活動が思うようにできない時期が続きました。このような中で、本学では、新入生を応援するためオンライン上で、先輩学生が疑問や質問に応えたり、サークル・ボランティア活動などを紹介したりするピアサポート制度「たちばな Connect Project」を実施しました。本学ならではの取り組みについて、ピアサポーターの国際英語学部3回生の相賀美聖さんと、サポートを受けた同学部1回生の佐藤志保さん、教務部ピアサポーター制度担当の藤井菜緒氏に、プロジェクトの概要をはじめ、今後の展開などをインタビューしました。

相賀 美聖(みさと)さん
国際英語学部国際英語学科 3回生
佐藤 志保 さん
国際英語学部国際英語学科 1回生
藤井 菜緒 氏
教務部 ピアサポート制度担当(当時)
※インタビューおよび撮影時のみマスクを外しています

Q/京都橘大学のピアサポート制度「たちばなConnect Project」とは、どのような取り組みですか? ピアサポーターについても教えてください。

藤井:ピアサポート制度「たちばなConnect Project」は、学生生活の不安解消や学習補完のために先輩学生と後輩学生をつないだり、4年間の目標設定や就職支援を行うために卒業生と在学生をつないだり、サークル・ボランティア活動などを紹介したりする取り組みです。このプロジェクトの一つに、2回生以上の先輩学生がピアサポーターとなり、オンラインで新入生をサポートする「ピアサポーター制度」を6月からスタートしました。

どこの大学でも、新入生は「大学の授業って、どんなのかな?」「どんな先輩がいるのだろう」「どんなサークルに入ろうかな」と、期待に胸をふくらませるものです。ところが、コロナ禍という予期せぬ事態に陥り、2020年度は入学式が中止になり、授業もオンラインで行うなど、新入生の皆さんは大学生らしい日々を過ごすことができずにいました。そこで、不安を抱いている新入生に2回生以上の先輩学生がピアサポーターとなり、勉強の進め方や大学生活、サークル活動など新入生のさまざまな不安や疑問を少しでも取り除き、学ぶ意欲を高めてもらう取り組みを始めました。また同時に、先輩学生は、コロナ禍でアルバイトができない状況になっていたため、大学がピアサポーターとして雇用することで経済的な支援ができると考えました。4月末頃に、この取り組みの実施に向けての検討が始まり、すぐにピアサポーターの募集を行い、6月1日から本格的にスタートしました。

Q/新入生の安心を確保するだけでなく、先輩学生にとっては経済的支援という側面もあるのですね。ピアサポーターは、どのようにして募集したのですか?

藤井:募集は、本学のホームページとポータルサイトで行い、全学部の2回生から4回生の252人が応募をしてくれました。応募の動機を見ると「新入生の不安な気持ちを何とかしてあげたい」「自分が入学したときに、先輩に親切にしてもらったので今度は自分がしてあげたい」といったメッセージが多く、京都橘大学には思いやりのある学生が集っていると改めて感じました。
※京都橘大学の学生専用サイト。受講登録や授業の教室、時間割やシラバスの確認をはじめ、休講・補講掲示の確認や大学からの重要な連絡事項の確認などを行うことができる。

また、本学には以前から、新入生に早く大学生活に慣れてもらえるように先輩学生がサポートする「オリター制度」があります。学年を越えて助け合うという伝統が根付いているため、コロナ禍という緊急事態の中でも、すぐに対応ができたのだと思います。国際英語学部のピアサポーター募集定員は18人でしたが、はるかに上回る人数の応募があり、その中の1人が相賀さんです。

Q/なぜ、ピアサポーターとして新入生をサポートしようと思ったのですか?

相賀:私が入学したとき、履修の仕方に戸惑ったり、レポートの書き方もわからない状態でした。コロナ禍で大学に登校できない新入生の気持ちを想像するだけで私まで不安になるほどで、ピアサポーターとして活動して少しでも役に立ちたいと思いました。

また、私は、3月に約半年間のマレーシア留学から帰国したばかりでした。新入生に英語の勉強に関するアドバイスを行うことで英語を使い続けることができるとも考えました。

Q/新入生の佐藤さんはピアサポーター制度のことを聞いて、どのように思いましたか?

佐藤:5月中旬にこの制度のことを知りました。高校の卒業式も大学の入学式も中止になって、大学のキャンパスに行ったことがないままだったので寂しいし不安でした。サポートしてくださるのはどんな先輩かなと考えるだけでうれしくなりました。

Q/具体的にどのようなサポートを行ったのでしょうか。

相賀:私は5人の新入生をサポートしました。佐藤さんは、その中の1人です。最初は、オンラインのチャットで自己紹介しました。その後は、オンライン授業のない時間帯に質問を受けて対応しました。チャットやビデオ通話の時間は週に7時間というルールがあるので、ルールに則って5人のシフトを組みました。

Q/どのような質問をしたのですか?

佐藤:私は留学に興味があるので、マレーシア留学のことを質問しました。また、TOEIC®の出題内容や勉強の仕方についても質問しました。

相賀:リーディングやリスニングなど、一人ひとり得意な分野と苦手な分野が違います。さらに、将来の目標によって強化しておくべき分野も違うと思います。佐藤さんに対してだけでなく、できる限りその人の得意分野と苦手分野、目標を把握して、通り一辺倒の返答にならないように気をつけました。

佐藤:相賀さんが親切に、優しく対応してくださったので、安心できたし本当に助かりました。また、「勉強以外のことでも何でも聞いてね」と、こまめに連絡をしてくださったのもうれしかったです。どんなことを聞いても「私のときは○○だったよ」という言い方をされていて、質問をする私たちのことを第一に考えてくださっていると感じました。

Q/ピアサポーターとしての振る舞い方や声かけの仕方は、どのようにして学んだのですか?

相賀:ピアサポーターに選ばれた人を対象とした研修で学びました。

藤井:研修は、本学の教育開発支援センターが主軸になって、ピアサポーターとして知っておくべきこと、すべきことを50分の動画と40分の演習形式にまとめてピアサポーターに配信しました。この動画は、ピアサポーター募集と同時進行で新たに制作したものです。早急に制作ができたのは、以前から実施している、先輩が後輩の勉強の指導を行うLearning Assistant(以下/LA)の学生対象の研修を実施していた実績があるからです。

相賀:将来、私は教師をめざしているので、そういう意味でも研修動画はとても役に立ちました。また、私ではわからないことがあった場合は、一人で抱え込まずに、すぐに先生や藤井さんたち職員の皆さんに相談してアドバイスを受けていました。このようなことは、将来、仕事に就いたときにも役に立つと思いました。

佐藤:動画研修で勉強してから対応してくださっていたというのは、今、初めて知りました。改めて、ありがたいなと思います。

Q/LAの取り組みについても教えてください。

藤井:国際英語学部の場合は、主にTOEIC®対策学習会などを行っています。文学部では授業や学内企画の補助とあわせ、文学部独自の取り組み「多読百遍プログラム」のワークシートの添削やアドバイス、経営学科では授業や学内企画の補助、看護学部は実技演習の補助など活動内容はさまざまです。

相賀さんは国際英語学部のTOEIC®対策学習会にもLAとして参加しています。今年は、初めてのオンラインでの開催でしたがLA同士で情報共有し工夫しながら実施してくれました。国際英語学部では、このほか、オンラインで「ピアサポーター何でも質問会」を開催しました。勉強に関することを何でも質問できる会です。

佐藤:私は、TOEIC®対策学習会と何でも質問会の両方とも参加しました。何でも質問会では、カリキュラムの内容や勉強の仕方を質問したり、プレゼンテーションの仕方を教えていただいたりしました。

Q/佐藤さんをはじめ、入学生の皆さんは、これらの取り組みを通じて京都橘大学はサポートが手厚いと感じたのではないでしょうか。では、話題をピアサポーター制度に戻します。この取り組みで、印象に残っていることを教えてください。

佐藤:高校の先輩が京都橘大学に進学しているのをSNSで知り、サークル活動をしている姿を見て、楽しそうだなと興味を持ちました。早速、相賀さんにサークルのことを質問したところ、相賀さんはサークル活動をしていないということだったのですが、情報収集をして教えてくださいました。

相賀:佐藤さんからの質問を受け、サークル活動をしている友達にヒアリングなどをしました。サークルの様子だけでなく、アルバイトとの両立のことなども聞いてまとめて、佐藤さんに伝えました。私の知らない世界に触れることができて、ヒアリングそのものも楽しかったです。

Q/それでは、これらの制度に関する感想と京都橘大学の魅力をお願いします。

佐藤:今日、この対談を通じて、先輩と後輩がつながり一緒に学ぶ、成長するという大学の伝統があるから、できたことなのだと思いました。京都橘大学の魅力はそこにあると思います。

相賀:私も同感です。また、一拠点の総合大学だからこそ皆がつながれるし、学生の距離感が近いのだと思います。どんなことがあっても助け合える環境があるのは素晴らしいことですね。

藤井:今回、コロナ禍での取り組みがスムーズにスピーディーにできたのは、先輩と後輩がつながる「オリター制度」の伝統が原点になっていると思います。また、京都橘大学イズムが浸透している本学の学生は、本当に頼りになる存在だと感じました。これからもこの良い伝統を受け継いでほしいと願っています。

<ここがDISCOVERY!>

・京都橘大学には先輩と後輩がつながり一緒に学び、成長できる伝統がある!
・コロナ禍において、先輩学生がピアサポーターとなり、オンラインで新入生の心の支えになった!
・京都橘大学には、先輩学生が後輩学生をさまざまな面からサポートする「オリター」や学業面でサポートする「LA」など、学生をつなぎ、学び合う制度がたくさんある!

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