成長ストーリー

学びと成長モデル

入学してから卒業まで、様々な学びや経験をとおして、どのように成長することができるのか。そしてどんな知識や技能が身につくのか。この図は、4年間の学びと成長を表現したものです。

京都橘大学で自分が成長していく姿を思い描いてみてください。

学生インタビュー

「自分らしさ」を引き出せる、作業療法士をめざして

父が理学療法士をしていることもあり、医療系の分野に興味がありました。高校時代に父が働いている病院を見学させてもらった時に作業療法士の仕事を知りました。患者さんが病気や怪我などを乗り越えて「自分らしく」生活できる力を引き出す、素晴らしい職業だと思いました。

京都橘大学のオープンキャンパスで、作業療法学科の先輩から「先生との距離感が近い環境で、専門的な知識と技術が学べる」というお話を聞いて、ここで学びたいと入学を決めました。

患者さんの気持ちに寄り添う

1回生では、作業療法学の基礎知識やこころとからだの機能に関する科目を履修。解剖学、運動学などは授業で教わったことを自分の中に定着させることが必要で、自己学習でもたくさん勉強しました。空き時間に教科書を開いて暗記したり、友人と質問し合ったりして、覚えた知識はその後の学びや実習でも役立っています。

1回生の冬、臨床見学実習に行き、脳血管疾患の患者さんへの検査、訓練方法などを見学しました。話しづらい状態の患者さんに、作業療法士の方は、口の動きを見る、目を見る、ジェスチャーを使うなど、さまざま手法でコミュニケーションをとっておられました。その様子を見て「患者さんの気持ちによりそえる作業療法士になりたい」と強く感じました。

私は人見知りな性格だったので、積極的に人と関わる機会を作ろうと、2回生からオープンキャンパスのスタッフになりました。来場者に自分から声をかけて行動できるようになったのは、私にとってはとても大きな変化です。

検査に必要な知識と技術を覚えるためにくり返し練習

2回生では実技をたくさん練習しました。学内の運動学実習室で、ペアでひとつのベッドを使い、友人の体を借りて、骨や筋肉にふれて検査方法を学びました。関節の角度や筋力を測定するのは、患者さんのからだの状態を知り、日常の生活動作がどのくらい行えるかを考えるために欠かせない検査です。関節の角度はゴニオメーターという機器での計測を練習します。筋力は徒手筋力検査といって、検査者が筋肉にふれて評価します。筋肉の位置、姿位、自分の手で筋肉をさわった時の感覚など実際に経験してしか覚えられないことがたくさんあります。

毎日夜遅くまで、講義や教科書で学んだ知識を頭の中で整理しながら友人と一緒に何度も繰り返し実技の練習をしたことも振り返れば良い思い出です。

行動分析による理解、コミュニケーションなど実習で成長を実感

3回生になり「地域の医療と福祉コース」に進みました。幼い頃の生活を支えてもらった祖父母にいつか恩返ししたいという思いがあり、老年期の領域に特に興味があったからです。

コース選択後は、より専門的に新しい検査方法や動作分析などを学びました。寝返りや起き上がりなどの基本動作、トイレや着替えなどの日常生活の動作を写真撮影し、体の動きを分析して、リハビリテーションを考えます。その後の地域の実習では高齢者介護施設に行き、実際に患者さんにふれて検査を行いました。動作分析を学んだことで、患者さんの問題点を抽出する方法が理解できるようになっていました。

1回生の頃は苦手だと思っていたコミュニケーションも、作業療法士の方が患者さんと話している様子や話題などを参考にしながら、積極的に実践してみました。そうすることで、初対面の方でも打ち解けることができたので、自分の成長を感じました。

将来は老年期領域に進み、社会課題の解決に力を尽くしたい

4回生は総合病院に実習に行きました。3回生では評価を行うまでの実習でしたが、4回生では、評価から問題点抽出、プログラム作成、効果分析までを行います。

担当した脳血管疾患で麻痺の残る患者さんが「トイレ動作を獲得したい」とおっしゃっていました。4週間でしたが、小さな変化がありました。はじめはズボンの上げ下ろしの際に大きくふらついていたのが、少し安定して行えるようになりました。「自分で下ろせるようになって嬉しい」と、私にとってもすごく嬉しい手応えでした。

今は、作業療法士国家試験受験資格の取得をめざして、国家試験対策プログラムで勉強しています。卒業後は、病院に就職して、身体障がい領域でさまざまな疾患についての知識や技術を深めたいです。将来は老年期領域に進んで、認知症予防、在宅での生活をサポートすることが目標です。

また、認知症は理解されにくいという社会課題もあります。介護するご家族のケア、情報発信など課題解決にも力を尽くしたいと思っています。

ターニングポイント

怪我をして「自分らしい」生活の尊さを感じました

2回生の時に、足の靭帯を損傷し、松葉杖の生活を経験しました。大学では友人が荷物をもってくれたり、教室のドアを開けてくれたり、優しくサポートしてくれました。これがきっかけで患者さんの気持ちがより深く理解できました。

元々当たり前にできていたことが、怪我や病気でできなくなる。その不安や喪失感はすごく大きくて「自分らしい」生活の尊さを身に染みて感じました。自分で動けなくなって不自由さを実感したのは、階段、お風呂のイスの高さ。イスが低いと片足で体を支えて座るのは怖く、立ち上がる時も低いと力が必要になります。知識として、お風呂では転倒などの危険があるとわかっていましたが、イスの高さで怖さや立ち上がりにくさがあることは、自分が体験してみて気づいたことでした。

患者さんの「自分らしい」生活を取り戻すために、気持ちによりそい、細かな部分まで気づくことのできる作業療法士になりたいと、思いを新たにしました。