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京都橘大学ならではの取り組みで、国家試験合格率100%!
この実績を生み出した看護学部の国試対策を紹介します。

特 集

2020.05.21

2020年2月から3月にかけて実施された看護師・保健師・助産師・理学療法士・救急救命士の国家試験において、京都橘大学の2020年3月卒業生の合格率100%を達成しました。この5つの国家試験のうち、看護師・保健師・助産師の3つの資格は、看護学部卒業生の頑張りの結果です。国家試験合格率100%を達成した取り組みについて、看護学部の野島敬祐先生と学務第3課看護学部担当の上田紗代氏にインタビューしました。

看護学部看護学科 野島 敬祐准教授
<専門分野>
成人看護学/救急看護学/災害看護学
<研究テーマ>
・シミュレーションを活用した看護基礎教育に関する研究
・救急外来における看護師支援プログラムに関する研究
・災害急性期から準備期における看護活動に関する研究

学務第3課 看護学部担当 上田 紗代氏

Q/看護師資格が取得できる大学や専門学校は、全国に多数ありますが、京都橘大学看護学部と他校との違いについて教えてください。

野島先生/看護師は病院に勤務と考えるのが一般的ですが京都橘大学看護学部は、病院だけでなく地域の各種施設をはじめ、企業に勤務して福利厚生に関わる業務を担ったり、国の政策までにも携われる人材を育てることを目標としています。活躍の場を幅広く設定するためには、ケガや病気に対するケアだけではなく、精神面も含めたケアを科学的に研究する視野と人間そのものを学ぶ必要があり、この分野を「看護学」といいます。本学部では「看護学」をしっかり学び、広い視野と深い思考力を養いながら、看護師に求められる知識と技術を座学と実践で学ぶカリキュラムになっているところに、本学部ならではの特長があります。このことはオープンキャンパスなどで説明しているため、目的意識が明確な学生が集まっていると感じます。

Q/目的意識が明確な学生たちは、日頃の授業にも積極的に学んでいると思います。日々、野島先生が心がけておられることについて教えてください。

野島先生/看護師・保健師・助産師になりたいという目的意識が明確なので頑張る気持ちが強い学生が多いと思います。ところが、そのように思っていても受け身になりがちな学生も見受けられます。自主性を養うために、1回生の基礎ゼミでは「あなたはどう思う?」と、自分の考えを持ち、行動できるような問いかけをするように心がけています。その理由は、今、医療現場は、患者さんのために各専門家が自分の専門技術と知識で連携するチーム医療が基本だからです。優れた技術を持っていても、指示を待っている受け身の姿勢では医療人として貢献することはできませんから、必要な知識と技術に加えて自主性を育むことも本学部の使命と考えています。

Q/1回生から自主性を養う機会があるということですね。国家試験対策が本格的に始まるのは何回生からですか?

野島先生/国家試験対策を目的とした学習は3回生から行っています。本学には「看護学部国家試験対策委員会」(以下、国試対策委員会)という取り組みがあります。この取り組みは、学生が主体となって活動する組織で、国家試験合格をめざして活動するなかで主体性を育む取り組みでもあります。この活動が、国家試験合格率100%の実現につながっていると思います。

Q/「国試対策委員会」の活動について、具体的に教えてください。

野島先生/2019年度のことでお話しますと、4回生は約100人の学生が在籍しています。「国試対策委員会」は、100人の中から選ばれた18人で組織しています。それは、ゼミが18あり各ゼミから代表を1人選出しているからです。18人が学生のリーダーになり、「国家試験全員合格」を目標に、1年間、活動します。
教員側からは、昨年度は私を含めた5、6人と、職員1人が担当になり、委員会からの依頼を受けて大学に働きかけたり、逆にこちらから委員会を通じて学生たちへの連絡事項を伝えるなどしています。
活動内容ですが、最初に、模擬試験のスケジュールや解説セミナーの開講日は決まっているため、それらに沿って1年間の学習計画を立てます。次に、ゼミ単位の学習会を設定し、その都度、学習の達成度の確認と課題の抽出を行い、問題点を確認して学生で解決します。

上田氏/国試対策委員の学生と先生方で月1回程度会議を行うのですが、学務第3課では、その都度、学生委員長と学習の進捗や課題を確認しながら、会議のレジュメや配布資料を作成しています。また、予備校などの外部事業者の模試や対策講座を大学内で実施しており、学生が立てた学習計画を軸にして、事業者との各種調整を行っています。他にも、学生が企画する各ゼミの学習会、決起集会や合格祈願など国試対策関係のイベントのサポートもしています。

Q/先生方は委員会の方向を示し、職員は計画を実現するためのサポーターに徹して、学生の主体性を育んでいることが伝わってきます。では、模試や学習会以外の活動についても教えてください。

野島先生/学生が自分たちで計画して行っている活動はいろいろあります。毎年、看護師、保健師、助産師、それぞれの試験日までの日数がわかる「カウントダウンカレンダー」を作成して、皆の目につくラウンジに貼り出します。また、2月末にはカツサンドを皆で食べて士気を挙げる「決起集会」を開催して、大学の近くの神社にお参りをして合格祈願を行いました。このような活動を通じて、皆で一緒に合格しようという雰囲気をつくり、共有することで最後まで頑張れるというのはあると思います。昨年、国家試験に向けて4回生が頑張っているのを見たある下回生が、全員分の合格お守りを手作りで制作したということもありました。この姿に京都橘大学の良さが現れていると感じます。
また、今回は初めての試みとして、体育館に集まって学生同士で問題を出し合い、走ったり、ボールを使って答えるなど身体を動かしながら勉強をするクイズ大会をしました。開催にあたって、出題用の問題は学生が作成し、教員が正しい問題になっているかをチェックしました。皆、根を詰めて勉強をしているので、身体を動かしながらの勉強はリフレッシュできて良かったと思います。

試験に臨む4回生に対して後輩が制作した
手作りの合格お守りと、教職員からのメッセージ入りの色紙

Q/さまざまな取り組みをされていますね。全体を通して、国家試験全員合格を実現できた理由はなんだと思いますか?

野島先生/「全員合格」の目標のもと、委員会のリーダーである委員長と副委員長を中心として全員が自分の役割を自覚して、4回生全員に強い思いを伝播させるためにさまざまな工夫をしたことで皆の士気が高まったのだと思います。特に、2019年度は委員長と副委員長が、「絶対に全員合格」と結束し、皆を巻き込んでいました。その姿を見て私も感動しましたし、その前向きで熱い姿勢に学ばせてもらったと思います。また、委員会の活動は、手間の掛かることも多いのです。だからこそ活動を通じて、今、何をすべきかを考えて行動する自主性はもちろん、他者とつながる大切さと、そこから生まれる可能性を知るわけです。チーム医療が求められる今だからこそ、本学の看護学部で学んだこと、体験したことが活かされると思います。

ラウンジで学習する学生たち
試験日までの日数が分かるカウントダウンカレンダーは委員会が制作した

Q/国家試験に向けて、皆で集まって勉強をするというのは重要なのでしょうか?

野島先生/国家試験には、いわゆる“引っかけ問題”は出題されません。引っかけ問題がないということは、多くの人ができているのに自分には解けない問題をいち早く発見することがとても大切になってきます。一人で勉強をするのは効率が良いように感じるのですが、この点がわからないまま時間が過ぎてしまいますから、遠回りをしているともいえます。士気を高める取り組みと、定期的に一緒に勉強して自分の課題を知る機会があるからこそ、合格率100%が実現しているのだと思います。私が学んでいた大学では、当時国試対策委員会のような取り組みはなかったので、国家試験受験の際は本当に苦労しました。京都橘大学の学生がうらやましいと思うほどです。

Q/看護師・保健師・助産師をめざす、全国の高校生にメッセージをお願いします。

野島先生/看護師・保健師・助産師になるためには国家試験に合格しなければなりません。それはもちろん大事なのですが、合格のために勉強を頑張りながら、合格した後、どのように社会に貢献するのかを考える必要があります。知識と技術を活用して何ができるのか。何をしたいのかを、胸を張って自分の言葉で答えられる医療人にならなければいけません。京都橘大学で一緒に学び、「私は○○ができる」といえる人になりましょう。

上田氏/看護師、保健師、助産師など医療に従事することをめざす皆さんは、人の役に立ちたいという素晴らしい志を持っておられます。ぜひその志を貫いてください。そして学生の間は、国家試験をゴールとするのではなく、その先の「どのような看護をめざすか」をしっかり考えてほしいと思います。本学では自分がめざす看護を実現し、社会で活躍できるように、常に先生方と一緒に看護について考える機会が得られます。職員として皆さんのチャレンジを応援できる日を楽しみにしています。

<ここがDISCOVERY!>

・看護学部には、学生で組織する国試対策委員会がある!
・国試対策委員会は「国家試験全員合格」を目標にさまざまな活動を行い、学生の自主性を養っている!
・国家試験の勉強では、自分の課題を知るために仲間とともに勉強することが効果的!

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