【作業療法学科】「みぃちゃんのお菓子工房」特別講義を開催しました

 2026年6月22日(月)、作業療法学科1回生を対象とした特別講義を開催しました。この講義は「作業学演習Ⅱ」(担当教員:真下いずみ准教授・中井秀昭助教)の授業の一環として企画されたものです。講師には、滋賀県近江八幡市で「みぃちゃんのお菓子工房」を営む18歳のパティシエ・杉之原みずきさん(愛称:みぃちゃん)と、オーナーであり母親でもある杉之原千里氏をお招きしました。 

 みぃちゃんは自閉スペクトラム症と「場面緘黙(ばめんかんもく)症」※をもちながらも、12歳(小学6年生)の時に滋賀県近江八幡市で「みぃちゃんのお菓子工房」をオープンし、現在は18歳のパティシエとして活動しています。


※場面緘黙症:他の状況で話せるにもかかわらず、特定の社会的状況において話すことが一貫してできない障害

 講義の前半では、みぃちゃんによるクッキー作りのワークショップが行われました。使用されたのは、米粉とオイルを使用し、保存料・着色料を使用していない特別な生地です。この生地は、「粘土のように誰でも簡単に形を作れる」という特徴があります。
 作業療法士を目指す学生も、障害のある人が望む活動を実現できるよう、日常生活におけるさまざまな活動を身体・運動機能および精神・認知機能の側面から分析し、その人に合わせて作業を段階づけたり、環境を調整したりする力を養っていきます。
学生たちは、みぃちゃんが鮮やかな手つきで生地を整形する様子を間近で見学しながら、思い思いの形のクッキーを作りました。

 後半の講演では、杉之原千里氏から、みぃちゃんの歩みや、家族としての葛藤、そして支援者への期待が語られました。その中で、社会にある当たり前の基準を疑い、一人ひとりの感性や喜びの形に寄り添うことの大切さをご講演いただきました。また、障害や生きづらさを持つ人々が、一般就労や障害者雇用といった既存の枠組みにとどまらず、その人の強みを活かして「個人事業主」として社会参画するための起業支援を行っていることもお話しいただきました。

 現在、作業療法士の活躍の場は拡大しており、5歳児健診や保育所等訪問支援事業、学校作業療法※など、早期療育・教育の場面において、一人ひとりの子どもに適した教育環境や関わり方を支援しています。講義では、このような早期からの環境調整や適切な支援は、うつ病や適応障害などの二次障害の予防につながる重要な取り組みであることを真下准教授より解説しました。また、障害のある人が自分らしく働き続けられるように、就労支援の現場においても、作業療法士が、より一層積極的に関わることの重要性を講義しました。

※学校作業療法:作業療法士が学校で、子どもの学習や学校生活への参加を支援する取り組み。アメリカでは教育制度の中で広く実践されている。日本では一部の自治体で先進的な実践が行われており、今後の普及が期待されている。

 講義を受講した学生からは、「一人の人間として向き合い、その人らしい生活を支える作業療法の本質を感じた」「できないことを諦めるのではなく、できる方法を探す大切さを学んだ」との声がありました。教科書だけでは伝わらない、対象者や家族の生の経験を聞くことで、学生たちは『心によりそう仕事』であることを肌で感じる貴重な機会となりました。

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