【作業療法学科】漫画家・棚園正一氏が登壇 「作業療法の視点から『好き』や『夢中』が人生を支える理由を考える」特別講義を開催

健康科学部作業療法学科は、821日(金)、漫画家の棚園正一氏を講師に迎え、特別講義「『マンガで読む 学校に行きたくない君へ』の著者と学ぶ ~好きや夢中が人生を支える理由~」を開催しました。

講演会では、はじめに作業療法学科真下いずみ准教授により、作業療法の概要や役割について説明。不登校状態にある子どもたちに作業療法がどのように関わることができるのか、事例を交えながら解説しました。真下准教授自身も、行政機関からの委託を受け、不登校・ひきこもり状態にある方への訪問支援に取り組んでおり、「作業」が人を支え、Well-beingにつながる可能性をわかち合うことの大切さについて言及しながら、本講義の趣旨を説明しました。

さらに、近年、一部の自治体や学校で広がりつつある「学校作業療法」についても紹介しました。作業療法士が学校の中で、子どもの発達特性や得意・不得意を捉え、教員と連携して学習しやすい環境や活動への参加方法を工夫するなど、子ども一人ひとりが持つ力を発揮できる環境づくりを支援する取り組みです。

このように作業療法士は、医療・福祉の枠を越え、子どもから高齢者まで、人々の「好き」や「夢中」になれる活動(作業)を使いながら、Well-beingを支える専門職であることをお話ししました。

続く棚園氏の講義では、自身の経験を描いた漫画で振り返り、「漫画との出会いによって好きなことや夢中になれることを見つけたことができた。それが生きる支えになった。」と語りました。また、小学校から中学校までの9年間を不登校として過ごした経験から、自分らしさを認めてもらうことの大切さや、周囲と何気ない会話を重ねること、周囲が本人の興味や関心によりそうことの重要性について参加者に向けて語りかけました。

最後に棚園氏は、「学校に行きたくない君へ」と題して、手紙を朗読。「好きなことや夢中になれることは、人生の支えになる大切なもの。誰かを支える立場になったときは、その人の「好き」や「強み」にも目を向けてほしい」とエールを送り、講演会は盛況のうちに終了しました。

また、講演後は、真下准教授と棚園氏によるトークセッションも行われ、棚園氏の経験をもとに、作業療法が一人ひとりの「Well-being(よりよく生きること)」の実現にどのように関わることができるのかについて語り合いました。
さらに、事前に集められた質問にも触れられ、「不登校の時代はどう思っていたのか」、「心が少しずつ回復していく時期にはどのような変化があったのか」など、ご自身の体験をもとにお話しされました。参加者は不登校の子どもたちへの心の理解や支援のあり方について考えを深めました。

参加した聴講者や学生からは、
「好きなことや夢中になれることは単なる趣味ではなく、人が自分らしく生きるための支えになることを学んだ。支援を考える際にも、その人の『できないこと』ではなく、『好きなこと』や『強み』に目を向けることの大切さを感じた」

「不登校の背景には一人ひとり異なる想いや状況があることを改めて認識した。当事者の経験に耳を傾け、その人自身を理解しようとする姿勢が支援の第一歩になると感じた」といった感想が寄せられました。

本講義は、作業療法士をめざす学生にとって、不登校当事者の経験や想いに触れながら、「人によりそうこと」の本質について考える機会となりました。
作業療法学科では、身体や心の不調、生きづらさを抱える人々がその人らしい生活を送れるよう支援する作業療法士の育成に努めています。

【登壇者プロフィール】
●棚園 正一(たなぞの・しょういち)氏
1982年、愛知県生まれ。小学校〜中学校の9年間を不登校で過ごす。 13歳の時に漫画家・鳥山明氏に出会い、漫画家を志す。 大学入学資格(現 高卒認定)を取得し、名古屋芸術大学に進学。 著書に、不登校だった自身の経験を描いた『マンガで読む 学校に 行きたくない君へ』『学校へ行けない僕と9人の先生』などがある。

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