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無印良品と建築デザイン学科の特別ワークショップ
『みんなでつくる仮設建築 ~ 学生が生み出す、新しい学びのコミュニティ』 
<製作編>ワークショップで想いがカタチに

特 集

2021.09.24

学生たちの活動の道具となる仮設建築(移動できる家具など)を、学生の手によって生み出そうと立ち上がった『みんなでつくる仮設建築 ~ 学生が生み出す、新しい学びのコミュニティ』。プラン発表を経て、ついに学生たちの想いをカタチにする日がやってきました!(プラン発表の様子はこちらから)
※インタビューおよび撮影時のみマスクを外しています

[テーマ] つづく場・つなぐ場 ~活動から考える仮設建築~
[参加学生] 河野良平ゼミ1~3班、京都橘大学建築研究会TAP
[ファシリテーション企画・運営] 無印良品 京都山科

当日のファシリテーションは前回に引き続き、株式会社良品計画 企画デザイン室 デザイナー/株式会社torinoko 代表の小山裕介さんが担当。さらに木工家として活動する賀来寿史さんにも特別講師として参加していただきました。 ①屋台本体づくり ②椅子箱づくり ③塗装&箱づくり ④変形掲示板づくりと、4つのグループに分かれて作業開始!

 

【屋台本体づくり】

今回の目玉となる、2班が提案した“つなげる屋台”。建築デザイン学科生が模型製作で余った資材や教科書をこの屋台でリユースすることで、学年間のつながりを生み出すことをコンセプトとしています。

材料には、小山さんが用意した京都市地域産材認証の『みやこ杣木(そまぎ)』を使用。角材の向きや工具の使い方などの基礎知識をレクチャーされた2班のメンバーは、もくもくと組み立て作業に打ち込んでいました。

 

【椅子箱づくり】

3班のアイディアが採用された「椅子箱」づくり。

はじめに指導を担当してくださった木工家の賀来さんから「“木”を使うことは“気”を使うこと」とアドバイスがあり、椅子を並べたときに一枚の板だったことがわかるように気づかい、より美しい仕上がりをめざしました。賀来さんの熱血指導に刺激を受け、学生たちも作業に熱中していました。

 

【塗装&箱づくり】

1班は屋台の側面の塗装と、屋台に端材などを陳列するための箱づくりを担当。

屋台の側面は掲示板として活用するため、乾くと黒板になる特殊な塗料を採用。箱は、使いやすさを考慮して小分けできるようサイズ違いでつくりました。和気あいあいと作業する姿に、「みんなイキイキしていますね。新しい一面が見られました」と河野先生。

 

【変形掲示板づくり】

TAPチーム(京都橘大学建築研究会)は、建築デザイン学科生にコンペを告示する変形掲示板を製作。 小山さん半海先生からのアドバイスで、素材には紙が重なった紙管を採用。軽さがありながら、雰囲気は木のように温もりを感じる素材で防炎性もある優れものです。どのように吊るすかを考えたり、ひもの長さを調整したりと、試行錯誤しながら理想の掲示板をつくり上げました。

 

 

【ついに完成!おつかれさまでした!!】

丸一日かけて、すべての仮設建築がようやく形に!先に作業が終わった班は別の班を手伝うなど、チームを越えて協力し合う姿が見られ、まさに今回のコンセプト“つなぐ”を体現したワークショップとなりました。

9月26日より、いよいよ完成した仮設建築がコモンズに設置されます。学生たちの活動の道具としてどんなふうに使われるのでしょうか。どのような空間のなかでこれらが使われるのでしょうか? 次回をお楽しみに!

 

 

1班~3班とTAPの各チームから1人ずつ集まって、学生同士でクロストーク!
今回の企画を振り返って、印象に残っていることや成長を実感したことなど、あれこれ本音を語り合ってもらいました。

 

「こんなに本格的にやるの!?」って
はじめは戸惑っていました(笑)

今村/最初に「仮設建築」っていうテーマを出されて。その言葉の意味を調べるところからスタートしたんだよね。

大橋/そうそう。自分たちが考えたものを、実際につくって実際にコモンズに置くと聞いて、すごくワクワクしたのを覚えています。班のみんなで案を出し合っているときが一番楽しかったな。1班は学生目線で今の大学に足りないと思うところから、案をつめていきました。

塩沢/2班も「学生が本当に欲しいもの」という点に主眼を置いて案を出し合いました。普段の授業では図面を描いたり模型をつくったりしますが、実際に形にするという経験ってこれまでなかったので、当初は「こんなに本格的なの!?」って実はちょっと戸惑っていたんです(笑)。

西川/TAPは、先生から声をかけていただいて参加しました。内容を聞いて真っ先に「楽しそう!」って思いましたね。そこから、やってみたいという人を集めて。

今村/僕たち3班が最初に考えていたプランは「畳で寝転がれるスペースをつくる」というものだったんだけど、相談しているうちに「本当に使われるのか」という疑問にぶち当たって。そこからまたみんなで考え直して、最終的には全然ちがう「教科書のリユース」という案になった。そこにたどり着くまで結構苦労しましたね(笑)。

西川/先日の最終プラン発表で印象的だったのが、アウトプットは違っても「コモンズを通して人とつながりたい」という想いが共通してたこと。みんな考えてることは一緒なんだなって、何だかうれしかったんです。

大橋/僕は「つながり」という同じテーマでも、「先輩と後輩」「大学と地域の人」といろんな観点があったのが新鮮でした。自分にない発想に「すごいな~」と思って。

塩沢/各班のはじめの案出しの段階から見ていたので、最終発表までブラッシュアップしていく様子には刺激を受けましたね。あと、途中参加のTAPチームの最終プランの「つながるための掲示板」という着眼点にはすごく驚きました!

 

みんなでつくった仮設建築がどんなふうに使われるか、今から楽しみ

今村/家具づくりなんてもちろん未経験だったので、本当に実現できるのかなって正直思っていました。実際すごくむずかしかったけど、どんどん楽しくなっていきました。これからいろいろな人に使ってもらえると思うとやっぱりうれしいな。

西川/本当に想像以上に難しかった!最初に考えてた素材だと重過ぎてダメだったり、全然思い通りにいかなくて。構造の計算とか、つくってみて初めてわかることがたくさんあって、四苦八苦してました(笑)。

大橋/みんなで和気あいあいと釘を打ったり黒板塗料を塗ったりしながら、できあがっていくのがおもしろくて。実際にコモンズに置いたら、もしかしたら僕たちが想定していたのとは違う素敵な使い方をされることもあるかも。学生たちが主体となってたくさん使ってもらえたらいいなと思います。

西川/TAPチームのプランには、明確にイメージしているストーリーがあって。私たちがつくった掲示板がある日突然現れて、みんなが驚いてそこに掲示されているコンペに興味を持つ。多くの学生がコンペに参加して学生同士につながりが生まれる。この流れを実現したいんですよね。今は、実際どうなるんだろうという期待と不安が入り混じってますね。

塩沢/今回つくった記念すべき1台目の屋台は、建築の学生が使う資材を置くことで、先輩と後輩、縦のつながりを生むことを目的にしているけど、ゆくゆくはもっと屋台が増えて、他の学部や地域の人にも広がってほしいと思っているんです。私たちの代ではそこまでたどり着くのは難しいと思うので、後輩たちが引き継いでくれたらうれしいな。

 

ものづくりの紆余曲折を経験して、
社会に出る前に心構えができました。

西川/TAPチームは1回生から3回生まで10人の大所帯でした。2週間で案をまとめなければいけなかったのですが、10人の意見をどう落とし込むかといった紆余曲折の工程を今回初めて経験して。社会に出たらこういうシーンに何度も直面するんだろうなって、心構えができましたね。

大橋/自分たちで考えたものを実際につくって人に使ってもらえるという今回の経験は、自分にとってすごく財産になるだろうなと思ってます。無印良品のスタッフの方や大学の大人たちに囲まれて発表するときは、ずっと緊張しっぱなしだったけど、社会に出る前にこういう経験ができてよかったですね。

塩沢/無印良品といっしょに何かをするなんて、なかなかないことだもんね。チームMUJIのプレゼンもすごかったな。こういう資料やしゃべり方にすると伝わるんだって、圧倒されました。今回、数え切れないほど多くの人が関わってくださっていて。ものづくりの裏側には、こんなふうにたくさんの人の想いが込められているんだと知ることができました。

今村/本気でものづくりをしていて、それを仕事にしている方々の考え方や進め方って、普段の僕たちが考えてることとは全然違うんだと感じました。僕は将来、設計というより施工などの“つくる仕事”をしたいと思っていて。今回、ものづくりにどれだけの時間がかかって、どれだけたくさんのことを考えなければいけないか、ということを一通り体験できたので、今後につなげたいと思いますね。

<ここがDISCOVERY!>

【協力してくださった皆さま】

株式会社良品計画

  無印良品 京都山科

   コミュニティマネージャー 松枝展弘さん (2021年9月より京都・奈良・南大阪事業部長)

   インテリアアドバイザーマネージャー 白水香苗さん

  無印良品 東京有明 

   住空間(商品企画・法人)担当 部門マネージャー 林高平さん

   住空間(商品企画・法人)担当 野元あゆみさん

   企画デザイン室

   デザイナー 小山裕介さん (株式会社torinoko代表) 

  チームMUJIの皆さん

   無印良品 京都山科 / 安達祥伊さん、長谷川拓実さん(他大学4回生)、森本紗雪さん(本学4回生)

   無印良品 イオンモール堺北花田 / 北嶋沙織さん、高橋穂佳さん

 

木工家 賀来寿史さん

 

【無印良品 京都山科】 

 無印良品 京都山科は、2019年11月に地域との協業をコンセプトにした店舗です。近郊地域の食材を取り扱う食の専門フロアを展開して、地元の人々と密接に連携した各種の取り組みを展開されています。本学と無印良品 京都山科は、これまでコロナ禍における学生への食生活支援の協力を行うなど連携事業を進めています。

 無印良品 京都山科 HP https://shop.muji.com/jp/kyoto-yamasina/

【無印良品 東京有明】

 コロナ禍によりさらに加速する地域課題、暮らし方の変化に対し、当事者となる地域や企業、自治体とともに「感じよいくらし」を目指す空間サービスを提供されています。「家」「商業施設」「オフィス」「公共」の4つのサービスを展開されており、本学とは新たなキャンパス空間創出についての連携をすすめています。

 無印良品 東京有明 HP https://shop.muji.com/jp/tokyo-ariake/


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