2025.09.02
山岸ゼミが相鉄ホテルマネジメントとの連携プロジェクト最終報告会を実施
2025年7月14日(月)、経済学部の山岸達矢准教授ゼミ3回生が、(株)相鉄ホテルマネジメントとの連携プロジェクトの最終報告会を行いました。当日は、同社運営本部運営部(京阪神エリア)より前田好之氏、鷲北祐輔氏、田村佳恵氏にご講評いただきました。

山岸ゼミでは、現代の都市型社会特有の社会問題や環境問題をテーマに、社会調査の手法を用いた科学的思考法を身につけ課題解決に寄与することをめざし研究活動に取り組んでいます。今回のプロジェクトでは、国内外に5ブランド・約80施設のホテルを運営する同社協力のもと「宿泊特化型ホテルのカーボンニュートラル実現」をめざして、学生が調査・分析・解決策の提案を行いました。
プロジェクト始動に合わせて、まず同社から、推進する持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みとして、カーボンニュートラル※1、プラスチック廃棄物削減、宿泊清掃に関する取り組み状況をご紹介いただきました。また、中長期的な数値目標や直面している具体的な課題などについても詳しいレクチャーが行われました。その後のゼミ活動の中で、学生は、観光やビジネスの目的で短期間宿泊する利用者向けのホテル運営という同社の事業形態への理解を深めながら、同時に有用な環境経営について考察しました。
最終報告会では、5つのチームに分かれ、各チームが特に注目したテーマについての発表を実施。ホテルのアメニティや連泊清掃のあり方に着目したチームは、ホテルのアメニティ消費量や素材を分析し、お客様の満足度を維持しながら環境配慮への協力を得る方法について検討し提案をまとめました。食品ロス削減や食を通じた地域連携のあり方に注目したチームは、フード・マイレージ※2 を考慮した食品の地産地消や、新たな朝食提供スタイル、生ゴミの資源化推進などの観点から提案をまとめました。また、企業の環境行動を評価する認証制度、国内外の企業や自治体の取り組み事例を調査・分析したチームは、認証を取得する過程で社内データを活用して展望をもつことを提案しました。いずれのチームも、これまでの学びを生かしながら、学生ならではの視点から解決策の提案を取りまとめました。

【相鉄ホテルマネジメントの前田好之氏のコメント】
学生の皆様の熱意と創造力に心より感謝申し上げます。「宿泊特化型ホテルのカーボンニュートラル実現」に向けた取り組みは、持続可能な企業活動を推進する上で、当社が社会に貢献するための重要なステップと考えております。各チームから提案いただいたアイデアは、環境への配慮とお客様の満足を両立させることを目指しており、実践的かつ革新的なものでした。今回の取り組みを糧に、持続可能な社会の実現に向けて引き続き努力してまいります。
【経済学部経済学科 山岸達矢准教授のコメント】
ゼミ活動を通じて、企業の環境経営が見せかけの環境保全策に陥ることを回避しながら、その有効策を中長期的な目標と日々の現場における取り組みとの接点に見出すことを目指しました。この活動が、相鉄ホテルマネジメントと学生の今後の歩みにおける糧となることを願っています。
※1 カーボンニュートラル
カーボンニュートラルとは、CO₂(二酸化炭素)などの温室効果ガスの排出量と森林保全などによる吸収分を相殺して実質的にゼロにすることであり、地球温暖化を抑えるための世界的な目標となっています。温室効果ガス排出削減のために、原材料の調達・加工・輸送・消費・廃棄の過程での削減や、自然再生可能エネルギーの活用が重視され、どうしても排出される分を吸収する森林の保全が注目されています。現在、これらの取り組みに対する積極的な企業活動が世界的に求められており、日本政府も2050年にカーボンニュートラルの達成を宣言しています。
※2 フード・マイレージ
食料品が生産地から食卓に届くまでの輸送距離と重量を掛け合わせた指標で、環境への負荷を表す数値です。この数値が大きいほど、輸送に伴うエネルギー消費やCO2排出量が多くなり、環境への負荷も大きくなります。