成長ストーリー
学びと成長モデル
入学してから卒業まで、様々な学びや経験をとおして、どのように成長することができるのか。そしてどんな知識や技能が身につくのか。この図は、4年間の学びと成長を表現したものです。
京都橘大学で自分が成長していく姿を思い描いてみてください。
学生インタビュー
考古学を学び、その情熱を共有できる仲間との出会いを期待して
両親の影響で物心ついた時から博物館へ行ったり大河ドラマを見たりと歴史が大好きで、幼稚園の頃から将来の夢は「学芸員」。考古学を学び、研究し、フィールドワークにも取り組めることが魅力で歴史遺産学科を志望しました。
また自分と同じように歴史遺産への情熱を共有できる先輩や仲間との出会いにも期待を膨らませていました。
大学と発掘現場、実践と知識が繋がって理解が深まる
1回生では、歴史遺産の4分野を広く学びました。各分野の基本を幅広く学んだことで、その後の学びの選択肢が広がったと感じています。前期はコロナ禍でオンライン授業が中心でしたが、後期からは対面での授業になり、フィールドワークも充実しました。
歴史的な遺産や建造物にふれる中で、建築遺産に興味をもつようになりました。
1回生の春休みから、地元・東近江市の埋蔵文化財センターで発掘調査のアルバイトを始めました。発掘現場では、なにもかもが初体験で、発見の連続。竪穴式住居跡が発掘されたときは、教科書では見ていたものを実際に自分の目で見て情報を得ることができ、大変貴重な経験となりました。
2回生では、1回生で学んだ4分野(歴史遺産、考古、美術工芸、古文書)から2分野選ぶのですが、前期に考古学コース、後期に歴史遺産コースを選択しました。発掘現場での体験と2回生の授業の内容が重なるポイントもあり、実践と知識が繋がって、理解がより深まりました。
歴史を記録することが私たちの使命
日本には約46万ヵ所の遺跡があります。宅地開発や道路建設などの計画が決まった場合、多くの遺跡は壊される危険性があります。残念ながら開発を前提にした発掘調査がなされる場合、適切に遺跡の情報を収集できるのは考古学を修めた者です。調査では、遺跡の景観、建物跡などの遺構の規模や形状、出土した土器のサイズや特徴などを正確に記録します。
歴史を記録して、後世に伝えるのは発掘や考古学に関わる私たちの使命だと思っています。私たちの先祖たちが暮らしていた痕跡、例えば、住居や土器、焚火をしていたと推測される赤い土などをみると、何千年も前の人と精神的に対面しているみたいな深い感慨を覚えます。土器に指紋が残っていることもあり、指先の大きさが私たちと変わらないなと思うこともあります。
2回生のときに行っていた発掘現場で、大きな溝が見つかり100個以上の弥生土器が出土しました。それがきっかけで弥生土器に強く心惹かれ、卒業論文の題材とすることに決めました。
授業や本、資料で得た知識をフィールドワークで活かす
私は授業や書籍、資料で得た知識を活かしながら、フィールドワークや発掘の現場で実際に見て、ふれて、感じるという学びが自分の性格に合っていると思います。京都橘大学は、博物館、寺院、遺跡などでのフィールドワークや実習も充実しています。
また3D計測、ドローンなど最先端の技術を活用した調査方法を学ぶこともできます。私が所属するゼミのフィールドワークでは、滋賀県高島市の古墳発掘の調査をしています。この調査では、ドローンで古墳や市内の景色を撮影して、空からみた画像で高島市の特徴を考察しました。
その経験を活かし、現在進めている卒業研究でも、弥生土器の実測に3D計測を用いて効率的に作業を進めることができています。
考古学で大事なものは想像力
大学に入る時は、ただ歴史が好きというだけで専門的な学びのイメージは漠然としていました。けれども、大学での実践的な学びや発掘調査アルバイトという徹底的に現場で学ぶ環境に身をおくことで、興味がどんどん絞られて弥生土器の研究へと繋がりました。自分で考えることを前提にどんな問いにも専門的な知見から指導してくれる先生、お互いの専門分野の情報交換を通してスキルアップしたり、考古学への情熱を共有したりできる先輩や後輩、仲間との出会いもとても意義のあることでした。
卒業後は、生まれ育った滋賀県で文化財専門職に就きたいと思っています(2024年4月から滋賀県高島市に文化財専門職として就職)。文化財は国民共有の財産ですが、いつの日か発掘調査報告書に私の名前が記されるような発見ができたらうれしいです。
考古学で大事なものは想像力だと思っています。私たちが研究対象としている時代を生きた当時の人は、今は誰もいません。当事者がいないから、根拠を集めます。根拠から推測できることもあれば、推測が発掘や遺物調査によって裏付けられて根拠に繋がることもある。それらが繋がって、小さくても地球上で自分しか知っていないような、新しい発見ができた時の達成感が魅力です。
そして、考古学の分野は、大学入学時に知識や経験がなくても、ゼロからスタートできる分野で誰にとっても平等です。もし興味があればぜひチャレンジしてください。
ターニングポイント
リーダーシップが養われました
発掘調査のアルバイトは大学の先生に紹介していただくこともできるのですが、私は1回生の春休みに「アルバイト募集していませんか?」と埋蔵文化財センターを訪ねました。
発掘現場では数々の貴重な体験、心震える出来事に出合いました。2回生の時に私が発掘したものが古墳時代の移動式かまどで、東近江市初の出土だったこともあります。職員の方に教わったり経験したりしながら発掘調査の方法やチームワークの必要性を学び、自分の進歩の手ごたえは感じていましたが、それを確信したのは、大学の授業でのこと。社会人基礎力テストで自分の強みや弱みを分析したところ、1回生の時には強みは協調性、弱みはリーダーシップでした。3回生で再びやってみると、弱みだったリーダーシップのポイントがアップしていました。
発掘現場では、多くの人と協力し、コミュニケーションをとりながら作業をしています。その中でも特に、指示を出したり、必要な機材や道具を用意したり、先を考えて行動する力が養われたのだと感じています。