Interview

理学療法学科での学びが大きな成果に
ストレッチとリラクゼーションに着目した
研究論文が国際雑誌『Sensors』に掲載

インタビュー

2023.11.15

査読付き研究論文を扱う国際雑誌『Sensors』に、健康科学部理学療法学科4回生の論文が掲載されました。『Sensors』に学部生の論文が掲載されることはとても珍しく快挙といえます。今回は、共同筆頭著者である水野裕仁さん、今川直人さん、中田伊吹さんに、理学療法学科での学びや、論文の研究テーマについて伺いました。

水野裕仁さん(写真左)
健康科学部理学療法学科4回生

今川直人さん(写真中央)
健康科学部理学療法学科4回生

中田伊吹さん(写真右)
健康科学部理学療法学科4回生

※2023年10月にインタビューしたものです。

Q/理学療法士をめざしたきっかけ、その学舎として京都橘大学を選んだ理由を教えてください。

中田/高校までサッカーを11年間続ける中で、数えきれない怪我をしました。怪我を通して理学療法士という職業を知り、中学生の頃からずっと将来はリハビリに関わる仕事に就きたいと思っていました。

今川/中学校、高校とバドミントンをしていて、指導者が骨や筋肉、体の動きに詳しい方だったんです。そこから人体の動きや筋肉に興味を持つようになり、もともと興味があった医療職と重なって、理学療法士という夢に結びつきました。オープンキャンパスに来たときに、学生が親切で感じが良く、「ここで学びたい」と直感で決めました。

水野/僕も小学生の頃から陸上をやっていて、高校2年生で怪我をして理学療法士の先生にお世話になりました。その先生に憧れて理学療法士をめざしました。いろんな大学のオープンキャンパスに行きましたが、京都橘大学の雰囲気が一番良かったです。滋賀の実家から通える立地も、選んだ理由のひとつです。

Q/実際に京都橘大学に通い始めて、いかがでしたか?

中田/2020年春の入学で、コロナ禍の真っ只中でした。2回生までは正直、思い描いていたキャンパスライフではなかったけれど、3回生からは仲間や先生との交流も増えて楽しく過ごせています。理学療法の現場で使われている器具や最新設備が充実していることも、学ぶ意欲につながったと思います。大学の授業で、現場さながらの機器を扱えるので、3回生で臨床実習に行った時に授業での経験が役立ちました。

今川/京都橘大学の特色といえば、専門性を学べること。「ヘルスプロモーションコース」、「スポーツ・運動器障害コース」、「脳・神経障害コース」の3コースを設置している大学は全国的にも珍しい、他校にない強みだと思います。

Q/「スポーツ・運動器障害コース」で学んだ後は、どんな道に?

中田/運動器リハビリに強い病院から、内定をいただいています。スタッフ教育にも力を入れておられる病院なので、就職後も技術を磨いていけると考えています。

今川/もともと運動器に興味があったのですが、病院の実習に行ってから考えが少し変わって。ICU(集中治療室)など状態が安定しない方に関与する理学療法にも、強い関心を持っています。

水野/僕も実習で患者さんと接して、進みたい道が見えました。実習で関わらせていただいた患者さんから「痛かった膝の調子が良くなったよ。担当が水野さんでよかった」という言葉をいただいた時は、本当に嬉しくて。今は、スポーツの怪我も、高齢者の方々のQOL(人生や生活の質)にも、どちらにも関われる地域のクリニック勤務を希望しています。

Q/3人が協働した研究内容『ストレッチ強度が脳活動および自律神経反応に及ぼす影響: リラクゼーションへの影響』が国際雑誌に掲載されたそうですね。

水野/3回生の春から取り組み1年ほどかけてまとめたもので、最初はストレッチとストレスを絡めたら面白いんじゃないか?という発想から始まって。実際にストレッチについて文献を調べ始めたら、日本で書かれたストレッチに関する論文はあっても、世界的な論文はほぼ見当たらず、未開のジャンルなのだと感じました。

今川/世の中には、ストレッチすると副交感神経が優位になるという論文と、逆にストレッチすると交感神経が優位になって活動的になるという論文、双方が存在しています。それらの相違はストレッチの強度に関係しているのではないか、という仮説を立てて調べ始めました。

Q/調べ、導き出したデータが、世界的にも珍しい検証結果だったと。

今川/ストレッチの低い強度と高い強度。それぞれの脳波と自律神経を同時に測定したのですが、統計学的にはどんな強度でも同じ結果でした。また、自律神経活動ではストレッチ中よりもストレッチ後に交感神経が高い活動を示し、脳活動ではストレッチ後の休息時にα波とβ波で高い活動を示しました。また、高強度のストレッチではα波活動が高いと交感神経活動が低くなり、低強度のストレッチではβ波活動が高いと副交感神経活動が高くなる関連性を示しました。今回の研究では、自律神経の活動だけでなく、脳活動も併せて考察した点が評価されたのだと思います。

水野/これまでストレッチは身近なものだと思っていましたが、調べてみると意外と知られていない部分が多くありました。ストレッチの強度ひとつにしても、世界共通の強度というものは存在しなくて、実際に行う時の強度は、施術する人の経験と勘だけに頼っています。ストレッチの強度に関する客観的な指標がないことは、今後の課題だと思います。

前列左から中田伊吹さん、今川直人さん、水野裕仁さん
後列左から宮﨑純弥教授、酒林花菜子さん、重藤隼人助教、幸本夏奈さん、兒玉隆之教授

Q/2024年の春からは社会人、今後の目標を教えてください。

中田/先日、理学療法士の学会の中でも日本トップクラスの、日本運動器理学療法学会で発表させてもらう機会をいただき、3人で開催地の福岡まで出かけました。現場で活躍する理学療法士の方々や、大学院生、大学の先生などの発表を見て、すごく勉強になりました。これから臨床に出ても、認定理学療法士の資格を取得して、目標高く学び続けていきたいです。
第11回日本運動器理学療法学会学術大会(2023年10月13~15日/福岡国際会議場)

今川/まずは幅広い知識を身につけた上で、心臓リハビリやICUのスペシャリストをめざしたいです。卒業後は、大学病院に勤務する予定なので、臨床で働きながら、学術活動や論文執筆も続けていきたい。目の前の患者さんはもちろん、広い意味で疾患を抱える患者さんのお役に立てる理学療法士になりたいと思っています。

Q/3人と同じように、理学療法士を夢見る高校生たちにメッセージをいただけますか。

水野/今回のように世界的な雑誌に掲載される論文を完成することができたのは、ゼミの宮﨑純弥教授、重藤隼人助教の強力なサポートがあったからです。どんな質問にも親身に答えてくださり、どんな場面でも全力で助けてくださいました。一緒にバーベキューやキャンプをしたのも良い思い出です。京都橘大学に来れば、学生と距離が近くて信頼できる先生と出会えますよ。

<ここがDISCOVERY!>

・理学療法学科には専門性の高い3つのコースがある!
・キャンパス内に、現場で使用される最新設備が揃っている!
・病院や関連施設での臨床実習で、授業の経験がいきる!
・知識豊富で信頼できる先生のもとで研究にも没頭できる!

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