【チーム医療ムービーインタビュー集】
"治す"から"支える"へ。 患者の想いに応える、京都橘大学のチーム医療


医療現場では、多職種が力を合わせて連携しながら治療にあたる「チーム医療」の考え方が、ますます重要になっています。
本学では、臨床工学技士、救急救命士、看護師、理学療法士、作業療法士、臨床検査技士、医師など、多様な医療従事者がそれぞれの専門性を活かして協働する姿を通して、「チーム医療」の在り方を発信してきました。その一環として、本学では、医療の最前線で活躍する姿を描いた「チーム医療ムービー」を制作しました。

今回の記事では、このムービーに出演した本学の卒業生および教員へのインタビューをもとに、医療現場が直面する課題や、それを乗り越えるために求められる新たな働き方について解説します。
チーム医療ムービー本編も、ぜひあわせてご覧ください。

チーム医療ムービー各リンク

■【予告編】京都橘大学の「チーム医療」ムービー(30秒ver.)
https://youtu.be/Fi2xexJ8tfQ

■【ダイジェスト編】京都橘大学の「チーム医療」ムービー(3分ver.)
https://youtu.be/80pL4H0jTec

■【本編映像】京都橘大学の「チーム医療」ムービー
https://youtu.be/AmTxulIL1vk

目次

  1. チーム医療 × 臨床工学技士
    京都橘大学 看護学部 看護学科(2013年3月卒)/臨床工学技士 濱上 貴司 さん
  2. チーム医療 × 救急救命士
    京都橘大学 健康科学部 救急救命学科(2020年3月卒)/救急救命士 野口 佐弥香 助教
  3. チーム医療 × 看護師(急性期)
    京都橘大学 看護学部 看護学科(2020年3月卒)/看護師 樋口 春奈 さん
  4. チーム医療 × 臨床検査技師
    京都橘大学 健康科学部 臨床検査学科(2024年3月卒)/臨床検査技師 徳田 杏乃 さん
  5. チーム医療 × 看護師(回復期)
    京都橘大学 看護学部 看護学科(2016年3月卒)/看護師 平岡 華奈江 助手
  6. チーム医療 × 理学療法士
    京都橘大学 健康科学部 理学療法学科(2021年3月卒)/理学療法士 前田 康太 さん
  7. チーム医療 × 作業療法士
    京都橘大学 健康科学部 作業療法学科(2023年3月卒)/作業療法士 荒木 奈美香 さん
  8. チーム医療 × 医師
    京都橘大学 健康科学部 救急救命学科/医師 益満 茜 准教授

※役職、所属はインタビュー当時のものです

チーム医療×臨床工学技士
京都橘大学 看護学部 看護学科(2013年3月卒)/臨床工学技士 濱上 貴司 さん

Q. 撮影シーンでやっていたことは?

第一に呼吸器が必要だと思って準備しました。
診察の結果、骨盤出血とわかりましたので、カテーテルでの止血術を行いました。
こういった直接介助や機械出しも、臨床工学技士が行っています。

カテーテルによる止血術をはじめ、オペ室・透析室・内視鏡室など、どの分野でもさまざまな医療機器を使用しますので、基本的にどこにでも臨床工学技士はいます。
臨床工学技士は医療機器だけでなく、病態生理や薬剤の知識など、幅広い理解が必要になる職種です。

Q. 仕事のやりがいを感じる時は?

患者さんの治療内容について、医師から相談されることもあります。
その中で自分の専門性や知識を生かして、どのような治療が良いのかを適切に判断する上で、自分が役に立てたと感じます。
患者さんが治療によって元気になり、退院されていく瞬間に「やっていて良かった」と強く思います。

チーム医療×救急救命士
京都橘大学 健康科学部 救急救命学科(2020年3月卒)/救急救命士 野口 佐弥香 助教

Q. 撮影シーンでやっていたことは?

現場でできうる処置と医療機関への搬送を行っていました。
急病人であったら?など、いろいろなことが想定されるのですが、今回は大怪我の想定でした。

Q. チーム医療で救命士に求められるものは?

チーム医療では、さまざまな医療職種がバトンタッチしながら患者さんの治療にあたりますが、実際に現場へ出向くのは救命士です。
そのため、患者さんに最初に接することができるという点が、救命士の一番の強みだと思います。
いろんな病態や怪我の状態が考えられ、現場によってやらなければならないことが全て違うので、臨機応変さも必要になる職種です。

Q. 女性の救命士で大変なことは?

重い機材を持たなければいけないなど、大変な場面ももちろんありますが、消防に勤めている救命士でも女性は増えていますし、今は消防だけでなく病院で働く救命士も増えているので、女性であるということはむしろ強みだと思っています。
女性の患者さんも多いですし、同性のほうが観察しやすい場面もあるので、そういった点でも女性であることの強みを感じます。

Q. 京都橘大学での学びが活かされている場面は?

学生の時に最新の機材や、最新の論文などから引用した知識を使って学んだことで、即戦力になるなと自分自身思いました。
最新の教育を受けることで、即戦力の知識・技術が身に付くと感じています。

チーム医療×看護師
京都橘大学 看護学部 看護学科(2020年3月卒)/看護師 樋口 春奈 さん

Q. 撮影シーンでやっていたことは?

まず医師の指示を聞いて、バイタルサインの測定と採血をしていました。
ただ、医師の指示を聞くだけでは円滑には進みません。看護師として患者さんの全体の状態を把握しながら、必要な物品の準備や処置を行いました。

看護師は、患者さんに最も近い立場にある職種です。
患者さんがどのような状態にあり、どんな不安を抱えているのかを理解しながら全体を見て、医師や臨床工学技士の方に声をかけるなど、連携を取りながら医療を進めていきます。
「よりそう看護」ということを、日々意識しながら患者さんに関わっています。

Q. 京都橘大学での学びが活かされている場面は?

京都橘大学の授業では、グループワークが多く、自分だけでなく他の人の視点を知る機会が多くありました。その経験から、多角的に物事を捉える力が養われたと思います。
また、サークル活動も盛んで、他学部・学科の学生と関わる機会も多くありました。看護師の視点だけでは気づけない考え方に触れることで、現在のチーム医療の現場でも他職種と自然に連携できる基礎が培われたと感じています。

チーム医療×臨床検査技師
京都橘大学 健康科学部 臨床検査学科(2024年3月卒)/臨床検査技師 徳田 杏乃 さん

Q. 撮影シーンでやっていたことは?

臨床検査技師の業務は、大きく分けて、今回も行ったような患者さんの血液などの検体を扱う「検体検査」と、患者さんに直接行う「生理機能検査」の2つがあります。
今回はまず、出血の状態を把握するために血液検査を行いました。
さらに、輸血が必要になった場合に備えて、患者さんの血液型に合った血液を準備できるよう、血液型を調べる検査も実施しました。

Q. 京都橘大学での学びが活かされている場面は?

患者さんと直接接する生理機能検査では、コミュニケーションがとても重要だと大学で学びました。
学内実習でもその点をレクチャーしていただき、実際の現場での接し方を身につけることができました。

また、学生同士で患者役と検査技師役に分かれて実際の検査を行う実習では、患者さんの立場を体験しながら「検査技師にどう声をかけてもらうと安心できるか」を感じ取ることができました。
その気づきを検査技師役の学生に伝え合うことで、互いに学びを深め、高め合うことができたと思います。

チーム医療×看護師
京都橘大学 看護学部 看護学科(2016年3月卒)/看護師 平岡 華奈江 助手

Q. 撮影シーンでやっていたことは?

患者さんの体温や血圧を測って状態を把握したり、多職種の医療者が集まる場面では、患者さんの日常生活の様子を他職種の方々にお伝えしたりしていました。
回復期では、特にリハビリの前に患者さんの状態をみんなで確認しながら、看護をさせていただいています。
24時間患者さんに関わらせていただく中で、生活をしている中での困りごとや思い、ニーズをなかなか表に出せない方もいらっしゃいます。
そうした部分を多職種で話し合うことで、いろいろな意見や視点が出てきます。
その中で、「患者さんが一番どうしたいのか」によりそいながら日々看ています。

Q. 京都橘大学での学びが活かされている場面は?

学生時代には、さまざまな医療系学部と関わる授業や機会がありました。
他の学部・学科がどのようなことを学んでいるのかを身近に感じられたことで、臨床に出てからも「どうつなげばよいのか」という連携の意識を、学生のうちから学ぶことができました。

チーム医療×理学療法士
京都橘大学 健康科学部 理学療法学科(2021年3月卒)/理学療法士 前田 康太 さん

Q. 撮影シーンでやっていたことは?

患者さんの「痛みがないか」「綺麗に歩けているか」という点に注目しながら、リハビリを行っていました。
ただ歩けるだけではなく、綺麗に歩くことがその後のスポーツや日常生活、仕事、余暇活動などにつながります。
そのためにも、機能的でしっかりとした動きを身につけることが大切であり、正しい動きを教えることを意識していました。

Q. 京都橘大学での学びが活かされている場面は?

理学療法学科では、3回生からコースが分かれます。
私の選んだコースでは、実際のスポーツ選手の体力測定やリハビリの経験を積むことができました。
臨床現場に出てからも、この経験が大きな糧になっています。
在学中は作業療法学科の学生と関わる機会も多く、今でも患者さんの治療で悩んだときには相談させてもらうことがあります。卒業後もこうした交流が続いており、とても心強く感じています。

チーム医療×作業療法士
京都橘大学 健康科学部 作業療法学科(2023年3月卒)/作業療法士 荒木 奈美香 さん

Q. 撮影シーンでやっていたことは?

木の棒を横に動かすことはできるものの、上に持ち上げる際に痛みが出る患者さんに対して、リハビリのアプローチを行っていました。
また、最終的にパソコンを五本の指で打てるようになることを目標に、動きの改善を図るリハビリを継続し、支援していました。

Q. 京都橘大学での学びが活かされている場面は?

学生時代は吹奏楽部に所属しており、部員の中には医療系学科の学生も多くいました。
その中で専門的な話ができたり、互いの学びを共有したりすることで、学生のうちから自然に他職種とのつながりを持つことができました。
吹奏楽と作業療法、そして他職種連携を同時に学べたことは、京都橘大学ならではの良い経験だったと感じています。

Q. 学生に伝えたいことは?

新しく設置される臨床工学科は、命を近くで支える職種として、とても意義のある学びができる学科だと思います。
作業療法・理学療法・救急救命・看護・臨床検査とともにチーム医療を学びながら、ぜひ京都橘大学で一緒に医療の未来を創っていってほしいと思います!

チーム医療×医師
京都橘大学 健康科学部 救急救命学科/医師 益満 茜 准教授

Q. 撮影シーンでやっていたことは?

私は医師ですので、初療室(救急患者に対して、初期診療や応急処置、治療方針の決定を行う場所)では患者さんが体のどの部位に外傷を負っているのかを診察しながら調べていました。
検査の結果、骨盤骨折とわかりましたので、カテ室の方では骨盤骨折からの出血を止めるための処置を行いました。

医師ができることも限られていますし、他の職種の方に教えてもらうこともたくさんあります。
看護師さんや臨床工学技士さんと協力しながら行っていくことで、スピーディに診療を進めて、早く治療を開始することができます。
そのためにも、他の職種の方の協力がとても大事です。

Q. 医療従事者を目指す高校生に伝えたいことは?

私も実際、臨床現場で働いてチーム医療の大切さを痛感しています。
京都橘大学では、一つのキャンパスの中にいろいろな医療系の学部がありますので、学生のうちから他の職種──たとえば看護師さんなど──を身近に感じられ、自然に理解し合えるような意識を持ってもらえると思います。
その点で、京都橘大学で学ぶことには意義があると思います。

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