2025.10.10
理学療法学科の学生が教員とともに執筆した研究論文が国際雑誌に掲載されました

下段左から塚田 慎之介さん、一色 拓真さん、赤尾 陽さん、石倉 由菜さん
理学療法学科の学生が教員とともに執筆した研究論文が「Journal of Functional Morphology and Kinesiology誌」と「PLOS One誌」に掲載されました。
『健常若年男性における脊椎・骨盤のアライメントと筋短縮の間の包括的な関連性:SHapley Additive exPlanationを使用した矢状面における単独および相互作用効果の分析』
赤尾 陽さん、石倉 由菜さん、重藤 隼人 助教(責任著者)
Journal of Functional Morphology and Kinesiology誌は運動に基づくアプローチに関連する筋骨格系および全身の細胞と組織の構造、機能、発達、進化の分析を扱う機能形態学と運動学の研究に関する、オープンアクセスの査読付き国際雑誌です。
Journal of Functional Morphology and Kinesiology誌に掲載された論文(4回生の赤尾 陽さん・石倉 由菜さんが共同筆頭著者、重藤 隼人 助教が責任著者、4回生の一色 拓真さん・塚田 慎之介さん・宮﨑 純弥 教授が共同著者の研究論文)では、健康な若年男性における脊椎-骨盤のアライメントと筋肉の短縮との関連を機械学習の手法を用いて包括的に調査した研究になります。
<研究概要>
本研究では、機械学習手法の一つであるSHapley Additive exPlanation (SHAP) 分析を用いて、胸椎後弯、腰椎前弯、骨盤前傾の単独および相互作用による影響に焦点を当てて、脊髄骨盤のアライメントと筋短縮との関連を包括的に検証しました。健常若年男性を対象に、胸椎後弯・腰椎前弯・骨盤前傾角度、脊柱・骨盤周囲の筋(腸腰筋・大腿直筋・大殿筋・ハムストリングス・脊筋群・腹筋群)の筋長指標を測定し、SHAP解析により各筋長指標に対する脊柱・骨盤アライメントの単独および相互作用による寄与を検証しました。その結果、股関節周囲の筋短縮は、特に胸椎後弯と腰椎前弯の相互作用によって影響を受けることが示されました。また、腰椎前弯は腸腰筋短縮、骨盤前傾はハムストリングス短縮、胸椎後弯は大腿直筋短縮と関連していることが示されました。本研究の結果は、姿勢アライメントと筋短縮を評価する際に、脊椎領域の相互作用を捉えることの重要性を示唆しており、臨床評価および治療の意思決定に貢献する可能性があります。

『筋電図および脳波分析を用いたスクワット運動中の機能的圧縮タイツによる疲労抑制効果の検証』
一色 拓真さん、塚田 慎之介さん、重藤 隼人 助教(責任著者)
PLOS One誌は主に科学と医学分野に関するオープンアクセスの査読付きの科学雑誌です。
PLOS One誌に掲載された論文(4回生の一色 拓真さん・塚田 慎之介さんが共同筆頭著者、重藤 隼人 助教が責任著者、4回生の赤尾 陽さん・石倉 由菜さん・兒玉 隆之 教授・宮﨑 純弥 教授が共同著者の研究論文)では、機能的タイツ着用による疲労抑制効果を筋活動および脳波活動も含めて包括的に検証した研究になります。
本研究は、株式会社ワコールとの共同研究活動とも関連した内容になります。
【健康科学部・理学療法学科】宮﨑ゼミが株式会社ワコールとの共同研究を実施 – オフィシャル | 京都橘大学
<研究概要>
本研究では、機能的圧縮タイツが知覚される疲労と筋活動および脳波活動で測定される神経生理学的な疲労指標に及ぼす影響を検証しました。健常若年者を対象に、機能的タイツの有無による2条件を設定し、スクワット課題前後でスクワット姿勢保持中の筋活動および脳波活動を測定し、課題後に自覚的疲労感を評価し、機能的タイツの有無による各指標の違いおよび各指標間の相関関係を検証しました。その結果、機能的タイツ着用により自覚的疲労感の抑制および内側広筋の筋活動量抑制効果がみられました。脳波活動においても前頭部脳波活動の変動が少ない傾向がみられました。本研究の結果から機能的圧縮タイツ着用により、筋活動及び前頭部脳波活動が安定することにより、疲労を軽減できる効果が示唆されました。これらの知見は身体活動中の疲労の管理に貢献する可能性があります。

【学生のコメント】
4回生 赤尾 陽さん
研究テーマ:『健常若年男性における脊椎・骨盤のアライメントと筋短縮の間の包括的な関連性:SHapley Additive exPlanationを使用した矢状面における単独および相互作用効果の分析』
本研究においては、特に解析手段の理解と活用に苦労しました。統計的な解析方法や機械学習の手法は、初めて触れる内容も多く、思うように進まないこともありましたが、その都度学びなおし、試行錯誤を重ねることで理解を深めていきました。先生方の丁寧なご指導と助言をいただけたことが大きな支えとなり、最後まで完成させることができたと感じています。
また、本研究では臨床現場で役立つ知見を提供したいという思いをもって取り組みました。その目標が困難を乗り越える原動力となり、研究を通じて学び続ける姿勢や最後までやり遂げる力の大切さを実感しました。
4回生 塚田 慎之介さん
研究テーマ:『筋電図および脳波分析を用いたスクワット運動中の機能的圧縮タイツによる疲労抑制効果の検証』
本研究では、先行研究の整理やデータの解析に苦労しましたが、その過程で粘り強く取り組む姿勢を身につけることができました。自分の研究が将来の学びや社会に役立つ成果につながるようにという思いを持ち、試行錯誤を繰り返しながら最後までやり遂げました。