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女性歴史文化研究所シンポジウムを開催

 7月4日(土)、女性歴史文化研究所主催によるシンポジウム「歴史のなかの子どもの行方」が、京都駅前のキャンパスプラザ京都で開催されました。岡山大学大学院社会文化科学研究科客員研究員の沢山美果子氏を招き、捨て子に関する各時代の世相や心性について講演と討論が行われ、約150人が聴講しました。
 最初に登壇した沢山氏は「江戸時代における子どもの行方」をテーマに講演。江戸時代について、「捨て子は親が養育できない子どもを他者に託す行為だった」「家で育てることが困難になった子どもが捨てられても公共機能によって生存権が保障されていた」などの視点が示されました。
 続いて、本学歴史学科・増渕徹教授は「平安京と子ども」をテーマに講演し、平安京には孤児や病者を収容する施設として施薬院・悲田院があったことに言及。この施設の目的が、孤児や病者の保護よりも平安京の美観の維持だったことを強調しました。
 さらに、本学女性歴史文化研究所所長の細川涼一教授は、中世の鎌倉における僧・忍性の極楽寺での悲田院の運営に触れ、中世は仏教が自立的な存在であったことを述べるとともに、為政者が仏教者に福祉事業を請け負わせた構図を描写しました。

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   こうした講演を受けて行われたシンポジウムでは、近代の捨て子(棄児)、都市と農村の比較、東日本と西日本の違い、捨て子の姓名の問題などについて、今後の研究テーマなどがさまざまに提示されました。

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