Interview

実現したい夢があるだから前に進める、
クラウドファンディングから始まる育児支援。
<後編>やりたいが実現
m’s choice  中尾 美彩穂さん・山下 美咲さん(京都橘大学2020年3月卒業)

インタビュー

2021.11.18

日本の育児支援を少しでも変えるために「育児ボックス」を京都から全国に届けたい!
コロナ禍で、社会に出て気づいた自分たちの実現したい“夢”。京都橘大学で出会い、卒業後「m’s choice」として活動する卒業生の中尾さんと山下さんが、クラウドファンディング※1を活用し「育児ボックス」実現のための第一弾として、自分たちで商品開発をしたおくるみの販売準備を進めています。

前編では、「m’s choice」として活動する中尾さんと山下さんを突き動かす想いの原点をお届けしました。後編では、「m’s choice」に込めた想いやクラウドファンディングへの挑戦、「やりたい」が実現するまでの苦労ややりがいなどについてお話をうかがいました。

※1:インターネットのサイトでやりたいことを発表し、賛同してくれた人から広く資金を集める仕組み

プロフィール
●中尾 美彩穂さん 看護学部看護学科 2020年3月卒業
●山下 美咲さん 健康科学部心理学科 2020年3月卒業  

※写真左から、山下さん、中尾さん
※この記事は、2021年9月取材
※インタビューおよび撮影時のみマスクを外しています

「m‘s choice」は居酒屋で生まれた

中尾/山下さんと居酒屋で食事をしていた時に、私たちの事業の名称をどうしようかって話になったんです。当時、私は韓流ドラマにはまっていて、実はあるドラマからネーミングのヒントはもらっていました(笑)。それを伝えずに山下さんに提案してみたら「いいね!」と意見が一致して、あっという間に決まったんです。もちろんちゃんと込めた想いがあります。

私たちの名前と「未来(mirai)」の頭文字をとっています。

●未来(mirai)ある子どもや子育て中の方に喜ばれるものをチョイスし、子どもたちの健やかな成長につなげる
●名前の頭文字をとって、私たちが子どもにとっていい商品やサービスを選択し、提供する

山下/中尾さんから名称を提案されたときに、なんの違和感もなくしっくりきたんです。やっぱり価値観が合うというか、流石だなって。こういう感じの決まり方も私たちらしいのかなと思います。

失敗は成功のもと。応援してくれる人は必ずいる
経験しないと学べない、クラウドファンディングへの挑戦。

山下/実は自分たちで育児ボックスをつくりたいねとなった当初、育児ボックスを自分たちの主観で「こんな感じだろう」と具体性がなく、知識がないままクラウドファンディングで支援者を募ってみたんです。活動の幅を広げるといった意味も含めていましたが、思うままに実行したところ、うまくいきませんでした。ただ、これを「失敗」とは思っていません。学ぶことがたくさんあり、この経験があったから子育て世代へのアンケートやクラウドファンディングページ内の記事をもっとこうしようという視点を学べましたし、違うアイデアが生まれて、商品開発が進んだと思っています。

中尾/クラウドファンディングに着目したのは純粋に支援してくれる人を探したくて、私たちにはもってこいの仕組みだと思いました。2度目は絶対に失敗させるわけにはいかないので、自分たちが何を発信して、実現させたいのかを分かりやすくかつ熱意が伝わるように、写真もプロのカメラマンにも協力してもらいながら、HPや記事づくりにこだわりをもって制作しました。おかげさまで、現時点(取材時点)で目標金額の8割程度まで支援者が集まっています。
※取材後に目標金額250,000円を見事達成!!

想いがかたちになる喜びと応援の輪が広がる感動を実感!
ゴールが遠いからこそ「自分たちのやってみたい」をどんどん実現させていきたい。

山下/クラウドファンディングに挑戦しながら商品開発も進んでいきました。私たちはものづくりを全くしたことがない素人なので、一つのものづくりが完成するまでの過程が全く分かっていませんでしたので、コンセプト、生地選び、デザイン、商品パッケージなどの検討をチームで打ち合わせをしながら進めたこと全てが新鮮でした。

その中でも、苦労したのはデザイン。デザイナーの考えている方向性と私たちのこだわりをどううまく組み合わせて反映させるのかは苦労しました。会社あっての商品だったので、プロ目線の提案や意見に対して、「自分たちの意見」をしっかり伝えていいのか、葛藤がありました。

中尾/そんな葛藤はありましたが、自分たちが想っていることをちゃんと伝えれば、チームのみんなは理解しようとしてくれますし、商品にも反映されるように取り組んでくれました。学生時代は苦手だった自分の思いを人に伝える大切さをあらためて実感した瞬間でした。

カフェで意気投合したことから始まり、気づいたら応援してくれる人の輪が次々と広がっていて。こんなに応援してくれる人がいるのだなと実感しています。 「やりたい」がこんなにかたちになるんだと、あのとき山下さんにいってなかったら「やれたらいいな」で終わっていました。

山下/自分たちの想いが商品名「きょうくるみ」として、初めてかたちになった時は本当にうれしかったです。パッケージに「m’s choice」のロゴが入っているのを見たときに「あぁこれが世の中に出回るんだ」と実感しました。やってみたいなと思っても、一人でできることには限界があり、いろいろ協力してくれる人がいるからこそ今の活動ができています。そういう中で自分自身も周囲の期待に応えたい、世の中を良くしていきたいという気持ちが強くなっています。

これをきっかけとして多方面から育児支援をやっていきたいな思っています。日本の育児支援って少ないのかなと思ったら、案外いろんなところで育児支援ってやっているんだと気づきも多くありました。ただ、それを活用したり体験したりしている人がまだまだ少ないということも活動を通して感じています。

中尾/一番の目標は育児ボックスをまずは完成して必要な方にお届けすることです。そこに商品だけではなく育児をされている方が孤立しないサービスを付加して、育児ボックスとして販売できるようにするのが「m’s choice」の夢です。

最初からフィンランドの育児パッケージくらいのボリュームでお届けできればいいんですが、それを実現しようと思うと時間がかかってしまうので数点から始めて行こうと思っています。

山下/第一弾は今回の「きょうくるみ」、その後の第二弾、第三弾も考えています。ただ、今はいろんな人とつながりをつくり私たちの基盤をつくる大事な準備期間なのかなと。この中で生まれる意見などを大切にしながら、今後の活動につなげていきたいと思っています。

京都橘大学だからこそ出会えた。
このつながりを生涯大切にしたい。

中尾/愛媛から自立するために一人暮らしをしてみたかったというのと、京都が大好きでいつかここで過ごしたいと思っていました。当時のテレビドラマの影響で助産師に憧れを抱き、助産師と看護師両方の資格をとるなら京都橘大学だと思い、入学を決めました。入学してみて、こんなにいろんな学生がいるんだなと、世界は広いなと感じました。

山下/私は石川出身で京都なら実家との行き来もしやすいかなと思って京都で暮らしたいと思っていました。もともと看護師をめざしていて、1年間看護学校に通っていました。いろいろな人と接していく中で、自分の心の中に興味がわいてきて心理学を学びたいと思うようになって。心理学を学びたいと考えたときに、京都橘大学の心理学の領域の幅広さに魅力を感じ、いろんな方向で勉強して考えていくのがおもしろいなと思い入学しました。

また、実家にいる時は限られたコミュニティだったのが、ここにくることでいろいろな学部の学生や先生と接することができ、授業以外でもサークル、遊び、バイトなどでいろいろな出会いがありました。

中尾/看護学科だったので実習の思い出が印象に残っています。コロナの影響で実習が上手くできない中でも、さまざまな家族と出会って助産師の仕事が素敵だなとあらためて感じました。また、時間があればどこかに旅行に行って、活発に活動していましたね。友達にもいつもどこかに行っているよねってよくいわれていました(笑)。

山下/大学に入る前に違う学校に通っていたこともあって、4年間で何をしたいかを書き出していました。1回生はサークルを頑張る、2回生は海外経験やボランティア活動をするなど、学年ごとに目標を決めて行動していました。4回生の卒業論文では看護学校での経験を活かして、心理学にもプラスに活かしたいと考えていました。看護関係の人に協力してもらいながら研究をすすめ、納得のいく卒業論文ができました。中尾さんとはまた違う活発さがあったのかなと思います。私たちが出会えたのも、一拠点の総合大学である京都橘大学ならではだなと実感しています。

中尾さんと出会っていなければ今の活動は実現できていません。友達であり仕事のパートナーでもあり、いろんな面で支えてくれる、本当にかけがえのない存在です。

中尾/山下さんには全てのことを共有しているので、友達以上の大切な存在。今後もずっと一緒にいるんだろうなと思っています。

<スピンオフのメッセージ編では、2人から本学をめざす高校生や自分で何かチャレンジしたいと思っている学生の皆さんへのメッセージをお届けします。また、在学中の2人を良く知る恩師の先生方にもお話をうかがいました>

<m’s choiceの詳細はこちら>
HP:https://www.ms-choice.jp/
クラウドファンディング:https://camp-fire.jp/projects/view/358391

<ここがDISCOVERY!>

・「m’s choice」の名称は未来ある子どもたちへの想いが込められている!
・「きょうくるみ」開発が、人とのつながりの大切さを教えてくれた!
・「育児ボックスを完成させて日本の育児支援環境を変えていく」2人の夢は始まったばかり!

・京都橘大学だからこその出会い、生涯続いていくつながりがある!


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