【臨床工学科】中村亮一教授が「第3回 Tokushukai Robotic Seminar」にて講演
―工学・医学・社会科学を融合した視点で手術支援ロボットの未来を展望―

 2026719日(日)から2日間、東京国際フォーラムで開催された「第3 Tokushukai Robotic Seminar」において、健康科学部 臨床工学科の中村亮一教授が登壇し、「情報工学・社会科学との共創による手術支援ロボットの未来予想図」をテーマに講演を行いました。

 「Tokushukai Robotic Seminar」は医療法人徳洲会などを中心とした民間医療グループ「徳洲会」が開催するセミナーで、心臓血管外科、消化器外科、呼吸器外科、婦人科、泌尿器科といった各科のロボット手術を対象とした領域横断型の学術集会です。今回は「共創が加速する次世代ロボット手術」をテーマに掲げる中、各領域の第一線で活躍する専門家として中村教授が招聘され、工学的な開発視点に経営学や社会科学の知見を融合させた研究成果について発信しました。

 講演の前半では、情報工学の観点から手術支援ロボットの進化を解説しました。中村教授は、海外で進むAIによる手術の自動化研究を紹介しつつ、日本の強みとして「質の高い手術動画データ」を挙げました。日本の外科医には学会の技術認定制度のための動画記録に加え、日常的に手術動画を記録する文化があり、学会主導で集まるこの膨大なビデオデータこそが、AI時代における日本の大きな武器になると強調しました。

 後半では、現在中村教授が取り組んでいる社会科学的なアプローチによる研究成果が発表されました。新しい医療技術が現場に定着し普及するためには、単に技術が優れているだけでなく、複数の要素が積み重なる必要があります。中村教授は、400本もの論文をデータサイエンスの手法で解析し、ロボット技術の発展に加え、周辺機器の進化、教育体制の整備、そして特定の疾患に対して圧倒的な効果を発揮する「キラーユースケース」の特定というプロセスが、イノベーションの鍵であることを明らかにしました。

 中村教授は講演の結びに、AIが手術を支援・自動化する「データの時代」の到来について強調しました。ロボットの性能向上に加え、周辺技術や教育、そして社会のニーズがうまく組み合わさることで、最先端のロボット手術が「誰もが安心して受けられる当たり前の医療」になっていく未来を展望しました。こうした分野の枠をこえたアプローチこそが、次世代の医療を創り出す鍵になると語りました。

 臨床工学科には、中村教授をはじめ、先端研究や産学連携の最前線で活躍する多彩な専門性を持った教員陣が集います。本学ではこうした教育環境を通じて、医療機器を自在に扱うスペシャリスト・臨床工学技士を養成し、医療と工学の知見を統合し新たな技術開発をめざす「医工連携」を牽引する人材を育ててまいります。

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