Special

コロナ禍で人とのつながりの大切さを知り
異文化に触れ、新しい自分と出会う
海外留学座談会<マレーシア編>

特 集

2022.11.08

国際社会で活躍できる人材の育成をめざす京都橘大学の国際英語学部では、2年次に全員が1年間の海外留学に参加します。しかし、2020年に世界中で新型コロナウイルス感染症が拡大し、多くの国で入国制限や行動制限が講じられるなか、各国の大学が海外からの留学生受け入れの中止を決定。

本学においても、渡航できない時期には提携校のオンライン受講や国内にいながら海外とのつながりを実感できるプログラムなどを導入。留学が再開された際に、感染時の医療体制や相談窓口を整備するなど、安心して海外での学びを実現できるよう、さまざまな対策を行ってきました。

今回は2022年1月~7月の半年間、マレーシアのアジア・パシフィック大学に留学した国際英語学部国際英語学科3回生・安土真由さんと、国際英語学科長・北林利治先生をお招きし、コロナ禍での海外留学の準備や対策、現地での生活や学びについて語り合っていただきました。

国際英語学部 国際英語学科 北林 利治 教授
<専門分野>
英語学

<研究テーマ>
・日・英語における話し手と聞き手の役割(話し手、聞き手)
・日・英語における文副詞

安土 真由 さん
国際英語学部 国際英語学科 3回生
留学先:マレーシア・アジア・パシフィック大学

※取材・撮影時のみマスクを外しています

Q/京都橘大学のなかで国際英語学部を選んだ理由を教えてください

安土/一番の理由は、海外留学の夢を叶えられる確かな環境があったからです。私は中学生の頃から英語の勉強が好きで、高校も英語科のある学校に進学。その頃から、将来は海外で働きたいという想いがあり、大学で留学することが自分のなかで大きな目標になっていました。京都橘大学の国際英語学部では、カリキュラムのなかに海外での学びが組み込まれているし、留学先で修得した単位も相互に認定される「単位互換」だから1年間の留学期間も含めて4年間で卒業できます。さらに、学費面のサポートも充実している点にも、大きな魅力を感じました。

北林/そのひとつが、留学期間中、本学の授業料に相当する金額を奨学金として支給する「SAP奨学金」ですね。差額が発生する場合は自己負担になりますが、経済的にはかなり負担を軽減することができるのではないでしょうか。

安土/留学に行くのは2年次で、1年次の1年間、しっかりと準備期間に当てられるのも安心できました。英語力を鍛える「EAP(English for Academic Purposes)」の授業はもちろんですが、国ごとに分かれてさまざまな対策を学ぶ「留学プログラム演習」は、現地での学びや生活に役立つことばかりで、とてもありがたかったです。

※EAPは留学に必要な4技能を統合的に学ぶ授業です。

安土さん

北林/安土さんが留学先に選んだのは、マレーシアのアジア・パシフィック大学でしたね。なぜその大学を選んだのですか?

安土/私は語学留学ではなく、専門科目などの正規授業を受けたいと考えていましたが、どこに行くかは正直迷っていたんです。そんなとき、留学説明会で先輩方の話を聞くうちに、アジア・パシフィック大学のプログラムが、一番自分の学びたいものに近いな、と思いました。

北林/確かIT系の授業でしたね。アジア・パシフィック大学は、これまで経営系の科目を受けるのが一般的だったけど、安土さんはアジア・パシフィック大学のホームページから自分で探して「この授業を受けられませんか?」って相談してくれましたね。それで、向こうの大学に確認してOKをもらったという経緯がある。規定の枠内だけで考えず、やりたいことがあれば、どんどんぶつけて相談していくことも、留学をより充実したものにする秘訣といえるでしょうね。

北林先生

Q/コロナ禍での留学準備や、大学のサポート体制について教えてください

北林/一時、ほとんどの提携校で留学受け入れが中止になるという状況でした。ですので、まずは留学再開がいつなのか、どういう条件が必要かなど、できるだけ迅速に最新情報の収集にあたりました。安土さんたちの学年では、なんとか時期をずらして半年間だけ渡航できることが決定しました。そこに向けて大急ぎで体制を整えていったという感じです。現地でのコロナ対策の内容や、万が一感染した場合の相談窓口や病院などについて、しっかりとした体制を確認できた大学だけ留学を再開しました。安土さんたち学生の皆さんも、不安はあったでしょうね。

安土/確かに。でも、留学先の大学内にクリニックがあることや、感染した場合の連絡先など、しっかりと事前に情報共有してもらえたので、その点は安心でした。実際、現地での医療体制も万全で、3回目のワクチンはマレーシアで打ったんですよ。自由に受けられると聞いて、じゃあ良いタイミングだなって(笑)。

北林/本学としても、学生たちが安心して海外で学べるように、いつでも連絡が取れる体制を確保しています。また、留学先の各大学にもサポート担当の方がおられるので、連携を図りながら万が一の際にも、学生たちが困ることはないようにしています。

安土/私が留学したアジア・パシフィック大学には日本人がほとんどいなかったので、いざというときに相談できるのは本当に心強かったです。ただ、日本人に頼れないからこそ、現地で知り合った人や、いろんな国から来ていた留学生たちと対話をして、分からないことや困ったことなどをどんどん相談しましたね。正規授業でも、たくさんの友人ができました。

北林/本学では同じ留学先に学生が集中しないよう、できるだけ少人数で調整しているのですが、その理由も現地で新しい交友関係を築いてほしいからなんです。せっかく海外に行くのだから、日本ではできない経験を積んでほしいですね。

Q/マレーシアで英語を学ぶことの魅力は、どういったところにあるのでしょうか?

北林/実際に留学に行った学生たちがよくいうのは、マレーシアの大きな魅力は多文化国家であるということです。さまざまな人種、言語、文化を持つ人々が暮らしていて、日本とは異なる価値観を感じられるという声をよく聞きますね。なかでも、言語においては、マレー語や英語、中国語、タミル語と複数の言語が使われているので、そのなかで学ぶ英語は、欧米圏とはひと味違ったおもしろさがあるのだと思います。

安土/そうですね。第一言語が英語ではない学生が大半で、3カ国語を話せるのも当たり前。いろんな言語で自由にコミュニケーションできる雰囲気は、とても刺激になりました。学生寮では、アフリカのジブチ共和国から来たルームメイトと仲良くなって、一緒にリビングで課題をやったりお互いに教え合ったり、本当に楽しかったです。

北林/文化や習慣の違いで戸惑うことはありませんでしたか?

安土/たとえばラマダンのような日本にはない習慣を目の当たりにしたときは、やはり国や民族の“違い”を実感しました。あとは、価値観の違いというか、言いたいことは、はっきりといわないと何も伝わらないと痛感しましたね。日本では、衝突を避けるために遠慮したりしますが、海外ではかえって誤解やすれ違いを生んでしまうことも。でも、そんなトラブルもあっても、直接対話するからこそわかり合えることが大きくて。食堂で、一人でご飯を食べていると、「日本から来たの?」といろいろな人が声をかけてくれるし、そこからどんどん友人ができるんです。コロナ禍でなかなか人に会えない頃だったから、人との触れあいやつながりの大切さを改めて痛感しました。

Q/マレーシアで英語を学ぶことの魅力は、どういったところにあるのでしょうか?

北林/何を得てどう成長するかは人それぞれだと思いますが、やはり、安土さんのお話にもあるように、いろいろな文化を通しての気づきや成長はとても大きいでしょうね。それは、本やネットで得られる情報だけではなかなか得られないもので、自分自身の実体験として学ぶことが一番自分を磨いてくれると思うんです。

また、違う文化を経験することで、「今まで知らなかった自分が見えてきた」と話す学生も少なくありません。日本にいたときはおとなしいタイプの人間だったのに、海外ではどんどん自分から動いていかなければならず、実は自分ってすごく積極的な人間だったんだ!って(笑)。「変わった」というよりも、「隠れていたものが見えてきた」という話は、聞いていてなかなかおもしろいなと思いましたね。

こういう体験こそが、異文化体験の一つなのではないかと思いますね。

安土/それは私も感じました。高校生の時は、授業で問題が分かっていても、手を挙げるのが恥ずかしくて自分から答えることがなかなかできなかったんです。でも、そういうのってすごくもったいないなって。マレーシアの大学では、みんなが積極的に議論を交わしたり行動したりするんですが、そんな仲間に触発されて自分の意見を臆さずにどんどんぶつけていくなかで、ああこっちのほうがやりすいなって感じるようになりました。

北林/実際、留学をきっかけに積極的になる学生も多いんです。その変化を維持して、ぜひ3年次からの専門教育に生かしてほしいと思います。日本とは違う文化に触れて帰ってくるので、今までよりも視野はぐんと広がっているはず。そこから興味の幅を広げて意欲的に学んでいけば、将来の可能性もきっと広がっていくと思います。

安土/私はもともと、高校を卒業したら大学にいって、就職をして…という決まったレールにはまることに抵抗があって、もっと広い世界を見てみたいという思いから、留学ができる国際英語学科を選びました。

ですから、マレーシアで出会ったいろんな国の学生たちが自分自身の考えで将来を決めていく姿をみていくうちに、もっと好きなことを好きなように挑戦していくのもいいのかなって。まだ具体的な進路は見えていませんが、新しい自分の可能性を見つける気持ちで、3回生からの授業に取り組んでいくつもりです。専門コースとしてグローバルツーリズムを選択したのも、あらゆるビジネスやシーンで必要になる、人との関わりやホスピタリティをもっと学びたいと思ったから。9月からの授業がとても楽しみです。

Q/海外留学に興味がある、将来は国際人として活躍したいという高校生に向けて、メッセージをお願いします

安土/まずは、海外での経験をより良いものにするために、自分の学びたいことや将来の目標を考えて、しっかりと準備したうえで臨んでほしいですね。そして、大事なのは留学が終わった後。せっかくの海外経験をどう活かすのは、自分次第です。国際英語学科には3つの専門コースがありますし、総合大学ならではの幅広い学修分野も広がっています。枠にとらわれずに自由に考え、本当に学びたい道に進んでほしいと思います。

北林/海外留学の最大の魅力は、さまざまな文化や価値観に触れ、新しい自分と出会うこと。もともと人間はいろいろな側面を持っているけれども、ずっと同じ環境、同じような人間関係のなかでは限られた面しか出てこず、「自分はこういう人間なんだ」と知らず知らずのうちに決めつけてしまっていると思います。だからこそ、国際英語学部で学ぶ皆さんには、ぜひ海外でいろんな体験に挑戦し、より魅力的な自分や、より自分らしい生き方を発見してほしい。一緒に学び、いろんなことに挑戦し、より豊かな可能性を広げていきましょう。

<ここがDISCOVERY!>

・京都橘大学国際英語学部では、留学期間の授業料相当額を支給する「SAP奨学金」「留学先授業料支援制度」をはじめ、経済面でのサポートが充実!
・留学中も安心して生活できるよう、いつでも相談できる日本とのオンライン通話も!
・留学先でやりたいこと、学びたいことがあればどんどん相談しよう。柔軟に対応できるのも京都橘大学の強みのひとつ!

・留学経験を活かして、3年次からより深い専門教育へ。多彩なコースの他にも、総合大学ならではの幅広い学びの場が広がっている!
安土さんは留学を通して、多様な価値観に触れ、人との触れあいやつながりの大切さを実感した

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