滋賀県内初の小中一貫の義務教育校について教職保育職支援室の廣瀬忠愛教授がコメント

 滋賀県長浜市に県内初の小中一貫の義務教育校「余呉小中学校」(長浜市余呉町)が今春に開校した。義務教育学校は、学校教育法改正により2016年度から始まった制度で、従来小学校6年、中学校3年の枠組みを外し、教育課程を学校独自で編成できる。同町一帯は過疎化が進行しており、一貫校という形で地元に学校が存続することになった。9年間の切れ目ない一貫教育をめざし、第1(1~4年)、第2(5~7年)、第3(8、9年)の各ステージが設定されている。異学年交流と並び、小学校段階の専門教科指導を中学専門教員が授業を受け持つ特色がある。子どもたちの学習内容についての理解を早期から把握できるメリットもあるが、異学年交流については、保護者から不安視する声もある。長浜市の検討会議委員で本学教職保育職支援室の廣瀬忠愛教授は、義務教育学校について「ステージ制については、小学校の最高学年になる6年生がリーダーシップを取りにくくなる問題もある。ステージごとに子どもがリーダー意識を持って活躍できる場を教員がつくる努力が必要」と指摘した。また、「異学年交流に関しては、上級生が下級生と密接に関わることで、弱者に対する思いやりが育まれる。義務教育学校は、子どもたちの可能性をさらに広げることが期待できる。過疎化が進む地域で、どう学校を残し、子どもたちを育てていくかのモデルケースになる」と話した。

【2018年4月30日 京都新聞(滋賀版)に掲載】

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