文学部歴史学科の後藤敦史准教授が京都新聞「現代のことば」にコラムを執筆

 文学部歴史学科の後藤敦史准教授が京都新聞「現代のことば」に「ペリーは日本人、というデマ情報」と題したコラムを執筆した。1853年のペリー来航(黒船来航)について、国内外のさまざまな史料を読んでいるとおもしろい発見があるという。その中の一つに、アメリカとの交渉を任されていた幕臣の井戸覚弘に対し、老中阿部正弘から極秘の調査命令が出た。それは、ペリーが日本人である、という風評の偽を報告してほしいというもの。日本に住む多くの人々が黒船来航に関心をもち、より多くの情報を求めたため、全国に情報を書き留めた「風説留(ふうせつどめ)」という史料がたくさん残っている。風説留には、歴史学の成果からみて明らかに誤った情報が記されているものもあり、ペリーは日本人というのも数あるデマ情報のひとつだったといえる。現代でも、大きな自然災害など人々の生活や社会全体をおびやかす出来事が生じたとき、デマ情報が広がりやすい。情報のこわいところは、たとえ最初に情報を発信した人に悪意がなくても、一部が切り取られるなどして、不安をあおる情報に変化してしまうことである。SNSという情報伝達に便利なツールを得た私たちは、より一層、情報に敏感であるべきだと結んでいる。

【2018年8月31日 京都新聞に掲載】

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