鹿谷寺跡(大阪府太子町)は、高さ約5メートルの十三重の石塔で、大陸の石窟寺院の流れをくむ山岳宗教遺跡。周囲の岩盤を掘り下げて、塔が削り出されている。近くに岩屋と呼ばれる寺跡があり、両寺跡とも造営の記録はないが、周辺で採集した土器などから奈良時代の遺跡とされる。大阪府立近つ飛鳥博物館は、鹿谷寺跡の石塔の造営当初の姿を推定復元し、展示している。復元に携わった本学文化財学科の一瀬和夫教授は、「現地では塔の根本が土や草に覆われ、『地面から生えている』ことが分かりにくい。博物館に模型を展示することで理解が深まれば。」とコメントした。
【2012年2月25日 日本経済新聞に掲載】